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iyguio

作者:

何となく書き始めてみてもし終わりが来なかったらそのままにしておこうという気持ちで今これを書いているのだがあるいはもしそれが訪れなかったらそんなことはあるのかどうか今の段階では分からないがそれはそうと気がついたことがあってそれはまだ何となく始めるということに抵抗がある人たちに対してあまり準備をしない方がいいよというのを忘れていたということだ。

みんなが集まっている中に飛び込むのは勇気がいるのでやっぱりそういうのはやめておいて勇気のかけらもないようなことばかり繰り返しているのだがそれが書かれた当初の気持ちに立ち返って思い出されることもあるよって言われてた気がする。それは全然二日ほど前に気がついたことなのだが、でもやっぱりそれはあんまり正しいことでは無かったのかもしれない。思いついたままに物事を重ねていくだなんてそんなものはあまりに失礼だ。何に対して、誰に対してかは分からないけどとにかく失礼だという気持ちがそう思わされているだけのような気もするが。捉え所のないような気持ちを捕まえようとするとき何かわかったようなつもりで書き始めると大抵時間の無駄みたいになる。それはしてはいけなかったことみたいになる。一日中かけてようやく辿り着いた真実みたいなものにあまり興味がないのかもしれない。今、一瞬思いついたから何となくそれについて深掘りでもしてみようかみたいな雑念のようなものに囚われて導かれて歩いていく季節に雨が降ろうが雪が降ろうがそんなことにはあまり興味がないのかもしれなかった。

宝物が隠されているという地図を手に入れてそれをずっと眺めていると段々と見えてくる物があってそれはその地図の退屈さのようなものであってそれを手にした時の高揚感とは比べ物にならないような探究心の無さ好奇心の無さであって。そんなふうにしていつだって時間を無駄にするような暮らしの中で手に入れたはずのものが順番に転がり落ちていくような暮らしの中で思い出したことは何だったけ。何であれば思い出したことになるんだっけ。体が痛いとあまり余計なことを考えなくなるのか。心が弱っていると何もできなくなるというのは本当のことか。だって今しがた通り過ぎたことがあったはずだ。今しがた思い出したことがあったはずだ。それはいつだって透明な形をしていた。そうじゃないよって言われてもそういう形をしていたのだ。誰にも分からないことだらけだ。知られない方が良かったことだらけだ。手を開いてみても何もないということはそんなの当たり前のことだから。繋がりを求めてしまうことは当たり前みたいに言われてるけど別にそうでもないよなって、気分次第の問題だよなって、思ったんです。多分、そんなふうに思ってしまってあまり理解のない人間であるかのように思われるのが怖くてうなずいたような角度的にそう見えるような首の傾け方をしたのだけど本当は全くそんなふうには思ってなくて、それがどうしたくらいに思っていて。手を繋いでそれで何が分かるっていうんですか。檻に入れられていてそれが不幸の源だっていうんですか。気づかないでいることがある。たくさんの人がそれを無視していく。分からずやになりたくないけど誰もそれを分かってなどいないのだったらそれが正しいってことになるのはいつのことなのか。それが待たれているのか。いつのことになるのか。今だって声を出せば届きそうなのに。それを届けたいのかどうかすら皆目見当がつかないのです。見ていましたか。分かりましたか。それを。いつまで待ち続けますか。期待などせずに訪れてくるものをただ受け入れるということは恐ろしいのです。声をかけてください。体が震えています。脅かされています。いつだって。目には見えないものに。手に取れない事柄に。ここにいてはいけません。いけませんか。本当のことを教えてください。分かりたいのです。分かりたいのです。分かったような気持ちになっていたいのです。何かが訪れるのかもしれないというそんな日々を生き延びるために。




