表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壊れた春に芽吹く、しずかな愛  作者: 婀娜
第二章 距離と優しさ
15/16

第十一話 同居

調停を終えた夜、冷たい風が二人の頬を撫でていた。

街灯が並び、交差点に映る影は、優香と凛の二人だけ。

「——次に住む場所は、もう決めてありますか?」

凛がふと問いかける。

優香は小さく首を振った。

「……実家に戻るつもりです。でも、翔の学校も転校しなきゃいけないし……」

凛は足を止め、まっすぐに優香を見た。

「それなら、私の家に来てください」

「え……でも——」

優香の声が震える。

凛は静かに首を振った。

「迷惑なんかじゃありません。むしろ、その方が安心できます。……翔くんのことも、必ず守りますから」

その瞳は温かく映った。けれど奥底に潜む光は、誰にも読み取れなかった。

優香の目に涙が滲む。

「……ありがとう」

凛はそっと優香の手を取った。

「大丈夫。もう二度と、あなたを孤独にはしません」

交差点の信号が青に変わる。

二人と一人分の未来は、同じ方向へ歩き出した。

だがその道が「救い」か「束縛」かを知る者は、まだいなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