お面の少女
それは偶然だったんだろうか?
僕がこの病院に入院した理由は大した事じゃない。その日はなにをするでもなく窓から景色をぼんやりと眺めていた。すると一つの病室が目に止まった。
窓辺に一人の女の子が居た。いや、正直な話、女の子かどうかは判断できなかった。だってその子は狐のお面をしていたから。ただ、そう思っただけ。なぜだか僕はその女の子に呼ばれているようなきがした。
ベッドから起き上がり先ほどみた部屋に向かうこの階の一番端だから迷う事はないだろう。
「ここか。」
プレートを見ると宮野 魅白と書かれていた。なにげなく扉を開くと狐のお面がこちらを見つめていた。
「あなた・・・だれ?」
声と名前からして女の子だろうか?身長は154くらい髪の毛が腰まである。銀色で艶があった。
「あなた・・・誰?」
今度は先ほどよりも少し強い口調で言ってきた。
「あ、僕は神代 九十九です。」
「神代九十九…ずいぶんとたいそうな名前ね。そうね…なら、あなたのことは白って呼ぶわ。」
「なぜ白?」
「だって百から一ひいたら九十九。百から一ひいたら白。だから白。」
「あぁ、なる程…」
ん?なんでこんな和んでるんだ?初対面なのに…相手は狐のお面をかぶってるのに…
「えっと、君は」
「魅白でいい。私を呼ぶときは魅白でいい。」
「は、はぁ。で、魅白はいつからここに?」「ずっと…生まれ出からずっとここに居る。」
「そうなんだ・・・。」
何か重い病気なのだろうか?
「ところで、何でお面をつけてるの?」
「なんとなく・・・。」
「・・・そう。」
「で、今更だけどなんでここに来たの?」
「さぁ?なんとなく。」
「・・・変な白。」
「かもね。」
「ねぇ、なら、外のお話してよ。私は外をしらないから…」
読んでいただいてありがとうございました。
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