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神々の遊戯 〜最下層からの下克上〜  作者: スガシラ
第一章 俺が1000年も、こもった訳
8/21

第7話 狩場でなにかあったようです

 【マップ】上に新しく追加された青い丸、“それ”をタッチすると名前が浮かび上がった。『転移2』と。



「この場所にはルインとシエラの2グループで向かってくれ。こっちの場所には……」



 俺はリーダー10人を交えて、【マップ】を前に持ち場を決めていた。どのグループをどこに配置するか。“その”全てをなんとなくで決めた。

 リーダーがエルフだから森の近くがいいだろう、獣人は魚を採るのが上手そうだ、など自分でも浅はかな考えなのは実感している。


 これが画面越しでプレイするゲームであったならば、適性等を考慮したうえで計画を立てていただろう。実際はそう簡単なものじゃなかった。


 仮に全員に“鑑定”をおこなった場合、1人につき1分、約60秒の時間を要する。1万人なら60万秒という途方もない数字に目眩がする。ただでさえ、元々は他人任せのだらけきった性格だ。

 それに今の俺達には、その日食べるものすら持ち合わせていない。そんな時間はないんだ。



「リーダーのみんなは俺と、【友達】になってくれ!」



 ん? なんかニュアンスがおかしい気がする……。

 リーダーたちは揃って驚いた表情を浮かべている。



「い、いや、そういう意味じ――」

「――ぜひお願いします!」

「――私なんかで良ければ!」



 俺は揉みくちゃにされた。


 その後“念話”のために【友達】になって欲しいと伝えた。

 俺が話しかける場合は【友達】にならなくてもいける。逆の場合は“念話”を持っていないリーダーたち(彼ら)には無理だ。

 “念話”を持っている人と、【友達】登録しておけば、“念話”の催促ができる! らしい。


 そうして俺は友達が10人できた!



「では転移2から順に移動を開始してくれ」



 ひとり、またひとりと青い結晶に吸い込まれるように姿を消していく。

 現在の時刻は13:43。全員の移動が終わるまで、思ったより時間はかからなそうだな。

 日が暮れる前に何か収穫があればいいんだけど。


 俺もどこかのグループに混ざって参加するつもりだった。

 リーダーたちに「どんな危険があるかわからないから、神は残っててください」と止められ、草原でひとり寂しくお留守番だ。

 連絡がくるまで、まだ使っていない機能の確認でもしていようか。あとは……【道具】に【順位】に【メモ】か。



 まずは……【メモ】からいこうか。


 【メモ】を選択すると画面に『新規メモの作成』『メモの編集』『トレース』『メモの削除』と4項目現れる。


 ほとんど想像通りだけど……トレースってなんぞや? こういう時は【ヘルプ】先生に……。


 ほうほう、なるほど。活字、記号、線で作られたものを写すことができるのか。まぁ、使うことはなさそうだな。

 とりあえず『新規メモの作成』をして




 ・担当場所

 転移1  なし

 転移2  ルイン、シエラ

 転移3  ワーワー

 転移4  マリベール

 転移5  アンジェ、シバザキ

 転移6  モコモコ

 転移7  キース

 転移8  バルデラ

 転移9  フィロル



 

 よし、こんなもんか。忘れないうちに作っておかないとな。


 次は……【順位】は多分幼女(ユリア)の言ってた戦争ゲームのやつだよな。どうせ1階層だし、まだ見なくていいか。【道具】を見ておくか。

 俺が【道具】を押そうとした時だった。



『ルインから“念話”の申請を確認しました。ルインから“念話”の申請を確認しました』



 機械じみた、感情のない声が頭の中に響く。

 こういう風に知らせてくれるんだな。俺は「念話」と唱えるように声に出した。



(ルイン、聞こえるか?)



 …………。返事が……ない? 俺の使い方、間違ってるのかな。



(ルイン、聞こえないのか? 何かあったのか!?)

(聞こえてまーす! 使い方がわからなくて普通に喋ってました)

(そうだったのか。何かあったのか?)

(ダールデン様、マップ通り滝と洞窟を発見しました! これから洞窟の中を探ってみます)

(そうか、気をつけて探索してくれ。また何かあったら連絡してくれ)

(了解しました!)



 ひとまずは収穫ありだな。後から俺も行って水を調べてみないとだな。


 さて、続きをやるか。

 【道具】をタップすると、“収納”と“取り出し”の文字が現れる。

 俺は“収納”を選ぶと、まるで異次元への入り口のように――画面が歪んだ。

 ノイズのように渦巻いた画面からは、中の様子を見ることはできない。


 

「この中に……入れるの?」



 半信半疑だった。雑草を毟って、恐る恐る投げ入れる。

 吸い込まれるように中に消えていった。

 “その”画面には不釣り合いに、はっきりと書かれた『戻る』のボタンを押すと、メニュー画面へと戻る。


 次は“取り出し”を選んで見た。

 画面には『雑草×1』とだけ書かれている。どうやら成功だったようだ。


 俺はまた“収納”を選ぶと、石やら草やら、草で作られた丸い塊などを次々と投げ入れた。

 そして“取り出し”画面を見てみる。


 


 雑草   × 18

 石    × 52

 草の塊  × 1




 試しに石を選んでみると、個数を選択できるようだ。とりあえず1つ取り出してみると、画面が一瞬歪み、そこから吐き出されるように石が現れる。


 【ヘルプ】でも確認してみると、生き物は収納できないみたいだ。動かせるものなら、たとえそれが大きくても収納が可能。中のスペースは際限がないようだった。

 “収納”スペースには時間の概念がなく、食べ物を入れても腐ることはない。と書いてあった。

 必要以上に食料を確保しても、腐らせる心配がないのは非常に役に立ちそうだ。


 一段落ついたところで、また頭の中に機械じみた声が響く。



『マリベールから“念話”の申請を確認しました。マリベールから“念話”の申請を確認しました』



(マリベール、聞こえるか?)

(か、神様、聞こえます!)

(何かあったのか?)

(私たちは今、狼の群れと交戦中なのですが……その……差し出がましいのですが、他のグループから援軍を送ってもらえないかと)

(わかった。すぐに援軍を送ろう)

(あ、ありがとうございます!)



 狼の群れか。人手が余ってそうな場所は……アンジェとシバザキのグループは2000人いるのか、ここからなら。



(シバザキ、聞こえるか?)

(あ、神様。ちょうど良かったっす)

(そっちは今どんな様子だ?)

(いまワイバーンと戦ってんすけど、ちょっとばかり手が足りなくて困ってたんすよね)

(そうか……援軍を……送ろう)

(あざーっす!)



 他に手が余ってそうな場所は……。



『モコモコから“念話”の申請を確認しました。モコモコから“念話”の申請を確認しました』


『ワーワーから“念話”の申請を確認しました。ワーワーから“念話”の申請を確認しました』


『フィロルから“念話”の申請を確認しました。フィロルから“念話”の申請を確認しました』



 頭の中に一斉に機械じみた声が響いた。



「ぜ、全部繋いでくれ! 念話」



(神様ー、ジャイアントベアーに襲われてますー! 助けてください!)


(ダ、ダールデン様、仲間が、仲間が喰われちまったよー! 俺はどうしたらいい!?)


(こちらフィロル、こちらフィロル。至急お願いがあります!)



 一体何が……どうなっているんだ……。

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