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第20話 もう俺はどうすればいいんですか

お読みいただき、ありがとうございます。

家に入る一歩手前のところで俺は衝撃の事実に気づいた。


そういえば。


沖田さんとのルール、どうしよう?


ルール3、気になることは言う……そんなこと書いてあったな。


こちとら動揺してんだよ。


東京きて早々に女の子が家に住むことになってんだよ。え?


こうなったら、俺は腹をくくる。


俺は深呼吸をした。


女の子と……それもこんなに可愛い子が来たら大大大問題!


俺は彼女がいる俺は彼女がいる俺は彼女がいる……


俺は精神を落ち着かせ、玄関の扉を開いた。


「入ってくれ」


「お邪魔するね」


「どうぞ。まっすぐ行ってリビングの椅子にでも座ってくれ」


「そこで待ってね」


なんだろう……?


河村さんは俺を玄関に立たせたまま、靴を脱いでこちらを振り返ると……


「お帰りなさい。ともくん」


……


俺は倒れそうになった。


なんか、天の御子の姿が?


幻かな?


「あ、た、ただいな?」


「んもう、ちゃんと言えてない」


「ただいま?」


「うん!先リビングにいるね」


動悸がおさまらない。


後ろ姿をぼんやり見つめる。


俺はふらつきながら玄関を上がって、リビングにいった。


リビングにちょこんと座っている河村さんに尋ねた。


「河村さんはどうして警戒心ゼロなんだ?その、普通男の子と2人で家にいるとかは、敬遠するじゃんか」


「だってともくんじゃん。ともくんはそんなことしないもん」


う、うれしい……!


「そんなものか?まあ、そう思ってくれてるならこっちもありがたいよ」


「河村さんじゃなくて、小学校の時みたいに陽奈って呼んでよ」


あ……名前呼びですか。


これはハードル高いな、いくら元々知り合いとはいえ、高校生で……


ひな、ひな、ひな……声にだせるか?


その時、ちらっと沖田さんの顔が浮かんだ。


脳内で声が聞こえる。


『あんた何してんの……!どういうことか説明してみ……』


あ、この一連の出来事、バレたら詰み確定?


付き合っている沖田さんとはまだなのに、一緒に住むことになった女の子とは名前呼びに……!


「ほら、ひなって呼んでよ。恥ずかしがらずに」


もういいや。


名前呼びだろ?


しちゃえ。


「陽奈」


「やっと昔みたいに呼んでくれたね」


こんなこと絶対、隠さなくちゃいけない。


別に……何もないしただ親の取り決めで1人の女の子が家に住むことになった、それだけのこと。


その女の子が可愛い過ぎるからちょっと問題かもしれないけど、遠距離ってこれくらい大丈夫だよね……ダイジョウブジャナイネ。


リビングの窓からは夕日が差し込んでいた。


「夕飯だな、そろそろ」


「私、料理作れるの。ちょっと待っててね」


そう言ってキッチンに行って、どこからともなく引っ張り出したエプロンをして冷蔵庫を開けた。


「やっぱり、ともくんママはすごいともくんのこと考えてお料理してるんだね」


「そうだな。バランスは取れてんだろな」


材料を取り出して、包丁をさばく、その姿はなんか、未来のお嫁さん……みたいだった。


トントンとリズミカルな音を立てている。


「すごい料理に慣れてるんだな」


「えへへ。ともくんに喜んでもらえるようにちょっと練習したんだ」


あー、もう。俺のためとかもったいない。


それから少しすると料理は出来上がった。


「はい。出来ました。どうぞ、肉じゃがとほうれん草とごまの和え物です」


「ありがとう。じゃあ、早速いただきます」


「ちょっと待って……あーん」


おおおおおおお


いきなり横に来たかと思ったら、俺の横に座って、あーんしてきた……!


「お口開けて」


俺はそのお箸を受け入れた。


うん。肉じゃがは最高に美味しい。


細かいことは気にせずに言おう。母さんよりうまい。


「美味しすぎる。うまい。こんな料理作ってくれてありがとな」


「ともくんに気に入ってもらえてうれしいな」


「陽奈の分、冷めちゃうから食べてくれよ」


あのー、いつまでそんな俺の顔見ているのでしょうか?


「……あ、食べるね」


そう言って陽奈は向かいの席に戻った。


その時、俺の携帯が鳴った。


たしかに鳴った。


けど、俺はその美味しい料理に夢中で気がつかなかった……!








沖田「あのアホ……しばいたろか!」

あき池「落ち着け……!作中の君は残念ながら何も知らないんだ」

一条「……なんか殺気が……」

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