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プロローグ 俺はこの隣人を好きにはなれない

のぞいていただきありがとうございます。




 



 人というものは生きている限りいわゆる九死に一生を超える瞬間が誰にでもあるのではないだろうか。



 それが事故であったり、災害であったり、病気であったりと違いはあれどだ。



 そういう困難はある意味では人生のスパイスにもなる〜、的な感じで生きる上で乗り越えねばならぬものだと大抵の人は考えているのではないだろうか。



 おおむねその通りだと俺も思う…

 それが連続で引っ切り無しに襲ってこなければ。



 俺こと富士見 英樹の人生は12歳頃からの8年間ぶっ通しで『死と隣り合わせ』のものだった。

 理由は全く分からず強いて言うのであれば、極度に運が悪い、死に愛されてる、といったところであろうか。



 死にかけ方としてはそれはそれは多種多用であった。

 災害や事故に巻き込まれる、狂人に追いかけ回される、ありとあらゆる病気に引っ切り無しにかかるなどである。(国内初感染なんてものも何度かあった。ちょっとした自慢だ。)




 そのせいなのか危険に対して驚くほどの直感で避けてしまえるまでになってしまった程である。

 ゆえにここ最近はそこまで死にかけたりはしていないのだが周りの人にしてみればそんなことは関係なく間俺は厄病神なのであろう。



 現に両親や妹とは高校生に上がってからは一人暮らしをして距離を置いている。



 仕方ないことだと思う。

 毎度毎度死にかけるほどの不幸に見舞われる俺に妹などが巻き込まれるくらいならと苦渋の決断をしたのだと今なら理解できる。




 俺も最初の頃はそれなりには悲しかったはずのだが、

 迫り来る怒涛の死を伴う不幸の連続に抗うのに忙しく、気がつけばそれなりに受け入れてしまえていた自分がいた。



 そうして今の文系大学生として暇な、しかし激しく刺激的な毎日を過ごしている俺が出来上がったのである。



 俺の現状は簡単に説明するとこんな感じであり、

 人にとって一度あるかないかくらいの九死に一生の体験は俺にとっては日常の出来事になってしまっており、死はとても身近な隣人といってもいいレベルになってしまっている。




『隣人を好きになりなさい』と大昔の偉い人の言葉があった気がするが、とんでもない。

 俺はこんな隣人を好きになることなどとてもできないだろう。



 




  これはそんな俺が主人公の話である。









 今日もいつも通り情報不足で選択してしまった1コマ目の授業に出るため護身用の傘を手に朝の街を駅へと向かって行くところだった。



 あー〜眠い。

 昨日遅くまでゲームしたツケが早くも回っていた。



 交差点で信号待ちをしながらそんなことを考えていると視界の端にサッカーボールを持ちながら歩いて来る小学生がいた。



 どーも学校へ行くようではない格好なので不思議に思ったが、先週近所の小学校で運動会が行われていたことを思い出しああ、振替休日なのかな?などと一人納得していると、



 ふとした拍子かその小学生がサッカーボールを落っことしてしまっていた。



 駐車場がある関係か傾いていた歩道から車道へとコロコロ転がるサッカーボールを、



 ………トラックが来ているのにもかかわらず小学生が追いかけていた。



「危ない!!!」



 そう叫ぶのと小学生の方へと体が動きだしたのはほぼ同時だった。



 とっさに体が動いたのには、もしかしたら俺が隠れた熱い正義に燃える性格の持ち主であったからとも考えられるが、

 実際には交通事故に遭いなれすぎたことで迫り来るトラック自体に恐怖を感じていなかったのが原因だと思う。



 だが、今まで出会った事故と明確に違うのは自分一人が避ければよいというだけじゃないことだった。



 小学生の腕を掴み歩道に放り投げたまではよかった。

 あとは俺がトラックを避ければ万事解決だったのだが、



「次は俺も……!!!」



 ……そう呟いた時にはすでにトラックは目と鼻の先まで来てしまっていた。



 あ。っと思ったと同時に激しい衝撃が俺の全身を駆け巡り、

 そこで俺の意識は途絶えた。











 朝目が起きるくらい自然な感覚で静かに俺は目を覚ました。



 あれ? 俺は確かトラックに轢かれたはず…死んだと思ったがまた妙な悪運で生き残れたのか?

 いや、それにしてはまるで体に痛みがないな。



 ……それに仰向けの状態で見える天井がとてつもなく高い!どう考えてもこれは病院じゃないのが一目でわかる。



 施されている装飾もまるで剣と魔法の世界のゲームに出てきそうな雰囲気だ。




「……ゆっ、勇者…様?!?」




 すぐそばから声がした。

 そちらに目を向けるとこれまたゲームの世界によくいる白魔道士?のような格好をした、とても可愛い女の子がいた。




「や、やったーー!! やりました!勇者様、私ついに、ついにあなたの蘇生に成功しましたよ〜!」




 その子が目に涙を浮かべながらとんでもなく嬉しそうな顔で俺の方をみてはしゃいでいた。



 というか今かなり気になることを言ったな。



「……あの。?! えーと、勇者って俺のことかい?」



 自分の声じゃない事に戸惑いながらも一番の疑問を女の子に問いかける。




「蘇生されたばかりで少し混乱してらっしゃるんですね!大丈夫ですよ、時期におさまるはずです! あなたは100年の眠りから目覚めた私達の国の伝説の勇者、ジャックさんです!思い出せますか?」



「俺が勇者?それも100年も経ってから蘇生された?」



「その通りです!神獣すらも恐れず勇猛に闘いを挑んだと書物にも記される英雄があなたなのですよ〜あ、身体の方に違和感とかはないですか?」



 なるほど、信じられない事だが俺は異世界へとまよいこんでしまったようだな。



 この場合はどういう招かれ方なのだろうか。

 異世界転生でも、異世界召喚というわけでもないし……異世界蘇生とでも言ったところだろうか。いや、繰り返しになっちゃうけど信じられんな!




「まぁ、今のところ身体に違和感を感じてはいないよ。(この身体そのものに違和感はあるが)勇者を蘇生と言っていたけどそれは……えーと、」



「私の名前はルステミアです!どうぞお気軽にルステミアとおよびください勇者様!」



「なら、ルステミア。勇者…俺の蘇生は君がやったのかい?」




「はい、私は蘇生魔法に関しては国一番と呼ばれているので!

 それでも勇者様を蘇生させるには八年近くもかけてしまいましたが今日その苦労も報われました!」



「え、8年?蘇生させるのにそのくらい時間がかかったの?」



 俺の中で何かがつながりはじめてきた。



「ええ、私の優秀さが見込まれて10歳の頃から国の方針で勇者様の蘇生儀式がおこなわれていたのですよ。期間にして8年、回数にして千回を超えるほどのありとあらゆる蘇生儀式が行われたんです!」



「そして今日この日、小さい頃からの夢が叶ったのです!勇者様の前なので抑えていますがルステミアは嬉しくて嬉しくて今にも踊りたいくらいですっ!」






 …………なんだって?



 俺の中で今までの人生に起きた不幸の連続の謎がこの状況により繋がっていった。





 ……いや、完全に俺の今までの死にかけまくる人生これ(前世の俺の蘇生)のせいじゃん!!!!!!









 前世が勇者、不幸の原因、異世界での蘇生

 突きつけられる衝撃の事実の連続に頭がぐちゃぐちゃになりながらも俺の異世界大冒険はこうして幕をあけたのだった。

























初めて書いてみました。ゆっくりでも頑張って完結目指しますのでどうぞよろしくお願いします。

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