表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/34

職業【遊び人】武器を手に取る

「うーん……なにしようかな?」


 お風呂も夕飯も済ませてしまい、することもなかったためログインした。

 カリナは第二階層の町で行くあてもなく歩いていた。


「時間ができたときには、スキル取得かな?」


 彼女からすれば、スキル取得はレベル上げと同義であった。

 しかし、一つの効果音が聞こえそれを中断する。


「あ、アントからだ!」


 メッセージが来ていた。内容は第二階層のフェオレの森に来てほしいとのこと。

 昨日レッカから、アントから呼ばれるかもと言われていたがだけに緊張してしまう。

 今すぐ行くと返信をしてカリナは町の外へと出る。


「ここからフェオレの森だと、だいたい歩いて十分くらいかな、遠いなぁ」


 これまでゲームを続けてきたが、素早さに関するスキルはまだ手に入れていない。

「歩体制」や「常連」といった移動系スキルがあるにはあるが、どちらもフェオレの森に行くには都合が悪かった。

 となると飢餓イノシシを召喚してそれに乗っていくのが妥当だと考える。しかしそれでは単純すぎて面白くはない。


「淡光バンビ、スライム召喚。『耕作』」


 耕作は指定した対象を地面に埋めることができる。眼の前で、鹿が地面に逆さに埋まっていた。

 胴体だけがでて四本の足が地面から生えている光景に彼女は手を合わせた。

 彼女はスライムを盾にして、ジャンプした瞬間にスキルを使う。


「『自爆』!」


 そういうと、淡光バンビが光を発して爆発した。

 爆発の威力を受けて、体が宙に浮いた。カリナはフェオレの森に一直線に飛んでいく。

 地面から数十メートルの距離を、フラムと飛んだときと同じかそれ以上の速度で進んでいく。

 気がついたときには、すでに森付近であった。


「錯乱ホーネット召喚」


 スライムを手放して、蜂の胴体に捕まる。ゆっくりと降下すると、森の入口に着地した。

 蜂を消してあたりを見渡していると、後ろから声を掛けられた。


「あんた、何をしてんだ……」

「お、アントじゃん! お疲れ様」

「おう。さっきスライムが飛んでたんだが、もしかして遊び人の仕業か?」

「え? あー、どうなんだろ」


 カリナは後ろめたい気持ちを隠そうとして声を震わせる。

 彼は諦めたようにため息を吐くと、振り返り歩き出す。

 彼女も走って着いていく。


「ところで、どうして呼んだの?」

「あんた、武器を壊したんだろ? さっき鍛冶屋がログインしててな、あんたにあげるための武器を預かってたんだ」


 アントは立ち止まって二つの武器を取り出した。

 一つは鉄でできた短刀、もう一つは同素材の片手剣だった。特殊な装飾はなく、武器屋で数百Gで売ってあるような武器であった。


「二つ? なんで?」

「どうやら本命の武器を作るまでの仮の武器らしい。二つあるのはあんたがどんな武器を使うのか分からないからだそうだ」

「すごいね……こんな簡単にもらっちゃっていいのかな」

「俺も聞いたが問題ないらしい。生産職らしくこの二つの武器は五分もかからずに作ったそうだ。素材も市販の武器だそうで、礼はいらないと」

「レッカは心が広いんだね、錬金術師も伊達じゃないってことか」

「錬金術師?」


 アントはそう言うとニヤニヤと笑った。

 笑顔を見せるのは稀であり、カリナはその不気味さに体を強張らせた。


「あいつ、錬金術師ってことがとうとうバレたのか」

「知ってたんだ」

「当然だ。生産職の戦い方が知りたくてアイツのことを少し調べたんだ。面白いやつだよな」


 アントもストーカーだったのかと目を細める。

 どうしてこうも血気盛んなプレイヤーが多いのかと考えるが、単にカリナの周りが変だということを彼女は知り得なかった。

 彼女は武器を受け取ると、そのステータスを見る。



【鉄の短刀】

 作成者『レッカ』

 状態異常のプレイヤー・モンスターに対して攻撃力・魔法攻撃力上昇

 装備可能『カリナ』




【鉄の片手剣】

 作成者『レッカ』

 状態異常のプレイヤー・モンスターに対して攻撃力・魔法攻撃力上昇

 装備可能『カリナ』



 どちらも同じステータスであった。それは状態異常の敵に対する敵へのバフだ。

 カリナが毒の体を持っていることを伝えていたため、使いやすい武器を作ってくれたのだろう。


「アントもありがとう。ところで、これをくれるために呼んだの?」

「まさか。これから武器を使って戦うんだろ? けどこれまでスキルに頼っていたせいで、武器を使った戦い方ができなさそうだと思ってな」

「そ、それは……」

「じゃあできるのか? その武器を使ってあの蟲を倒すイメージが湧くのか?」


 そう問われて、彼女は言い淀んだ。

 彼の言葉は的中していた。運動はできるかもしれないが、剣の扱い方は知らない。

 剣の扱い方を学びたいが、身近に剣を使う人はいない。しかし剣を使って敵を倒したい。

 うーんと唸っていると、アントが口を挟む。


「できることといえばスキルを取得だろう? 剣を適当にぶん回してればなにかゲットできる」


 アントは銃を手に取ると、静かに構えた。

 地面の方に向けて狙いを定める。


「それにここには『麻痺』を使うモンスターがいるんだ。ついでに麻痺の耐性をとれれば一石二鳥だろ?」

「麻痺……」

「ほら後ろ」


 躊躇なく引き金を引く。

 カリナは振り向く。

 茶と黒のまだら模様、全長一メートルほどの全長、鋭い牙を持ったモンスター。

 ヘビのモンスターが、今駆除されているさなかであった。



 電痺スネーク

 HP 0/20 MP 0/0



「やるぞ」

「う、うん!」


 アントは銃を、カリナは片手剣を持つ。

 二人の狩りが始まった。カリナは一つの作戦を思いつくと、スキルを発動するのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