職業【遊び人】進化
スキル取得
【異常適応】
「なぁ、お前何してんだ」
アントに声を掛けられてカリナは集中を解いた。
すでに状態異常への耐性は最大限までゲットできているらしい。
カリナは全てのモンスターを消滅させるとアントのいる方へと駆けた。
「アント、上手くいったよ! 剣のスキルを二つ手に入れた」
今手に入れた「異常適応」とは状態異常にかかっている時間と種類が増えるほど、攻撃力と魔法攻撃力が上がるスキルだそうだ。
常に毒、麻痺、鈍足、混乱の状態異常下にいるカリナと相性が良かった。
彼女は状態異常に関するスキルを得たことを伝えると、彼は斜め上の方を向いて考える。
「例えば、剣に触れた敵にも状態異常を与えられたら強いのにな」
「確かに!」
そう考えた瞬間。スキル取得音が唐突に流れる。
アントが眉をしかめた。
スキル取得
【異常伝播】
「今のはなんだ」
「スキルをゲットしたんだよ。聞こえたの?」
「あ、あぁ。しかしどうして……」
彼女は流れるように画面を見た。
これは受けている状態異常を武器にも流すことが出来るようだ。あまりに都合がよく、カリナは考える。
しかしスキルの数が増えてきた。カリナはステータス画面を見てみる。
カリナ
Lv.27
スキル
【七転び八起き】【歩耐性】【積年の恨み】【練達】【無呼吸耐性】【不動】【粘性之王】【常連】【耕作】【剣士】【物理半減】【魔獣致死】【魔獣半減】【統御・飢餓イノシシ】【要塞】【ハイジャンプ】【生贄】【始原・スライム】【始原・飢餓イノシシ】【裏切り者】【毒の体】【投擲】【背水の陣】【光耐性】【統御・淡光バンビ】【始原・淡光バンビ】【毒殺】【自爆】【始原顕現】【挑発】【統御・錯乱ホーネット】【統御・粘糸スパイダー】【始原・錯乱ホーネット】【始原・粘糸スパイダー】【統御・電痺スネーク】【始原・電痺スネーク】【剣断】【間合】【電痺の体】【停滞の体】【錯乱の体】【異常適応】【異常伝播】
スキルの一覧はびっしり詰まっており読みづらくなっていた。スキルで戦う性分なのですこし扱いづらい。
その時、天は囁いた。
『スキル数の上限超過を確認。合成・統合を開始しますか?』
「えっ」
「……!?」
アントが銃を構えて空を見る。しかしそこには何もいない。
彼にも聞こえたのだろうか、周辺に聞こえるようにアナウンスが流れた。
何だこの現象はと、初めての体験で二人は動揺を隠せないでいた。
(スキルの合成……それは当然したいけど)
瞬間、声が響く。
『承諾を確認。現在のスキル構成から、合成可能な組み合わせを提示します』
カリナの目の前に画面が浮かぶ。そこにはいくつもスキルが並んでいた。
「お、おい! 承諾を確認ってなんだ! 遊び人、今承諾したのか!?」
「え、う、うん……多分表面心理を読み取ってるのかも。合成してもいいって考えたから」
「これは、どういうことだ? 何が起きている?」
アントが目の前まで歩いてくる。しかし声が聞こえただけのようで、画面は見えていないようだ。
画面に並ぶのは合成候補らしい。
【逆境・異常成長軸】
『素寒貧』『七転び八起き』『背水の陣』『異常適応』
【防御・固定・要塞思想】
『不動』『要塞』『無呼吸耐性』
【空間・位置支配】
『歩耐性』『常連』『耕作』『ハイジャンプ』
【状態異常・身体化】
『毒の体』『電痺の体』『停滞の体』『錯乱の体』
【群体指揮・支配領域】
『統御・飢餓イノシシ』『統御・淡光バンビ』『統御・錯乱ホーネット』『統御・粘糸スパイダー』『統御・電痺スネーク』
【身体変質・原型再現】
『始原・スライム』『始原・飢餓イノシシ』『始原・淡光バンビ』『始原・錯乱ホーネット』『始原・粘糸スパイダー』『始原・電痺スネーク』
画面には見慣れたスキルが羅列している。
そうやら似ているスキルがまとめられているらしい。カリナはふむと唸る。
全部合成したいと言うのが彼女の感想だ。なぜなら彼女は多すぎるスキルに把握しきれていなかったためだ。
これらからどれかを選ばなければならないのであれば、彼女も存分に悩んだであろう。しかしそうでないなら悩む必要はない。
そんな心理を読み取ったのか、天は応える。
『全ての合成の承諾を確認。合成を開始します』
その声が聞こえると、あたりが光に包まれる。
「カリナ!?」
その瞬間に、頭に情報が流れてくる。
何なんだこの現象は、新たなスキルの情報が手に取るように分かる。最近のMMORPGは最先端だ。
カリナの半径十メートルの範囲が光に包まれ、天は合成したスキルを報告する。
『
【素寒貧】【七転び八起き】【背水の陣】【異常適応】を合成、レアリティは【希少級】です。
【不動】【要塞】【無呼吸耐性】を合成、レアリティは【希少級】です。
【歩耐性】【常連】【耕作】【ハイジャンプ】を合成、レアリティは【希少級】です。
【毒の体】【電痺の体】【停滞の体】【錯乱の体】を統合、レアリティは【希少級】です。
【統御・飢餓イノシシ】【統御・淡光バンビ】【統御・錯乱ホーネット】【統御・粘糸スパイダー】【統御・電痺スネーク】を統合、レアリティは【固有級】です。
【始原・スライム】【始原・飢餓イノシシ】【始原・淡光バンビ】【始原・錯乱ホーネット】【始原・粘糸スパイダー】【始原・電痺スネーク】を統合、レアリティは【固有級】です。
』
スキル取得
【窮地適応】【不落要塞】【戦場掌握】【常在異常】【統御生多相】【始原同一化】
『以上、スキルの合成・統合を終了します』
その声が届くと、カリナはそこに立っていた。彼女は振り向くようにアントを見る。
アントは固唾を飲む。
「カリナ」
「大丈夫だよ、僕は問題ない――」
「大丈夫じゃねぇよ……」
カリナは首を傾げる。
アントはその不可解な現象に目を疑った。
それなのに彼女の冷静な態度に冷や汗を流す。
「ねぇ、アント?」
カリナが振り返り一歩進む。
しかし、アントがそれに応えるように一歩下がった。
「あんた、何者になろうとしてんだ」
彼は瞳孔を小さくして言う。
カリナは微笑むと、口を開く。
「職業、進化したよ!」




