職業【遊び人】仲間が集合します
「だから、なんともないって! ほら!」
「わ、わかったから!」
カリナはそう言ってアントに自分の姿を見せつけていた。
それを見てガヤの二人が笑う。
「なんだよ怖くなったって、カリナはカリナだ! だろ?」
「そうだよ! また強くなったんだね、すごいなぁ、私も強くなりたいよ!!」
フラムが肩を組み、レッカが抱きついた。
カリナは目を回す。耳が赤く染まり、声を震わせていた。
「やめてよ! 恥ずかしいんだから!」
現在、四人は第四階層の町にいた。これまでの階層とは違い、テントや屋台が集まった開放的な町だった。
座敷の上で戯れる三人を見て、アントは胸を撫で下ろす。
あの後二人がログインしてきたのでカリナを預けたら、いつもの彼女に戻った。
フラムには初めてあったのだが、その男勝りな性格に、すぐに仲良くなった。
ちなみに、仲良くなったというのはフラムの感想であり、アントからすればやかましいやつという印象だ。
「問題ないのであればそれでいい。しかし遊び人、職業が進化したと言っていたな」
「あ、そうなんだよ! でもね、なんかおかしくってね」
二人を引き剥がすと、皆にステータスを共有した。
カリナ
Lv.27
職業 遊び人
HP 20/20
MP 20/20
攻撃力 1
防御力 1
魔法攻撃力 1
魔法防御力 1
素早さ 1
装備
頭 なし
身体 スライムの鎧
武器 鉄の剣
装飾 なし
スキル
【練達】【積年の恨み】【剣士】【投擲】【光耐性】【物理半減】【魔獣半減】【魔獣致死】【毒殺】【剣断】【間合】【挑発】【生贄】【異常伝播】【常在異常】【窮地適応】【不要塞】【戦場掌握】【粘性之王】【裏切り者】【統御生多相】【始原同一化】【始原顕現】【自爆】
「あれ? 進化してないじゃん」
「いやいや、したんだよ! したことは分かるの、でも何が変わったかが分からなくて」
「どういうことだ、したのは分かる?」
「スキルを合成したときのことは伝えたでしょ? その時にスキルの進化も理解したんだよ」
「職業の概要は変わってないの?」
カリナは画面を操作する。
職業:遊び人
基礎ポイントが増えない。装備ができない。スキルが選やすくなる。
「なにも変わってないのかな?」
「漢字がおかしくねぇか? 『選る』じゃなくて『得る』じゃね?」
「確かに、しかしそれが変わったからと言って、何が変わったとかはわからないな。それに、職業名もそのままか……」
「ね、おかしいでしょ? ほんと、僕ゲームに振り回されてるよ」
職業が遊び人だったがために普通のプレイが全くできていなかった。
カリナはただゲームをして努力で強くなろうとしていたのに、まるで人工知能に弄ばれるかのように強くなっていく。
こんなにも異常だらけだとゲームのバグを疑ってしまう。
「気にしてもしょうがないだろう」
「同感。それより、もうちょいでPvPが実装されるらしいな」
「長かったね、まぁ生産職の私にはあんまり関係ないかな?」
「PvPか、今でも戦うのは出来るんでしょ? 何が違うの?」
「報酬がもらえるんだ」
アントが言うには、PvPは野良で戦うよりも様々な恩恵が得られるそうだ。
例えば、戦いを後から見返せたり、それを共有したり。特に報酬は特別で、勝者には敗者からアイテムやスキルを譲渡しなければならないそうだ。
「スキルを、譲渡……?」
カリナは身震いした。
欲しいスキルがあれば、戦って奪うことが出来るということだろうか? それってつまり、自分が頑張って獲得したスキルも奪われるということ。
「ねぇ、僕、終わったかな」
「だ、大丈夫だ! 誰がどんなスキルを持ってるかは分からない。カリナはアントの持ってるスキルを全部分かるか?」
「いや、分からないよ」
「だろ? 逆に言えば一度でも手の内を晒せばそれを奪われる可能性が生まれるってわけだ。だから十分に注意しろよ」
フラムは笑ってそう言うが、レッカとアントは深刻そうな表情を浮かべて額に汗を流していた。
「狙われるだろうな」
「え……?」
そういうとアントが淡々と話し出す。
「このゲームにはランキングがある。様々な情報が開示されてるんだ。例えば累計アイテム獲得回数とかな」
「あ、それ私が一位のやつね」
レッカがそう言ってピースする。
ランキングの噂は聞いていた。このゲームにおける数値という数値は全て人工知能によって管理されている。
そしてその情報はもれなく開示されていた。プレイヤーのやる気を上げるためだが、それが牙を剥く。
「他にも、階層ボス撃破時間とか、累計スキル獲得回数とか、『固有級』スキル獲得数とか……」
そこまで言われて、カリナは理解した。
第二階層を倒した速度、確か五秒もなかったはずだ。
累計スキル獲得回数、スキルの進化を加えるともうすぐで百になるだろう。
『固有級』スキル獲得数は四つ。カリナもこのゲームを始めて数日が経つが、噂はすでに聞いていた。
「確か『固有級』のスキルを持ってんのって、まだ一人しかいなかったよな」
フラムは空気を読まずにそう呟く。
しかもそれを四つも持っている存在。見逃される訳が無い。
「まぁ気長に楽しもうよ!!」
「当然だ! 強くなる、これしか方法はないだろう!!」
「そうだな。それに、ランキングの一位なんて羨ましいものだ」
レッカがそう励まし、フラムが鼓舞して、アントが羨む。
いい仲間達を持ったと、カリナは笑顔を浮かべたのだった。




