第37話 水族館で陽奈とデート
感想をもらいました!ありがとうございます。
暑い……!
陽奈は俺にぴったり体をくっつけてくる。
今、リビングでアイスを陽奈と食べている。
「もう、ともくんったら、またぼんやりして……アイス、溶けてるよ?」
あれからーー
有希子……いや、沖田さんのことを俺は忘れた。
昨日、沖田さんのラインに送った。
『連絡していなくて悪かった。もう、俺たち、別れたほうがいいと思う。一方的に伝えることに申し訳なく思っています。短い間だったけど、ありがとう。まだ高校生活も長く続きます。大阪で元気でいて下さい。さようなら』
……俺はアカウントを非通知にした。
そっから俺は少し変わったのかもしれない。
もう一回、陽奈とちゃんと向き合ってみようと思った。
俺のことを好きって言った人……陽奈をこれ以上、無下にはできない。
陽奈が俺と有希子の別れの原因になった……とは思いたくない。
そんな俺と有希子を別れさせたいから……付き合おうって言った訳では……ないと思う。
陽奈は……優しいから。
8月の初め。
最高気温が2週間連続35度を超えている中、俺と陽奈は一緒に水族館デートをしていた。
「水族館に来ることなんて、いつ振りだろう?」
「そうね……陽奈も小学校の遠足以来かな……?」
「そんなもんだろ、じゃあ、入場券買って中に入ろうか」
入ってすぐ、ガラスのトンネルを通る。
「わあー、きれいだね」
「そうだな」
「ほら、見て!エイさんこっちに近づいているよ」
陽奈のかわいさって抜群だよな……ちょっと俺から離れただけで、チラチラ男に見られてるし。
陽奈の格好も原因かもな。ミニスカートに肩出して……まあ、露出は多い。
ダイジョーブだぞ、俺はお前がナンパされたって構わんからな。
そう思ってると、案の定、ナンパされた。
「キミ、1人なの?ちょっと一緒に回らない?」
すると、陽奈は俺に助けを求めるがごとく、こっちを見てきた。
俺は仕方ないなと思ってそのナンパ男に声をかけた。
「あ、すいません、俺と一緒に来ているんで」
「……ッ」
逃げるように去っていたな……。
「ありがとねっ、ともくん。でも、もっと早く助けてよ」
「……ごめんな」
「ちょっとトイレ行ってくるね」
そう言って陽奈は駆け出していった。
少し、向こうの方に見ていないブースがあったので何気なく観に行くと……
陽奈がさっきのナンパ男と話していた。
……?
どうやらまたナンパされているみたいでもないし……ま、いいか。
普通にトイレから帰ってきた後、展示スペースは一周したので、併設されているレストランへ行き、昼食を取ることにした。
「何食べるの?」
「そうだな……」
メニューを見渡すと、いろいろありすぎて迷う。
ふと右端を見ると……チキン南蛮の絵が目に入った。
「チキン南蛮にするよ」
「決まりね。私、ハンバーグ。注文するね」
ハンバーグも良かったな。でもーーなんでチキン南蛮にしたんだろう?
午後からは、イルカショーが開催されるというので観に行ったら、びしょ濡れになってしまった。
陽奈はカバンで上半身だけは守ったみたい。
「最悪だな……」
「代わりにTシャツでも買ったら?」
「じゃあ、ショップ行くか」
「私もお揃いの買うね!」
買うのはお前じゃないだろう……。
夕方になり、水族館から帰り、駅のホームで陽奈と一緒に電車を待っていると……
俺はまさかの再会を果たした。
半年前まで仲良くしてもらった、懐かしい奴の声がした。
「一条やんか!」
「中村!」
「久しぶりやな〜!なんや、えらい出世したなー。横におるんは彼女かいな」
「いや、彼女じゃないけど……ああ、何でもない」
俺は背中を抓られた。
「彼女ちゃうんや……って……ヒナか⁉︎」
「ウソ……なんでいるのよ……ここに」
どうやら……お前ら知り合いみたいなんだが?
「何で陽奈が一条とおんねん?」
「ああと……とりあえず中村、家来る?」
俺は、3人で家に帰った。
ずっと中村と陽奈は険悪なムードで……
これは一波乱ありそうで……。




