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職業【遊び人】第二階層の攻略を開始する

 第二階層は東の森、正式には「フェオレの森」というカ“フェオレ”が無性に飲みたくなる森。町からおよそ十五分程度で着いた。

 森の中は生い茂る木々のせいで日光が直接地面を照らすことはなく、薄暗い森の中を一人で歩いていた。

 どうやらこの森の中にはイノシシ以外のモンスターが出るらしい。そのモンスターの統御系スキルを取得できれば、一度に呼ぶことができるモンスターが十匹から十五匹に増えるためぜひ獲得したい。

 しかしフラフラ歩いていても仕方がない気がする。そのため僕は一つの作戦を立てた。


「スライム召喚、飢餓イノシシ召喚」


 そう言うと、眼の前にはスライムとイノシシが各五体ずつ現れた。


「いい? 新しいモンスターを見つけたら僕の下まで連れてきてね」


 モンスターはそれを聞くと、意思を持ったように散り散りになった。スライムの移動速度は低速であまり役に立ちそうにはない、イノシシはまっすぐにしか走っていかないためこちらも役に立ちそうになかった。ないよりマシというやつだ。

 ポヨポヨと弾んでいるスライムのうち一体を捕まえる。


「君はお留守番ね」


 召喚したモンスターはどう扱うにしろ最終的には消えてしまうため、愛着がわかないようにできる限り目を逸らす。

 そんなことをしていると、一匹のスライムがこちらに向かって来ていた。しかし、その姿は一瞬にして光の粒子と化して消える。

 その後ろには一匹のモンスター。

 象徴的な角は美しい、丸い目玉はこちらをじっと見据えている、細い体からは神秘的な雰囲気を感じた。


 淡光バンビ

 HP 30/30 MP 15/15



「すごい、ちょっと……光ってる……!」


 角が少し光っていた。それ以外は普通の鹿だ。鹿はこちらをじっと見つめていたためこちらもじっとしていると、鹿の立つ地面に魔法陣が展開された。

 そ、そうだ! フラムから事前にメッセージをもらっていたが、このモンスターは魔法を使うのだった!

 カリナはおどろくが、手にしていたスライムを片手で持つと、思いっきり鹿に投げつけた。


「行けっ! スライム、体当たり!」



 スキル取得

【投擲】



 体当たりと指示するのはいいが、投げられた慣性にスライム程度が抗えることなどできない。しかしその攻撃はしっかりとスライムの体当たりとして処理された。

 スライムの攻撃力の総計は、まず「裏切り者」によってカリナのスキルが乗る。そして「素寒貧」、「魔獣致死」の二つが乗っている。また、スライムは「毒の体」によって毒を付与することができた。

 そのため、その威力は鹿の体力の九割を削るものだった。スライムをぶつけるだけでは倒せなかったが、その後少し待つと鹿は倒れた。討伐成功だ。

 ちなみについでに獲得したスキルである「投擲」は、単にモノを投げるのが上手になるらしい。よくわからないが、命中率が上がるということで良いだろう。


「よし! これで『積年の恨み』が乗るから一発で倒せるかな?」


 こうなれば後は狩りを続けるだけだ。僕は継続して9匹のモンスターを常に召喚し続け、鹿を攻撃するように命令しておく。そして眼の前に現れた時は手元にいるスライムを投げつける。

 そうしていくつかのスキルを手に入れた。



 スキル取得

【背水の陣】【光耐性】



 今回はたった二つだけだ、なんだか少ないがそもそも取得できるだけありがたいのだ。

 そう思いながらスキル概要について見てみる。

「背水の陣」はHPが一割のときに攻撃力と魔法攻撃力が強くなるらしい、王道で強い。

 もうひとつの光耐性はそのまま光属性の耐性らしい。

 カリナは訳が分からない様子であったが、単純な属性への耐性だ。このゲームには基本属性が6つあった。火、水、土、風、光、闇だ。そのうちの光への耐性というだけだった。

 そして、鹿を三十匹ほど倒したときだった。


 スキル取得

【統御・淡光バンビ】


「おぉ! やっとゲットできた!」


 例のモンスターを意のままに操ったり召喚したりできるスキルをゲットした。

 カリナは満足した様子でよってきた鹿の角を撫でていると、またもやスキル取得音が流れる。



 スキル取得

【始原・淡光バンビ】



「あっ、そっか! 【生贄】の効果も同じタイミングで発動するんだね」


「始原系」のスキルはそのモンスターに擬態ができるらしい。また、モンスターの持つ力を使えるようになるらしい。しかしこれまでゲットしたモンスターには特別な力はなかったため、あまり注目していなかった。しかし、淡光バンビには光る角がある! そう思いカリナはスキルを使用するが、


「これ……光ってる……よね?」


 カリナの頭の上に、淡い光を放つ鹿の角が生えた。鹿の角はメスには生えないのだが、そこはゲームの都合というものがあった。

 あまり似合っているとは言えないが、というか客観的に見れば全く似合っていないのだが、カリナはそのシュールさが妙に気に入ってしまった。

 こうなってはカリナは止められない。結局この角はログアウトまでつけることになることは別の話だ。


「それじゃあ最後に」


 フラムから言われていた作戦はもう一つあった。

 それは、毒の効果を上昇させるスキルだ。取得条件は分かっていないが、そこはこれまでの経験でなんとなく試してみるに限る。

 そう思いスライムを抱きかかえて「『裏切り者』解除」と言ってみると、スライムの体は毒にまみれて倒れていった。

 すると、その行動が正解だったのか、あっさりとスキルを取得してしまった。



 スキル取得

【毒殺】



「僕も成長したものだね!」


 そう言ってない胸を張ると、周りのモンスターが歓喜した。

 スライムは飛び跳ね、イノシシは角を突き上げ、鹿は前足を上げる動作を行った。

 ここには、カリナを冷静に諭すものがいなかったのだった。


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