前に来すぎているかもしれない

後ろに下がった方がいいのかも

面倒なことになった

誰も追いかけてきていない

誰もそこで待っていないのに

一人だけで片付けを始めてしまった

何ということだろう

いきなり始まったのだ

夜が終わろうとしていた時

いつになっても朝がやって来ないなと思っていた時だった

手を挙げてみると

捕まったこともないような人たちが

わらわらと集まってきて

肩に肘を乗せ始めるのだが

重いよと言うと

どこかに消え去ってしまう

束の間の

交流だった

誰も目を覚ましていないまま

窓を閉めた

ノックする

どん どん どん

どん

割れた ガラス片

散らばって 

どこにもないみたいだ

見つかってしまったことが

いつになく

透明であるように

祈った

朝日に 

まだ追いつけないでいる

きっとまだ目覚めないでいる

子どもたち 

増えていく

乾いていく

伸びていく

どこまでも

待つ



足跡の間隔を辿って

どこまでも行き着こうと思っていたのだが

変わらずにいたものまでもが

少しずつ

目の前からいなくなってしまい

いらなくなってしまい

戸惑っているのだ

手のひらから

こぼれ落ちたものが

夢のかけらであったように

星のかけらであったように

そんな気がするのは

多分 消えてしまったものが

まだ近くにあるような気がするからだ

囁いてください

聞こえるような気がするのです

夜の向こう側に

朝の微睡みの中に

微笑んでいるよ

ガラスの瓶の内側

枯れ果ててしまった心の

どこか遠い場所で

きらきら輝いているよ

怖れないでいたら

目を閉じていたら

あっという間に過ぎ去ってしまう

少しだけ

少しだけ

少しだけ

知ってください 私のこと

あなたのこと



本当に

大事なものだけ

選んでいたら

時間が

無くなってしまうので

目を開いていられるうちに

息を吸って吐いてしていられるうちに

手当たり次第かき集めて

鞄の中に放り込んだ

家出をするのだ

どこへともなく

誰に頼ることもなく

あてどなく彷徨う旅人になるのだ

鍵を忘れてきてしまった

道順を覚えていなかった

旅人にはそんなこと関係ないのだ

勇んで行こう

寄り道せず

到達すべきところもないはずなのに

自信だけは有り余るほどに持った

そんな旅人になろう

風吹く晩も 雨降る朝も

歩みを止めないでいられるように

願っている

君がいつか辿り着くことができるように

私に出会うことがないように

一日の終わりを悔いなく

悲しみだけの日々にならないように

旅人は歌い続ける

山の向こうから

海の果てから

空のかなたから

声が聞こえてくる

安心を願っている 危険な命知らずの日々に

僅かばかりの




風が吹いてきて

空に雲が残っていて

渡らないまま通り過ぎた横断歩道の信号機に近づいて

あんまり考えないようにしていたことが

追いかけてくる

かもしれない

かもしれないうちに

歩いてしまったらいいよ

右の方向へ

左の

もう少し曲がった先にある

古い陸橋で

風船を飛ばしてしまった子どもが

空を仰いでいた

風が吹いていて

雲が残っていて




あんまりたくさんはない

少ししかない

形がない

動きがない

死んでいない

生きていない

分からない

置いてない

扱っていない

その本が欲しかったのに

手に入れさせてはくれなかったのに

諦めていない

後悔していない

何も考えてない

朝が来て夜が来て

ゆっくり過ごすということがない

忙しくしているというわけでもない

それで確かなものがない

根拠と呼べるものがない

笑わない

悲しまない

声をさせない

静かにしていない

座らない

寝転ばない

暴れない

大人しくしていない

代わりがない

誰でもない

そんなこともない

誰も読んでいない

書かれない

続きはない

終わらない




気がついてない

見つかっていない

分からない

宝物が在処を失ってしまう

きらきらした鍵が鞄の中にまだ入っていて

それを隠したまま家に持って帰る途中

割れてしまったガラスの破片が

散らばっている

あたり一面に転がっている

手当たり次第にかき集めている

