第26話 これはキタ⁉︎
少し長めです。
4月も下旬に入り、いつものように、有希子からのメッセージが届いた。
『電話かけても大丈夫?』
『もちろん。今からかけるね』
「あ、もしもし。どうした?」
「前にGW、そっち行くって話しとったやんか。行くで!」
「本当!やった……!」
「ほんで、東京行きの詳しい時間、伝えようと思うねやんか。写真とかまた送っておくから確認してほしんやけど、新幹線を使って、3日の朝から大阪を出て昼には東京に着く」
「ちょっと待って。メモるから」
「ええの。あとで文で送るから」
「そうか?でもやっと会えるんだな。もちろん東京駅に迎えに行くさ。俺の時は見送りにホームまで来てもらったから。うれしかったよ、あの時」
「もう、変なこと言わんといて!照れるわ。じゃあね!またなんかあったら連絡頂戴ね!」
俺は急に電話を切られたが、すぐに彼女から写真やらメッセージやらが送られてきた。
時間とか新幹線のチケットとかまだわかるが……
このコメントはなんだ?
『ホテルは知明くんの家です』
……。
……は⁉︎……冗談だよな?
俺は急いで履歴から有希子に電話をした。
『ただ今、電話に出ることが…』
おいおい、さっきまで電話したじゃん。
家には……爆弾がある……!
どうにかして不発処理もしくは移動しなければ……。
その場で立ちつくす俺に、ラインがくる。
『電話しすぎると、声聞けちゃうから、ありがたみが減る!だから、会えるまでガマン!もう電話出来るだけしない。泊まらせてもらうのは知明くんのお母さんにはOKもらってるから。詳しくは親御さんに聞いてね♪』
急いで母に電話をかけるが……
「あら、あなたたち、そんな関係じゃなかったの?でも、沖田さんも東京に来て、ホテル代浮くじゃない。知明も嬉しいじゃない。いいことづくめよ」
「なにしてくれてんだ。俺どうすりゃいんだ?陽奈が家にいるからさ……」
「ちょっと、女の子がただ家に来るだけじゃない?それとも、私に知られて困るようなこととか……」
「母さん、ちゃんと話していなかった俺が悪いんだけど、彼氏彼女になったのは、新幹線の中で、スマホ通してだ。大阪では全く付き合ってなんかいない!」
「え。じゃあ、あなたたち、いきなり、遠距離恋愛してるの?」
「ああ、よそに行ってしまったら沖田さんは、俺なんか忘れるとばかり思っていたが、卒業式で俺が告白したら、彼女も俺のこと……好きって…だから、その……やり取りは頻繁にしてるし」
「よほど気に入られているのね、まあ同意の上だったらゴールインしてもいいわよ。けど向こうの親御さんがどうかしらね?」
「まじめにいってるのか?こんな高校の時からそんな先のこと、どうなるのかわかんないし」
「けど、私とお父さんも付き合い始めたのは15の時よ。チャンスあるわよ。上手く立ち回るのよ」
「……」
「それとね。母さん、海外行くことになったのよ。言ってなくてごめんね、6月から一人暮らしだけど大丈夫だわよね?」
「……はあ?急にどうしたんだよ」
「お金は振り込んであげるから、心配しないでね」
「何言ってんだよ」
「それだけだわ。私、ニューヨークに行くから。知明は日本で頑張っているのよ!」
「ちょ、で今どこにい……」
あ、電話切れた……
とにかく、今年は、ちょっと大変な連休になるかもしれない……。
陽奈問題をどうすればいいのか分からなかった俺は、事情を知るタカに相談してみた。
「頼む……どうすればいいか考えてくれ……!」
「って言われても分かんねえ。つーか、俺の好きなやつと一緒に住んでるやつに言われてもな」
「……そうだな、悪いな……」
あーあ、どうすりゃいんだか。
タカも思い切って陽奈に言えばいいのに。
お前のルックスを持ってすれば確率100パーだと思うんだけど。
俺みたいにアタックすりゃあいいのに。
陽奈に直接どっか行けとは言えねーし。
有希子に俺の家来るのやっぱりやめろとも言えねーし。
八方塞がりじゃん……おっと?
そういえば……?
ちょっと賭けてみるか。
「なあ、お前の家って一軒家だよな」
「……いきなりなんだよ」
「前住んでいたはずのマンションはどうしてんだ?」
「……誰も住んでないけど……お前まさか」
「どうかそのマンション、俺に貸してくれ!頼む。金は払う!ウィークリーマンションとしてどうかGWの間、貸してくれ……!」
俺は目の前の机に額をくっつけて頼んだ。
「……ちょっと親に今聞いてみる」
そう言ってタカは電話をしに、席を立った。
数分後
「どうだった……?」
ゴクリ。
頼む……!
「……いいぜ。あとはお前から今、親に話してくれ」
「ありがとう!サンキュー」
俺はタカからスマホを受け取って、通話を代わる。
「あ、もしもし。ご無沙汰しています!一条知明です〜。あ、覚えてらっしゃて……ええ、あ、はい……はい?あの、もう一度お聞きしても……あ、はい……」
俺は一度スマホの持ち手を取り替える。
「……え、マンション、いただける?は、はい⁉︎……え、そのどういうことでしょうか?……私の父が……滅相もございません。では、失礼します」
「おい、トモ、どうした?お前、マンション貰うってどういうことだよ!」
「おいっ!あんまり大きな声出すな」
「説明しろよ」
「あのな、俺も整理つかねー」
小川母によると……
約10年前、不景気だった小川の勤める会社ーー四つ菱商事ーー小川の親父さんの担当案件が最重要課題だった。
プロジェクトが不履行になりそうな中、俺の父親が手を貸してやったそうだ。
無事、危機を乗り切ることに成功したそうだ。
その後も俺の父親が彼を支援していたそうで。
今や小川の親父さんはその会社の社長。
曰く、マンション1個くらい、俺にあげて、恩返しさせてくれ、だそうだ。
全然意味わかんね……。
俺はそんなことまったく知らなかった。
「ーーだそうだ。タカ……これからもよろしくな」
「……俺たち、腐れ縁だな。俺、トモに一生頭上がんねーよ」
「そんなこと言わず、今まで通りにしてくれ」
俺は無事(?)カモフラージュ用のマンションを手に入れ、普段から生活している感を出すために家具や雑貨を揃えた。
陽奈にバレないようにするのが大変で……。
こうして4月後半は瞬く間に過ぎ去る。
いよいよ。
5月2日、前日の夜ーー
俺はいつものように有希子とメッセージのやり取りをしている。
『いよいよ明日だねー!めっちゃ楽しみ。ずっと徹夜かも?』
『いや、はやく寝てくれよ』
『迎えに来てくれる?』
『もちろん』
『そうね、じゃあもう寝るね♪おやすみ』
『おやすみ、また明日な』
明日から更新頻度が落ちてしまいますが、これからもよろしくお願いします。
1日2話は更新できると思い……ます。
いよいよGW突入……!
あき池「今年のGWの記憶はありません」




