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職業【銃使い】己を語り友を知る

「降参だ」


 そう言って男は木から降りると両手を上げた。それにつられてモンスターが消えていく。

 気づけばレッカの数も一人に減っており、羽をしまって男から銃を奪い取っていた。


「もう、勝手に変なことしないでくれる?」

「銃の性能を知りたかったんだ。それに、あんたについても知りたかったしな」

「ストーカーなの? ま、返してくれればそれでいいけどね」


 男はこちらの方を見る。頭からつま先までまじまじと見つめると、不思議そうな表情を浮かべる。

 あっさりと降参を認めた男は、レッカに対してフランクに話し出す。そんな様子にカリナは不気味な感覚を抱いていた。


「この子は?」

「僕、カリナです。職業【遊び人】の人間」

「私は【鍛冶屋】、亜人族(デミヒューマン)のドッペルゲンガー! って、知ってるか!」


 そう言ってレッカは大口を開けて笑う。しかし男の方は真顔でこちらの見つめていた。

 黒髪のいたって普通の美少年、カリナと比べると頭一つ違うほどの身長。フルオートの長い重心を持つ銃、それを持つと一気に身が引きしまるのを感じた。防具は防弾服で、ポケットに銃弾の詰まった箱が見える。

 レッカは銃の点検が終わったのか、男に返しているのが分かった。


「返してくれるのか?」

「あんたが勝手に持ち出したんでしょ! 最後の点検を完了させたらすぐにあげてたんだから!」

「それは悪かった、報酬は――」

「だから要らない!」


 レッカは近づくアントを制する。しかし彼は不服そうな表情を浮かべる。

 ことの発端はレッカが銃の最終点検を行う前に、アントが銃を奪っていったようだ。それはレッカと戦いたかったため。なぜレッカと戦いたいのか分からないが、彼らにも諸事情というのがあるのだろう。どちらにせよ、彼ら自身が納得しているのだから、カリナが口を出すのは野暮というものだった。


「ところで君は?」

「俺か、自己紹介が遅れてすまん。俺はアント。獣人族のキメラで、【銃使い】だ」

「キメラ、銃使い……」


 よく見ると、彼のおしりには灰色の尻尾が付いていた。しかしそれ以外にキメラ要素がないように思える。


「キメラにしてはなにもないよね! 人狼の間違いなんじゃないの?」

「俺の目は鷹の目だ。ほら、若干色が違うだろ」


 レッカはアントの目元をじっと見つめた。レッカとアントで目があっていることに気がついているのだろうか。

 カリナもレッカに並んでじっと見つめてみたが、よく分からなかった。


「キメラって言うけど、キメラっぽくないよね」

「それなっ! キメラってもっとこう獣っていうか、毛深いっていうか」

「虎の爪とか蛇の尻尾を持つのがキメラだと思ってないか? 一つの体に複数の遺伝子が組み込まれていれば、それは立派なキメラだ」

「ふーん、よく分からないね」

「ところでほんとに報酬要らないのか? 本当は迷惑をかける代わりに、俺の持ってるモンスターの素材を報酬にしようと思っていたのだが」

「アントは分かってないね、素材は回収してる時が一番楽しいの! でも、そこまで礼がしたいって言うなら――」


 そう言ってレッカはカリナの方を見る。

 カリナは僕? と自信を指差す。


「カリナはまだ第三階層のボス倒してないよね?」

「うん。第三階層は虫の敵がいて、一人で倒すのは難しいなって思っていたところだよ」

「でしょでしょ、私も虫苦手だよ! ところでアント君はまだ第三階層のボス倒してないんだよね?」

「あぁ」

「じゃあさ、一緒に第三階層のボスを倒そうよ! か弱い女子二人を凶悪な虫と戦わせるなんて見てられないでしょ?」

「……カリナは女だったのか」


 アントは銃を紐にくくりつけて背負う。

 レッカはカリナの腕に抱きつく。か弱いとは言うが、二人はアントに勝っているのだ。か弱いか? とカリナは一瞬愚考する。


「分かった。それで俺の罪を許してくれるなら一緒にボスを倒そう。そうと決まればまずは魔法屋だな」


 アントは振り向くとそそくさと歩いて行った。


「ほら、カリナ行くよ!」


 レッカはカリナの手を引っ張る。

 体を引かれて共に歩を進める。


「昨日の敵は今日の友、やるぞー!」

「意外にも仲良さそうだね」

「ま、私にかかればどんな敵だって明日には友だよ!」


 レッカは赤い髪を揺らして笑った。よかった、彼女はオリジナルの彼女だ。


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