証を必要としている

言葉が遠のいていく

そこにありますか

まだ置いていますか

無くなってしまいました

もう売り切れてしまいました

早く並ばなかったので

電話をかけなかったので

それはもうありません

大切なものなら

鍵をかけておくしかないよ

誰かに渡したくないなら

閉じ込めておくべきだよ

深い底の方に根ざしたものが

削り取られていく

スコップで

乱暴に

吹き出すから

声が

ここにいてはいけないと

扉を開けて

その門の前に立ち往生していると

やがて烏が啄みに来ます

鍵をかけておくしかないよ

息を潜めておくしかないよ




簡単なことが分かるときに

簡単なことが分かるときに

そうじゃないと気づくことは難しい

そうだよと言ってもらえたほうが嬉しい

従わないのに従ってしまっているときに

怒られたほうが理解した気になるのは

お前が全てを考えられるわけじゃないと

疑っているから

はっきり言ってもらえると嬉しい

隷従することが嬉しい

歌うことは止めてしまった



一人じゃなくなったからなんてことはない

意味が取れなくなったからって二つあるわけではない

ずっと不安に思ってたことが何か別のものに変わるなんて

それはきっと

別の何かみたいに

周囲をぐるぐる回っていて

同時に起こっていることが

まだどこかに残っていて

端っこの方にいる

人たち

挨拶して

さようなら

さようなら

もういいですか

後はもう勝手に決めておいてください

もういいですか

別に何か言おうとしていたわけでもないけど

はっきりしたことがないので

ここで途絶えてしまうことが

まずもって

確実

すべからくそうだ

息を整えてから

体に合ったことから始めよう

いつも途切れてしまう

会話

しないと

外に出ないと



まだ

まさか

その先に未来があるだなんて思っているのでしょうか

それはそうとして何とも信じがたい話ではありますが

見てください

外はすっかり真夜中で

未来にかざす光などないように思われます

それでもまだ歩みを止めないのなら

そこにはもうお先真っ暗の

生活があるだけなのですが

気付きませんか

そんなことにも気付きませんか

もう終わりなんですよ

閉店なんですよ

迷惑なお客さんにはなりたくないでしょう

だから早く帰ったほうがいいですよ

家に

家に帰れば

そこには光があるのか

そんな訳はない

闇と同居すべきだよ

私もそうしているよ

聞こえますか

一人でいるときに

涙が出そうになったときに

呼べる名前を用意していなくても

聞こえてないよ

もう二度と会うことはないでしょう

聞こえてるよ

私の名前を呼んでくれたね

呼んでないよ

嘘だよ

それは嘘だよ

ちゃんと聞こえてたよ

救いのヒーロじゃないけど

私がいるよ

聞こえてたよ

うるさいなあ

あなたにも聞こえるよ

もう一度歌ってね





ここには聞こえないものはない

目を閉じているだけで全て分かるということもない

未来はかけ違えたボタンのようなものだ

外に出ると思い出してしまう

いつかあったこと

ここに残ったこと

忘れてしまったのだ全て

遠い記憶の片隅で

鳴いている

音が

している


もう難しく考えることはないのだと

言い聞かせてくれた人は

どこにもいなくなってしまったが

目を閉じると


それがあるということに想いを馳せて

いつの間にかなくなってしまうということが

まだ別れ目にいるということが

どうしてこんなに悩ましいのだろう

選べばいいのだ

どこにもいなくなった私

挨拶してそのまま消えてしまった

突然起こることが

何だか遠い日のことについて語っているようで

目を閉じた

すると 

すると

すると

私はいつの間にかここに戻ってきていた

思い出した

起こっていたことを

悩んでいたことを

一つずつ増えていく街の灯りに背を向けて

暗闇の中に

「私が光ってるから 消えないんだ」

「正解」かそうでないかは

暗闇の向こう側にある

探しに行きませんか

目を開けて 

あるいは何も見えなくとも良いのです

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