第41話 うまくいくか……?
リビングのテーブルには、俺とタカが並んで座り、向かい側には陽奈と中村が座っている。
「まず、俺たちは互いに互いのことを誤解しているーー俺からまず、話させてくれ」
皆、頷くのを確認して俺は続ける。
「中村よ、俺の隣にいる男は、俺の友人で同じ高校に通う小川だ。小川とは長らく友達だったんだがーーここら辺はまた小川から言ってくれーーある日から疎遠になっていた」
「いや、一条は何が言いたいんや?」
「まあ、待ってくれ。そして、タカ、この中村は俺が大阪にいた時の友人だ」
「そ、そうか」
ここですでに俺は行き詰まった。
どう切り出せばいいんだよ……陽奈の幼馴染が中村で陽奈に一目惚れしたやつがタカでそのタカは俺を陽奈の恋人として恋敵と思っているけど中村にとってタカは恋敵で……
何より一番肝心なことーー陽奈自身が好きな人は一体誰なのか?
もし、陽奈が中村を選んでもタカが……
もし、陽奈がタカを選んでも中村が……
最悪の場合、陽奈が俺を好きだと言ったとき……中村とタカとの間柄はどうなってしまうんだ?
この場を乗り切るには、陽奈が好きな人なんぞこの場にいなければいいが……?
チラチラと中村を見ている様子から見て、陽奈は多分中村のことが……やっぱり好きみたいだな。
まあ、幼馴染の中村一択みたいだ。
タカ、お前はどうやら無理っぽいぞ……。
俺は、謎解きをしているんじゃない。
それぞれ、知らない事実があっても、いい。
俺が、あのことーー付き合っていた彼女が別れて幼馴染だと知ったーー
だからといってーー俺はどうすることもできない。
だって連絡先、消しちゃったから……。
馬鹿だ、
どうにかこの場をはやく鎮めて、陽奈にでも連絡先知っているかどうか尋ねたいんだが。
自分勝手かもしれないけど……中村、俺だってアクションを起こしたいんだ。
マンションまでもらったタカには悪いが、今回は引き下がってくれ……!
だから、俺は最短の方法を取った。
ほとんど博打みたいなもんだが……
「陽奈、俺はお前が好きだ」
「はあ?お前なに抜かすねん!……俺かてヒナを世界一愛しているわ!」
「どういうことだよ!俺だって河村さんが好きだ!」
2人はもちろん怒る。
俺に釣られて、思いをぶちまけてくれたよ。
はは、想定内で上手くいった。
あとは陽奈の返事を待つだけーー