第31話 海の世界へ
前話に引き続いて、何かありましたら、教えてください……。
ぜひ、評価していただけると幸いです。
いよいよ、きらめく海の世界へと旅立つ。
このパークの方は、混雑度が高いので昨日よりも少し早く家を出た。
「ショーはむこうの方が好きなんやけど、全体的にはこっちやねん」
「好み、似てるよな」
「そうなんかな?」
舞浜駅からモノレールに乗り、エントランスの最寄りの駅で降りた。
「これは並んでいるな……」
駅のロッカーの横を出てみると、もう列はすごい伸びきっている。
「……朝で入場制限かもしれへん」
「ああ」
長時間、待った挙句、8時30分前にやっと入場できた。
すでに人気アトラクは200分待ちで、ショーを優先して、アトラクは避けることにした。
でも、“恐怖のタワーホテル”だけは有希子が乗ってみたいというので90分くらい列に並んだ。
「こんなん全然怖ないわ。ユニ◯で慣れてる私、舐めたあかんで!」
……。
ま、そうなるか。
上から急落下する瞬間……
「キャーーーーーーーーーーーー」
横で凄まじい悲鳴をあげる有希子だった。
「あんなん反則やわ。卑怯や」
ブツブツ文句言っていた。
俺は黙って記念写真を購入することにした。
でも、キャラグリの時はもう有希子の表情は一変していた。
「久しぶり〜!」
絶賛、ハグ中。
そして軽食(美味しくない)を取りながらショーを見て、それが彼女の好きなキャラクターだったらしく、終始ご満悦。
その後、ショーの抽選をしたんだが……
午後3時くらいに“中世の湾”で行われる水上ショーの抽選席をゲットでき、有希子はテンションマックス。
その上、ニューヨークバンド午後5時公演分の抽選にも当選。
「明日雪降るんちゃう?」
「降るわけないだろ」
「なんか起きそうで怖いわ……」
どちらのショーも楽しく観た。
だんだん日も沈み、午後8時から行われる、スペクタクル水上ショーの場所取りを今している。
「なんか寒なってきたな……」
「まあ、海の近くだし……ちょっとあったかいココアでも買ってくるよ」
すぐ近くのドリンク売り場で、ココアとコーヒーを買う。
「ココアとコーヒー、どっち?」
「あ、コーヒーもらうわ、ありがとうね」
最高のショー鑑賞の後、俺たちは帰宅の途についた。
でも……
結構ショッキングなことが起きた……
「あれ?買ったお土産の袋、忘れてもうた……!どないしょ……」
「落ち着いて。どこで最後、袋を手から離したんだ?」
俺は近くのキャストに言って、落し物センターに問い合わせてもらった。
「有希子、俺も経験あるけど、絶対見つかるって」
もう半泣き……
ああ、もう!最悪だな……俺が気をつけてりゃよかったのに。
「……知明くんにせっかく貰ったのに……」
あれ、最後の在庫だったな……必死にショップのキャストに聞き回ったもんな……。
「そんな落ち込むなよ」
俺のそんな言葉も虚しく、有希子はとうとう泣いてしまう。
どうすることもできないまま、俺は立ち尽くしているとキャストさんから夢の国らしい一言が飛び出た。
「お客様、ゲストセンターにて、お探しの物が見つかったそうです。他のゲスト様が届けて下さったそうです」
「あ、ありがとうございます!よかったな、有希子」
「ほんま、見つかってよかったわ!」
結構目立ってるな。
俺たちはキャストさんにお礼を言い、荷物を受け取って家に帰った。
だがーー
誰が届けたのか?……無論、聞くはずもなかったんだが、な。聞けば……!
「たまたま来たら……もしかして、嘘ついたの……?ともくん……」
小川「明日で終わりか……」
お爺さん「そこの若いの。悩みがあるなら話してみなさい」
小川「……あの、全然大丈夫です……名所だからか……」