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職業【鍛冶屋】モンスターの力を借りる

 僕たちは町を出てすぐのところにいた。


「ところでカリナ、どうやって犯人捜しするの?」

「できるかどうかわからないけど……飢餓イノシシ召喚」


 眼の前を指さして振り上げると、イノシシが光の粒子をまとって現れた。牙をぶんぶんと振り回しアピールをする。このアピールは僕が想像したものだったのだが、レッカが「可愛い!」とイノシシにすり寄っていく。


「このモンスター、第二階層にいた子だよね! 召喚できるんだ!」

「まぁね、確かイノシシって嗅覚が鋭いらしいからこれで辿れるかなって」

「それ、聞いたことある! トリュフを探すイノシシもいるんだよね?」

「それは多分豚だと思う」

「あれ? そうだっけ?」


 首を傾げるレッカをよそ目に、飢餓イノシシにレッカの服の匂いを嗅がせる。


「何してるの?」

「レッカの匂いを嗅がせてる、レッカが作成した武器にも同じ匂いがするでしょ?」

「なるほど! その匂いを辿っていけば、いつかは犯人のもとに行けるって訳ね!」


 さっすがカリナ! とレッカは指を鳴らす。飢餓イノシシは表情を変えることなく一方向をじっと見ると、途端に走り出した。

 僕達をおいていくなんて、確かに僕は持ち主を探してほしいと願ったが主を置いていってどうする。


「ちょっとまっ――」

「カリナ!」

「っ!」


 名前を呼ばれて途端に振り返る。すると、レッカはぎゅっとカリナのことを抱きしめた。

 頬が急激に赤くなるのを感じる。カリナは緊張で体を強張らせた。


「動かないでね!」

「う、うん」

「【転写(てんしゃ)】!」


 そう言うと同時に、レッカの背中から緑の羽が四枚生えた。カリナはその姿から例の虫を思い出し目を見開いた。

 羽がゆっくりとはためかせると同時に、体が宙に浮く感覚を覚えた。これは、あの虫の力を使っているのだろうか?

 宙に浮いた二人は速度を上げると、飢餓イノシシのスピードに追いついた。イノシシと同じくらいの速度を出すなんてすごすぎる。


「は、早いね!!」

「でしょでしょ! 良いスキルだと思わない? カリナに負けないように、頑張って習得したんだ!」


 レッカは順調にイノシシの背中を追いかけていた。

 イノシシはそのまま森の中へと入っていく。森の中は木々で埋め尽くされているが、いくつか獣道と呼べるような道ができていた。

 道とは言えないような地面を駆け抜けていく。あたりは徐々に太陽光を失っていた。

 イノシシは順調に走っていたが、途端に直角に曲がった。その先は薄暗く、道も悪い。スピードが劇的に落ちたが、それでも歩くよりも安全で早かった。


「すごいところに入っていくね……」

「こんなところにプレイヤーがいるなんて! 見つけたらボコボコにしてやるよ!!」


 笑いながらそう話す。

 町から離れておおよそ五分ほどの距離、徒歩だと十五分はかかるであろう場所まで来た。

 日光はほとんど通っておらず、草が膝の高さまで生えている。

 気持ち悪いと感じていた時だった。


『パンッ――』


 破裂音がした。その瞬間、イノシシがエフェクトと共に消える。

 イノシシが一撃でやられた。悪い予感がする。


「いるっ!」

「え、どこ!?」


 着地すると、二人は分断するように木々のそばに隠れた。

 カリナは武器を持っていないため、モンスターを召喚するしか戦う方法はない。


「スライム召喚」


 小声で唱えると、お腹にスライムを抱えた。


『ブンッ――』


 耳元に銃弾が風を切る音がした。僕は口元を手で隠す。

 これが頭なんかに当たれば一撃でやられる。そう思い肝を冷やす。


「私はこっち! 武器、返して!」

「来たか、鍛冶屋」


 レッカが木の後ろでそう話した。ヘイトを向けるためだろう。

 助けに来たのに、足手まといになっているような気がして罪悪感を感じていた。

 しかし、注目を集めてくれたのだ。相手の姿だけでも認識しようと木の陰から顔を出した。


「あれは……」

「気をつけて! あいつは【魔法使い】!」


 木の上に男が一人立っていた。その手元にはファンタジーの世界には似合わないもの。


「【魔法使い】から進化した。今の俺は【銃使(じゅうつか)い】だ」


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