第40話 こんがらがった関係
いろいろ回収していきます……!
「中村……どうしようか、これから。俺たち」
「……さあ。俺にはまったくもってどないしたらええんかわからん」
中村はもうダメだ……ショックで放心状態に陥っている……!
とりあえず、まだ夜になっても帰ってこない陽奈に電話をかけるが……
「どうなんや、一条」
「……さっぱりだ、連絡取れない」
「……陽奈になんかあったらどないしょ……!」
「お前、幼馴染なんだろ?こういう時、どっか心当たりないのかよ!」
「なに訳のわからんこと言うてんねや……とにかく家飛び出すで!」
「おい、待て!」
中村を追いかけて行くが、土地勘のない中村は、家からすぐ先の交差点で、右往左往している。
「だから言ったろ……ってあれ、陽奈の服装に似てないか?」
100メートルくらい先に陽奈とよく似た女の子が歩いているが……?
「……おい、なんか横に誰かいないか?」
「なにしとんねん、行くで!」
「……離して!」
「そんなこと言わないでさ〜」
「……イヤ!」
若い男が、執拗に陽奈をナンパしている。
でも、この若い男……水族館で見た男か……?
んん?
でも、もっと身近にいたような気が……ってお前……
タカか⁉︎
「おい、タカ!お前なにしてんだ、やめろ!」
「一条……」
「お前、自分のしていること、分かってるのか?」
「お前が悪いんだ……!」
「タカ、違うんだ。俺は陽奈とは付き合ってないんだ」
「嘘だ……お前らいっつも恋人みたいにいたじゃねえかよ」
「ちょっと、どこのアホたれか、わからへんけどや、俺のヒナに手ェ出してタダで帰れる思っとったら大間違いやで……!」
「待て!中村、こいつは俺の友達で、俺と一緒で本当のことを知らない!」
「そんなん知らん。おい、なに晒しとんねん」
「あ……」
中村の凄味にタカはビビリきっている。
「ワレ、まだ手握っとんちゃうぞ。離せや」
そして中村がタカに殴りかかった瞬間ーー
「やめて!」
陽奈が大声で叫んだ。
「……私が全部悪いの!」
「……」
「……だから……もう……やめて……」
「……」
こりゃ、近所迷惑になると思った俺は、仕方なく言った。
つーか、どれだけ拗れてんだよ、俺たち。
「……俺の家に帰るぞ、中村もタカも陽奈も」
東京の夜は、亜熱帯みたいに蒸し暑い。
夕方、降っていたらしい雨はもう上がるけど、空はまだ、どんよりとしていた。