机上の戦場 ※あらすじのみ
30個の机をくっつけて並べ、上に立って日本刀を振るえば、それはさながら闘技場の中心に立つ剣闘士。そして交わり合う日本刀とフルーレ剣から飛び散る火花。
命がかかっているとはいえ、火花を散らすのは嫌いじゃなく、むしろ好きな方だった。飛び散る火花こそ、まさに命と命の削り合いを表現しているかのよう。相手の苦悶に満ちた表情を見れば、なおさら高揚感を得ることができた。
腰に下げているホルスターにはワルサーP38。昔見ていたアニメの主人公がこよなく愛した拳銃だ。
「飛び道具が必要だから」と言われて真っ先に思いついたのは拳銃。しかし具体的な名称がないと用意できないと言われたため、とっさに思いついたのがこれだった。
今さらながら、最初から拳銃で仕留めていれば、今みたいにつばぜり合いをしなくてもよかったのにな、などと思いながら、彼は日本刀を振るった。その一撃は相手のフルーレ剣を弾き飛ばし、体制を崩した相手の喉元には日本刀の切っ先が突きつけられる。
「悪く思うな、俺とぶつかることになった自分の運命を恨め」
次の瞬間、日本刀が振り下ろされ、鮮血のしぶきが舞った。