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きっと明日は晴れる  作者: いたろばるぼ
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はじまりのうた

E207年3月

青の国、首都のタウリンの大きなホテルにて

「では、あなた達は違うやり方で解決したいと?」

大柄でメガネをかけた男が聞く。


「そうです、私たちは国の機関、組織とは違う理念で動いています。いわばテロリストです。ご存じの通りこの国の現状は他国には伝えられず、隣の白の国からの空爆による民間人の被害、国境封鎖による慢性的な物資の不足。あなたも先ほど見たように外を歩けば武器を持った白の国の憲兵隊がうろついてます。ここは監獄、ここで今起きていることを変えなければいけません。」



ここは東ナル半島とよばれる場所の、王政国家、青の国。海沿いに位置する首都タウリンはかつて海の真珠と呼ばれた美しい都市であった。

隣の共和国、白の国はいわゆる大国である。70年前、今の国境沿いにある化石燃料地域、ユールを巡り紛争が激化。

白の国は古くから他国に移民が多く、白の国の移民は遠く離れた大国で多数派となっていた。それらの大国の支援を元に青の国に軍事侵攻を開始、当初は拮抗していたものの徐々に白の国が局所で勝利を収めた。

青の国は2年にわたる戦争で国民の生活は困窮、物資は配給制となり石鹸も入手困難になるほどだった。

当時の青の国大統領はこれ以上の戦争の継続は不可能と判断。和平交渉に入るが白の国は王政の廃止と全面降伏を勧告。青の国はこれを受け入れた。

それ以来白の国による実質的な支配による圧制に苦しんできた青の国は、民間組織などが白の国警備隊などと度々衝突を起こしてきた。


「僕たちは国を変えるためなら、どんな手段でも用いるつもりです。」


これはそこで生まれ育ち、青の国を守るために戦ってきた2人の青年の物語である。


場面は変わり、E204年11月4日 首都タウリン


コンクリートの壁で囲まれた部屋に男二人。

これから大事な面接だ。人と話すのは苦手だから少し緊張している。気を引き締めていかないと。

「椅子に座ってくれ、まあそう緊張するな。・・・じゃ始めようか。 名前は?」

「・・・どうして情報部に入りたいんだ? ・・・前は国境警備隊か。 ・・・父親は憲兵隊に17年勤務。」

割と淡々と質問してくるのか。当たり障りのない質問ばかりだ。

「人生で一番成し遂げたい目標は?」

「・・・国を守ることです。”彼ら”のやり方はどう考えても行きすぎです。だから自分のできることで国を守りたい。」

難しい質問だった。やれることはすべてやりたいのだから、成し遂げたい目標なんて自分の中でも漠然としてしかなかった。

「いい志だ。しかし我々が何を求めているのか、わかっているか?」

「国の変革、しいては青の国の復興。僕の目標と同じです」

「・・・そうか。名乗り忘れていたが私の名前はシグマだ。結果は追って連絡する。今日は帰ってよし」


僕は部屋を後にした。ただの扉が、やけに重く感じた。

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