職業【天文学者】は呟く
職業【天文学者】は第三階層のボスと対峙していた。
甲鎌針禍蟲
HP 500/500 MP 100/100
一部のプレイヤーからは「やるゲームを間違えた」や「強すぎてこれ以上行けない」等の非難の声が上がっているボスだ。
しかしこのボスは大して強くない。それは、この階層が『火』に対して弱すぎるからだ。
蟲の魔法による攻撃が飛んでくる。しかし、それは【天文学者】に当たることなくすり抜けた。
「【白煌星】」
このゲームは「なにを頼るのか」を選択するゲームだと考えている。
例えば第三階層の正解は『火』だろう。しかし、『火』だけを鍛えていても次の階層のボスは倒せない。
第四階層のボスは『火』を使うからだ。だから『水』を頼ることが正しいが、それでは『魔法』に頼るべきかと問われれば答えは否だ。
いづれは魔法は通じなく鳴る。おそらくその時も非難の雨が降るだろう。
正しい選択は変わり続ける。
だからこそ【天文学者】は『仲間』を頼ることにした。
「【白煌の直裁】」
放たれた必中の光線は、甲鎌針禍蟲を貫いた。
第四階層に移動すると、三人の仲間が待ちわびたように声を掛ける。
「なに見てるんですか?」
「あぁ? また【遊び人】かよ」
「か、カリナ様……!」
獣人はそれを覗き見る。天文学者は画面に一人のプレイヤーを映し出していた。
それは第二階層のボスをたった五秒もかからずに倒したという伝説だった。
「仕方ないでしょ、こんなのすごい以外の言葉が出ないよ! あの時の彼女がまさかこんなにも強いとはねぇ」
青年はそう諭すが、皆には伝わらない。
「知ってんのか?」
「まぁ、少しだけね」
「今日も相変わらず素敵ですね、カリナさまぁ」
目をハートにして画面に釘付けになる弓士。それを気にしない様子で天文学者は画面を閉じる。
「それじゃあ次はどうする?」
「そうだね。このまま第四階層のボスも倒そう」
「はぁ? 簡単に言うが、難敵だぞ」
「大丈夫です! うちには心強い仲間がいますから!」
リーダーは微笑んだ。
【遊び人】が自分にどのような影響を与えるのか、淡い期待を抱いたのだった。




