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モニターには、見たこともないスペーススーツとヘルメットを着けた男女が映っていた。
こちらのエアロック前に立っている。
男のほうがエアロックの端末に触れて、なにやら作業をし始めた。
ものの数秒で、エアロックが解除される。
何だこれは?
こちらのセキュリティが、いとも簡単に破られてしまった。
本来はこちらの許可がなければ、エアロックは開かないのに。
男女が侵入してきた。
俺は銃を構えた。
「わあ。骨董品みたいな銃!」
女が笑った。
「その銃は、ワタシたちのシールドに通用しませんよ」
「我々は『宇宙連合』のパトロール隊です」
男が言った。
「宇宙連合」?
聞いたこともない…。
「私はコナー。彼女はキャラハンです」
男が自己紹介し、次に女を指した。
「あなたの船はワープ空間で遭難していたようですね」
「俺の船じゃない」
コナーが首を傾げた。
突然、キャラハンが、船の奥に行く素振りを見せた。
「動くな!」
俺は怒鳴った。
キャラハンを狙う。
「あはは。だから、そんな銃じゃ、ワタシには効果ないですよ」
キャラハンが、また笑った。
「キャラハン!」
コナーがキャラハンを叱った。
「どうやら誤解があるようです。我々はもちろん、あなたを助けます。ただ、その前に、この船が安全かどうかを確認する必要があります」
「連絡も入れず無許可でドッキング、おまけにエアロックも勝手に開ける奴らを信用しろと言うのか!?」
俺は語気を荒げた。
「ワタシたちは暇じゃないんです。遭難船の救助くらいで、時間をとられたくないんですよ」とキャラハン。
「ふざけるな!」
「ピート、落ち着いて」
怒鳴った俺をメイが止めた。
「ああ。分かってるよ、メイ。ただ、こいつがあまりにもおかしなことを言うから」
メイが俺の背中に寄り添った。
彼女の温もりを感じて、俺の怒りは少し収まった。
「メイとは?」
コナーが訊いた。
いぶかしげな表情をしている。
俺はメイのことを奴らに知られるのが嫌で、その質問を無視した。