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魔女の私と聖女と呼ばれる妹〜隣国の王子様は魔女の方がお好きみたいです!?〜  作者: 海空里和


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22.いきなり正体がバレました

「おはようございますエルダー様」

「おはよう、ロジャー……………?!?!」


 いつものダイニング。いつもの一人の朝食。


 ロジャーはいつもハーブティーを注いでくれる。だから、今日もそんな朝だと思って振り返ると、彼の後ろにはオリヴァー様。


 顔面蒼白。


 まさに、今、私はそんな顔をしていると思う。


 突然の出来事に、頭が追いつかない。


 そんな私に、オリヴァー様は困ったように笑った。


「おはよう、サンブカ……、いやエルダー嬢」

「!」


 オリヴァー様は今知ったのでは無い。私の正体に気付いて、ここに来たのだ。かけられた言葉で私はそう悟った。


 昨日、ドア越しとはいえ、オリヴァー様と語らい合った。友人想いの彼なら、私がサンブカだと気付いたかもしれない。


 ゴクリ、と喉を鳴らし、私はオリヴァー様を見つめた。


「とりあえず、食べようか」


 まだ眉が下がりっぱなしのオリヴァー様は、テーブルに着くと、私に声をかけた。


「はい……」


 促されるまま席に着くと、私とオリヴァー様は無言で朝食を取った。


 ………オリヴァー様は、私がサンブカだと気付いて会いに来てくださったのよね?


 お互いに顔を合わせないように取り決めたのはオリヴァー様だ。私もそれを承諾した。


 あ、もしかして、オスタシスから連れてきた店の主人が結婚相手だったなんて周囲にバレたら、それこそオリヴァー様のお相手と結ばれるのは難しくなる。だから、作戦の練り直し、ということかしら?


 頭の中で考えを巡らせていると、オリヴァー様から突然声をかけられる。


「このハーブティーも、エルダー嬢が?」

「は、はいっ! 朝にぴったりな、頭が冴えるように考えたブレンドです!」

「そうか……。今、あなたは冬に向けての調合を請け負っているというのに、こんな物まで……凄いな」

「い、いえっ! 好きでやっていることですので……」


 カップを口に運び、オリヴァー様が微笑みながら褒めてくれるので、気持ちがふわふわする。


 お互い、顔を見合っているのに、『サンブカ』と『ロズ』として話せないのは、装いのせいだろうか。


 サンブカとしての私はいつもエプロン姿の庶民。


 今は、王子殿下の妻だ。


 エルダーとして面と向かって話すのは初めてで、つい他人行儀になってしまう。それはオリヴァー様も一緒なのだろう。先程から距離を感じる。


「間もなく、エルダー様のハーブが予防薬として国中に配られます。この王宮内でもしばらくはそのハーブティーが食後に振る舞われるでしょう」

「そうか。サンブカの作るハーブティーは味が良いから、飽きることなく続けられるな」

「!」


 ぎこちない私たちに、ロジャーが話題を振ってくれたけど、オリヴァー様から『サンブカ』と呼ばれ、思わず固まってしまう。


「あ、すまない……」

「いえ……」


 重い沈黙の後、私は意を決して口を開く。


「あの……、オリヴァー様! サンブカとして良くしていただいて感謝しております! すぐに名乗り出なくて申し訳ございませんでした!」

「あ、ああ……それはこちらも……」


 オリヴァー様の表情は、困った笑顔のまま。


 私は勢いのまま続ける。


「当初のお約束通り、私は身を引きますので、どうか、王都のお店だけは続けさせていただけないでしょうか!!」


 ……言った!


 厚かましいお願いだとはわかってる。


 でも、お店は続けたい。この国でハーブに携わって生きていきたいのだ。


 恐る恐るオリヴァー様を見れば、彼はテーブルに肘をつき、額に手を当てて顔を覆っていた。


 ……やっぱり、厚かましかったかしら?


「……自業自得ですね、殿下」


 ロジャーが残念そうな顔で、オリヴァー様に声をかけた。


 自業自得とは?


「……っ!」


 顔を覆っていたオリヴァー様は、急に立ち上がると、ツカツカと私の椅子の方まで勢い良く迫った。


 え?!何か怒らせた?!


 オロオロする私に、オリヴァー様は私に手を差し出すと、


「外に出よう、サンブカ……、いや、エルダー」


 怒ったような、照れたような赤い顔で、手を差し出すオリヴァー様。


 戸惑う私は、オリヴァー様の後ろにいたロジャーを思わず見ると、彼が笑顔で頷いていたので、おずおずとその手を取る。


 グイ、と手を引っ張られ、私は椅子から立ち上がると、そのまま手を引かれ、ダイニングの外へと連れ出された。


「エルダー様、ご自身の気持ちを大切になさってくださいね」


 ダイニングを出る瞬間、ロジャーが優しい声色で私に言ったけど、何がなんだか戸惑う私は、その時、その言葉を理解することは出来なかった。

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