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記録︰00038.5.81

作者: 美藍小春
掲載日:2026/02/08

こんにちは。

きこえてますか?

こちらは変わりありません。

そちらはどうですか?


冷たい空気のなかで、私の腕に抱かれたあなたの温かさは、今でも忘れられません。


あ、そういえば。あなたはもうすぐ誕生日でしたよね。

もう1個年が増えるのですね。早いですね、本当に。

今までの日々が思い出されるようです。

全てがキラキラしていた、あの日々がもうこんなにも遠いのですね。

大丈夫ですよ、私の中にあなたとの思い出は全て残っておりますから。安心してください。


私は、いつもあなたを困らせてしまいましたね。

できないことが多くて、申し訳ないと思っておりました。

でも、あなたを想うとできないこともできるまで何でもできてしまうのが私ですから。

ずっと、お側にいますからね。



こんにちは。

体調はどうですか?

私は知ることができないので心配です。


こちらは変わりないですよ。

寒さも暑さも感じません。


そちらは、寒くありませんか?

時折、白いわたが空から降ってきていましたね。

触れると消えてしまって…少し残念に思っておりました。

今はその心配はなさそうでよかったです。


水が空から落ちてきたときは、どうしようかと思いましたよ。

けっこう頻繁でしたよね。

どうやって防ぐか、たくさん悩みました。

私は必要なかったみたいですけれど。



こんにちは。

繰り返し、お知らせします。

あなたは、どちらにいらっしゃるのですか?


私を見てください。

このスカート、縫えるようになったんですよ。

縫い目はひどいですけれど…頑張ったんです。

いつか、刺繍もできたらと思っております。


この紙、とても綺麗ですね。

曲げると様々な色が出てきて、面白いです。

前はなかったですよね。

あなたは、知っていましたか?



こんにちは。

あなたの好きなものを送りますね。

綺麗な色を見つけたんです。


この世界で、たくさんのものを見て、たくさんのものに触りました。

あなたはその中でも特別なんです。

柔らかくて、あたたかくて、キラキラしていて。

たくさんの色に満ちていました。

あなたは私をどう思いますか?


この間、たくさんのカサカサしたものを見つけました。

踏むとサクサクなって、触るとすぐなくなってしまいました。

あなたにも届いていますか?

まだ触っていない場所、たくさんあるんですよ。

いつか、一緒にいきましょうね。
































・・・




























































こんにちは。

あなたが、いま、ここにいることを、うれしく思います。


ずっと、あいたかったんですよ。

あなただけを、おもっていました。


あなたは、やはりあたたかいですね。

キラキラしています。

たくさんの色。やわらかさ、かたち。


どうして、水がたくさんあるのですか?

茶色くもはいいろでもない。

これは、あなたからですか?


かお、からですか?

わたしは、ひょうじょう、というものがわからないのです。

かんじょう、は、多分、わかっているつもりですよ。

ごめんなさいね。


まわりで、何か言っているのですか?

うまくききとれません。

あなたの声が、ききたいな。

優しいこえで、また、私をよんでほしいのです。


またたくさんありますね。

もしかして、これが、なく、ですか?

どうしてないているのですか?

悲しい、時なのでしょう?

私は変わりありませんよ。

安心してください。



どうやら、ねむけ、と聞くものがきましたね。

あなたがぼんやりとしてきました。

大丈夫ですよ、わたしはここにいますよ?

あなたのあたたかさが、すき、なのです。


ぜったいに、はなさないで、くださいね。

ひとつ、わがままをいってみました。

はじめてきいてから、ずっと、してみたかったんです。

なつかしい、でしょう?


たとえ、なにがあったとしても、わたしは、あなたのそばにいますよ。

なかないで、ください。


あ、そういえば、おたんじょうび、でしたよね。

おめでとうございます。

つたえられて、よかったな。

わたしも、とても、うれしい、ですよ。



そろそろ、ねむけが、おさまりそうです。

また、めがさめたら、そばに、いてくれますか?

もう、わかれるのは、いや、なんです。


だいじょうぶ、すぐ、おさまりますよ。


あ、そうだ、こういうんでしたよね。




「おやすみなさい」

「っ………」




彼女はそうやって眠りについた。





また、救うことができなかったのか。




次回はきっと、うまく……はずだ。


これで今回の記録を閉じる。


追記︰考察は次回以降にまとめるとする。

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