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職業【遊び人】状態異常に酔う

 森の中は薄暗く、空気は湿っていた。

 カリナは一人では心細いため、スライムを抱いて待つ。

 すると奥からカサカサと音がする。


「おっ、きたきた!」


 それは蜘蛛のモンスター、彼女が召喚した粘糸スパイダーであった。

 蜘蛛は黒い体にそばかすのような桃色の目が八つあった。蜘蛛は体の上に糸でぐるぐる巻きにされたヘビを掲げていた。

 後ろからどんどんと蜘蛛の行列ができていく。

 カリナは容赦なく剣を振り下ろす。瀕死のヘビはそれだけで倒されていった。

 蜘蛛達は用が済むとまたまばらに散っていった。文字通り蜘蛛の子を散らすようだ。


「うん、順調だね!」


 これは彼女の作戦であった。

 カリナ自身には索敵能力がなく、しかし「挑発」を使って敵を集めても麻痺になってしまえば動けなくなる。

 そのため彼女は待機。召喚した蜘蛛にヘビを連れてきてもらい、それを剣でぶった切っていくという作戦を立てた。



 スキル取得

【統御・電痺スネーク】【始原・電痺スネーク】



 統御と始原のスキルを得るのは早かった。

 しかし、剣を使うスキルを得るのには時間がかかった。カリナは剣を使って戦っているわけではないので当然と言えばそうなのだが。



 スキル取得

【剣断】【間合】



「きたきた!!」


 スキルを取得できた。概要を見てみるが、それはカリナの想像とは違っていた。

「剣断」は動けない敵に対して剣の攻撃力が上がる。「間合」は敵との距離が近ければ近いほど命中率が上がるそうだ。


「命中率?」


 命中率が上がると言われても、ピンと来ない。

 蜘蛛の召喚を解くと、野良のヘビに対して剣を振ってみた。

 すると、剣は吸い込まれヘビを胴体を切る。ヘビは悲鳴を上げることなく一撃で倒された。


「ホーミングするんだね! これは使えるかも?」


 剣による攻撃をしたことはなかったが、これを使えば剣で戦うことはできるかもしれない。

 カリナは無事に「統御・電痺スネーク」を使えるため、近くのヘビを集めると剣による攻撃を与えていく。

 自然に湧いたモンスターは敵という扱いになるため、経験値が獲得できていた。

 剣の使い方に慣れずに空振ってしまうが、ヘビはカリナに攻撃を与えられないので問題ない。

 それのついでにログアウト中にゲットできそうなスキルを考えていたため、獲得できないか試してみる。


「錯乱ホーネット、粘糸スパイダー、電痺スネーク召喚」


 モンスターを一体ずつ召喚した。これらのモンスターはそれぞれ「混乱」と「鈍足」、「麻痺」の状態異常を与えることができた。

 つまり、耐性が得られるというわけだ。三体にはちょっとずつカリナに攻撃をしてもらっていた。電痺スネークは召喚したものかそうでないものかを見分ける練習にもなった。

 しかしこれがカリナにとって辛い経験となる。


「あ、あれ?」


 麻痺のせいか、何度も剣を落としてしまっていた。指先が痺れて思うように動けない。

 拾おうとしても、体が動かない。鈍足の影響で体が動きづらいのだろう。蜘蛛に糸で剣を拾ってもらう。剣を両手で握ると、蜘蛛の糸で剣と手が離れないように縛った。

 しかし今度は、攻撃対象を誤る。電痺スネークの見分け方だが、召喚したほうが色が淡い。だから濃い色を狙おうとしているのだが、これが上手く行かない。

 なぜか召喚した方を切ってしまうのだ。混乱の影響だろう、剣先もフラフラと揺れて上手くダメージを与えられていなかった。しかし「間合」のお陰で楽にダメージを与えられていた。



 スキル取得

【麻痺耐性】【鈍足耐性】【混乱耐性】



 少しずつスキルを獲得していたが、体はそれに追いつかない。

 次第に平衡感覚が鈍り何もしていないのに体が倒れてしまう。乗り物酔いをしている感覚に近い、蜂に助けられながら立ち上がる。


「えへへ、虫苦手だったんだけどな……」


 混乱の影響か、もしくは一緒にスキルを取得しようとしているためか、苦手だった蜘蛛や蜂にも愛着が湧いていた。

 次第に状態異常の効果は薄れてきており、カリナも体の軸を取り戻していた。

 剣は順調に敵のヘビに当たるようになり、攻撃速度も増していく。



 スキル取得

【麻痺半減】【鈍足半減】【混乱半減】



 手から蜘蛛の糸を外し、片手剣を片手で握って攻撃が出来た。

 しかし踏み込もうと足を力むと、そこが痺れてすっ転んでしまう。変なクセがつかないために姿勢を立て直す。



 スキル取得

【麻痺無効】【鈍足無効】【混乱無効】



 スキル取得を伝える通知が来ていたが、カリナはそれに気づくことなく剣を振る。

 カリナは多才だ。彼女は環境や技術への適応能力が常人よりも早かったのだ。

 それは天才の領域であり彼女が【遊び人】に選ばれた理由だった。



 スキル取得

【電痺の体】【停滞の体】【錯乱の体】



 遠目で見ていたアントが、思わず銃を落としていた。


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