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職業【遊び人】仲間へ斬りかかる

 眼の前には岩盤の一枚岩があり、所々に石でできた建物の瓦礫が乱立している。

 第四階層でアントと二人でいた。


「そうか、そんなことが……」

「次の日ログインしてきた時にはもう元気だったよ、いつものレッカだった」


 カリナがアントを呼んだ、それはレッカのことを伝えるためであった。

 あれから何度かレッカと会ったが違和感はなかった。まるで記憶から消したようだったため、カリナもそのことについて言及しないようにした。


「ところで、あれから強くなったか? PvPで技を奪われないようになったか?」

「うん、空を走れるようになったよ」

「そうか、逃げ足を鍛えたか」

「そう捉えるのはアントだけだと思うよ……」

「俺も飛びたいんだけどな」


 そう言って苦笑するアントに思わず黙ってしまった。

 四人のうちアントだけ飛べない。それに気がつくと、申し訳なさが勝る。


「まぁ気にするな、俺はPvPのほうが得意なんだ」

「確かに、FPSみたいな戦い方するもんね」

「そりゃ皮肉か? カリナもFPSかじってたことがあるなら知ってるだろ」

「まぁね、でも階層ボスを倒していくゲームにいていい人の戦い方じゃないなーって」

「イベントで勝つんだよ、それにPvPで狙われたら戦えるだろ」

「じゃあ期待してるよ」


 カリナは剣を取り出して、アントに切りかかった。

 アントは口角を上げて笑う。カリナの気持ちを察したのか、銃を手にすると瞬時に距離を取った。


「血の気が多いな」

「気になったんだ。僕アントが戦ってる所、全然見たことないから」

「それを言うなら俺の方もな、てめぇに負けないように鍛えた」


 アントの足が早くなる。【狼尾】だろう。背後に回ろうと走る。

 手元に武器が現れた。形的にショットガンだ、カリナはダガーを取り出すと、十個に複製する。


「なるほどな!」

「いいでしょ、これ」


 ダガーを【念動】で背中に展開した。剣が縦になり整列する。

 カリナは振り返り【始原同一化(プロト・イコール):炎禽スパロー】で翼を出すと、手で翼を掴み体を覆った。翼へのダメージは本体に比べて減る。

 しかしそれを気にしない様子でショットガンを発砲する。ダメージはほとんど受けない。しかしアントはカリナの欠点に気づいていた。


「あんた、防御力はピカイチだが体力がないだろう?」

「それがなんだって言うの?」

「攻撃の手数を増やせば、いづれやられるってことだ!」


 フルオート銃に切り替えると、連射を仕掛ける。銃弾は小さくダガーの盾の隙間を縫うように入り込む。

 蝶を召喚してダメージを肩代わりしてもらう。銃声が止まると同時にアントに切りかかる。


「【鎖破悪狼(フェンリル)】」

「おぉ!!」


 アントに重なるように浮かぶ不透明な巨狼。

 それは新たな腕となりアントから剣を守るように遮る。


「すごいスキルだね」

「あんたに言われると嬉しいな、第二階層のボスを周回していたらゲットしたんだ。あんたもどうだ」

「アントの心を折っちゃうかも」

「馬鹿言うな、それは無理な話だ」


 カリナは剣を振るうと同時に、ダガーを【念動】で動かしアントへと攻撃を仕掛ける。

 しかしカリナの攻撃は狼にあたり、アントへと届かない。しかし、アントの攻撃もダガーや召喚されたスライムに吸われてカリナに当たらない。

 近距離による攻撃は熾烈を増していく。

 狼は剣を掴んだと思えば、カリナは剣を手放して狼の懐に入り込む。アントはがむしゃらに体を後ろへと引っ張ると、狼は剣を落とした。


「ふーん、僕の攻撃を避けるってことは、状態異常は効くんだね?」

「麻痺には耐性をつけたんだがな、それ以外は普通に効く」


 アントは髪をかきあげる、右目は黄色くなっていた。


「じゃあ、食らったら負けだね?」

「あんたもだろう」


 彼は銃を持ち変えると、すぐに引き金を撃つ。

 空気を破裂させたような発砲音。あの長い銃身はスナイパーだ、こんな近距離で撃っていいものじゃない。

 カリナは冷や汗を流しながら、アントとの距離をとる。近距離でスナイパーを打たれれば流石に死んでしまう。

 石柱の裏に隠れると、錯乱ホーネットと炎禽スパローを三体ずつ召喚した。どちらも空を飛び遠距離攻撃が出来るので、牽制に使えるだろう。三体ずつというのは、カリナが集中をきらさずに操れる数だった。

 姿を出してスナイパーで打たれるのは嫌だ、しかし自らの手で攻撃を与えたい、アントの手の内を暴きたい。ダガーを回収して、柱の上まで登ると、アントと目があった。

 即座に轟く発砲音、しかしスライムを召喚しておいたのでダメージは受けていない。



 スキル取得

【無慈悲】



 モンスターがダメージを受けた分攻撃力が上がるスキルを手に入れた。あまり使いたくないなと、カリナは絶句する。

 ダガーを並べてその上を走っていく。アントはモンスターを狼にまかせて、スナイパーのスコープを覗く。

 このまま一直線に走っていては撃たれると思ったカリナは、急に止まったり、少しだけ落下して錯乱させる。


「なんで空中でそんなに動けるんだよ」

「頑張ったからね!」

「でもそれじゃあ見えてる」


 発砲音が響き、カリナの頭を貫いた。

 強い衝撃に思わず体が落下する。まだ生きてる、そう思いカリナはダガーを体の下に敷いて転がった体を立ち上げた。


「あれ……!」


 アントへ攻撃を仕掛けようとしたが、そこにはスモークが焚かれていた。地上はすでになにも見えない。

 咄嗟に逃げようとダガーを並べたが、すでに遅い。

 カリナはなにかに体を抑えられた。動けない、そう思い振り返ると、そこにはスモークから現れたアント。

 狼の腕がカリナの体をがっしりと掴まれており、銃口が胸に押し付けられていた。


「ま、参りました……」


 地上までの距離は短いため、ダガーをしまって着地した。

 アントは狼を消して、銃を背中にくくりつける。


「満足したか? 俺を呼び出したのはこのためか」

「まぁね! どうよ、僕戦えるでしょ?」

「負けたやつのセリフじゃねぇけどな」

「へ、へへ」


 頭を掻くカリナを見てアントは自然と口角が上がっていた。

 仲間と高め合っている現状が楽しかったのだ。


「カリナは第四階層のボスを倒したか?」

「ん? まだだよ、もしかしてアントも?」

「あぁ、どうだ? 一緒に討伐に行こうぜ。とりあえずは作戦を伝える」


 アントはそう言って腕を差し出した。

 カリナはその腕を強く握る。そうして二人は一枚岩の最奥へと進んでいくのだった。


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