第42話 あ、そうだったんですね
短めです。
いきなり3人から告白された陽奈は、固まっている。
「……そ、そうなの……でも、私は心に決めた人がいるの……」
ゴクリ。
さあ、陽奈、中村の名を呼びたまえ!
同時に俺はタカを羽交い締めにして交番に連れて行くから。
いよいよ陽奈の口がわずかに開いた。
「彼の名前はーーエリックなの」
あ……あい?
夢かな?……なんでリアルマーメイドの王子の名前が……?
君、ファンですか?
「私、彼のような男性が好きなの。だから、ごめんなさい」
まあ、一件落着……か?
中村とタカは、まず意味すら理解していない……だろな。
知らぬが仏って言うしな?
中村は机に突っ伏して、タカはそのまま床に倒れこんだ。
はは!ビバ・マジック!
俺は陽奈に無言で合図を送り、黙って家を出た。
マンションを離れ、近くのファストフード店に行った。
席に座る……あ、もちろん2人席だよ。向かいあってるから。
「実は、俺は陽奈のことが……」
「もう、ともくんったら、分かるよ、流石に」
「あ、ははは」
「……これが一番良かったのかな。でも、2人に誤らなくちゃ」
「……中村とは、幼馴染じゃなかったのか?」
「そうだけど……もちろんヒロくんーー中村くんは好きだよ。あの場では言えないし。これはともくんと陽奈の秘密だよ?」
「はい、わかりました。でだな、ひとつ聞きたいんだがーー」
「なに?」
頼む、なにか連絡先でも知っていてくれ。
連絡先を、俺のスマホから見ていてくれ……!
「俺がよく連絡とっていた女の子のことなんだが、何か連絡先持ってないか?」
「そうね、知らない」
「……待て、なにも知らないのか?」
「うん。だって、エリックが好きだもん」
イミフ……。
そう言う陽奈は笑っているけど、俺はだんだん顔から血が引いていく。
とりあえず、2人に電話して安否確認後、家に帰った。
「お前ら、夕飯まだだろ、これ、食べないか?」
バーガーとかポテトとか適当に買って、渡したら、2人は泣きながら食べていた。
よっぽどショックだったんだな。




