第49話 陽奈っおい!
本編より本編らしいですね……
題名の、最終話のところを第48話に変更させて頂きます……ややこしくて申し訳ありません。
これからもよろしくお願いします。
高校生活最後の日ーー
俺は卒業式に出た後、羽田空港に行って、有希子を迎えに行く。
でも、サプライズだ。用事があることにして、最寄りの駅集合ってことにしている。
受験があったから、会うのは高3の夏休み以来だ。有希子は、志望校をどこにするかとても迷っていた。
地元の大学か、東京の大学か。俺は、もちろん東京で一緒に大学に通いたい。
有希子も東京の大学を選んでくれた。
そろそろかな……到着ゲートから人がぞろぞろ出てくる。
俺は深く帽子を被り、マスクをして端の方でじっとしている。
「……お、出てきた……!」
有希子は、ふんわりとした雰囲気ながらも、群衆の中で、異彩を放っているように、その美しさが感じられる。
いっつも思うけど、幼馴染ってな……思いも寄らなかったさ。
「よし、いつかの時のお返しだ」
有希子を追いかけ、後ろから、抱き締めようとした瞬間ーー
有希子は前を向きながらこう言ってきた。
「ともくん?」
ぐはっ!ど、どうして……分かる……?
「アハ、ゆ、有希子〜、久しぶりだな」
「来るなら言ってよねー。とってもうれしいけど、そんな格好していても分かるの!」
「どこで気づいた?」
「そんなの決まってんじゃない、ともくんが、用事あるから、無理って言った時点でもう怪しいのよ」
「そ、そうか……」
「ほら、久しぶりなんだから……行こう?」
「おう」
俺は有希子の旅行カバンを右手で持ち、左手は、有希子の右手と繋がれている。
時々、ちらっとこっちの顔を見てくるのが、なんともいえないほど可愛い。
幸せに浮かれていたのだろうか……俺はいつものように、自宅のマンションに帰ってしまった……!
駅を降り、オートロックを通り、エレベーターに乗り、玄関の扉を開けて中に入った瞬間ーー
改めて見た有希子の視線の先には、陽奈がいた。
あ
これ、詰んだ?
「ともくん……ちょっと聞いていいかな?」
「な……なんだ?」
「このマンション、何?それに……この子……誰?」
「……ちょっと俺、コンビニ行って来るわ」
「待ちなさい……?分かってるわよね……」
握られた手首が痛い……。
おまわりさん……助けて!
「あら、こんにちは……もしかして、知明くんの彼女さん?」
「……名前呼びなのはどういうことかしら?」
「別に、何の意味もないけど、何か?」
ああああ、火花飛んでるよ……!
陽奈……お前は今日の朝には大阪に行くんじゃなかったのか……?
なぜ、まだ家にいる……!
「と、とりあえず……有希子、家に入らないか?」
「ムリ。どういうことか説明しなさいよ!」
「ち、違うんだ。有希子が考えているようなことではないんだ……えええと……そ、そうだよな、陽奈?」
「……え、私のこと捨てるの?」
な、なんて……言ったのかな?
「す、捨てるってお前何言ってんだよ!さっさと、大阪に行けよ!」
「一条くん、二股だったの……?」
名前じゃなくて、名字で呼ばれる……!
俺はどうすればいいんだ……そうだ、中村に電話すれば!
俺はスピーカーにして、電話をかけた。
「おいっ、中村、お前の彼女は何で大阪に行かないんだっ!」
「なんや、ヒナのやつ、まだおるんかい。ちょっとヒナに変わってくれへんか?」
スマホを渡すが、陽奈は受け取ってくれない。
なぜかスマホを有希子に奪われる。
「何で、中村くんが電話してるん?」
「だ、誰や?」
「沖田有希子です、中村くんやんな、どういうことなん?」
「沖田さんかいな、久しぶりやな……って何も一条から聞いてへんか?」
「聞いてへんけど」
「あいつ、陽奈と同居しとってん」
中村……!
あ、終わったのかな、俺。まさかのここで別れ話?
「一条くん……そこの女と付き合うてたん……?……答えんかい!」
「ご、誤解です……!こ、これには深い訳があってですね」
「終わりやな」
俺は両手を床に付けようとした。
せめて土下座だけでも……!
その時、スマホから、思わぬ助け舟が出た。
「ちゃ、ちゃうて!待てや、沖田さん、ヒナはな、俺の彼女や!幼馴染や!お前と一条と一緒や!あいつは付き合おてなんかあらへん!」
「そうなん……?一条くん」
「そうだ、天地天命に誓ってそうだ」
「ということで、沖田有希子さんかしら?失礼するわ」
そう言って、陽奈は颯爽と玄関から去っていった。
「あ、そうそう、鍵、返すわね。一条くん、これまでお世話になりました」
「じゃ、じゃあな」
俺は手を振ることしかできなかった。
俺が有希子の方に振り向くと……案の定、鍵に反応していた……!
「どういうことよ……!」
「す、すいませんでしたっ!」
俺は1時間ほど、彼女に叱られた。
なぜか、誓約書を書かされたぜ……。




