参謀長
8月30日
午前10時
コンコン…。
御巫「御巫入ります。」
轟「お!おはようおはよう!″参謀長″!」
御巫「その呼び方はやめてくださいよ!」
宮下「まぁいいじゃないか。″参謀長″」
御巫「絶対言いたいだけですよね?」
御巫はとある場所に来ていた。
そこは、国家特殊部隊、″ジャスティス″の本部。
特別な訓練を受け、超難問な試験に合格した者のみが入隊を許されるエリート部隊。″ジャスティス″。
御巫は若くして″参謀長″を務めていた。
7年前。御巫は国家転覆を目論む″阿見場″との戦い後、轟とこのような話をしていた。
――――――――――
轟「御巫君!!ぜひ高校卒業したらジャスティスに入隊してほしい!!この通り人がいなくてな!!」
御巫「ありがたい事ですが…僕は体力もないしゴミ当番くらいしか出来ませんよ。」
轟「月200!!これでどうだ?」
御巫「う…。」
轟「500だ!!」
御巫「……。考えさせて下さい。」
轟「まぁ卒業までまだあるし、ゆっくり考えて答えをくれ!!」
――――――――――
御巫は考え、ジャスティスに入隊する事を決意した。
高校卒業後、御巫はすぐにジャスティスの訓練生として入隊。
軍隊におけるイロハを習い、海外遠征等、訓練を6年間受けた。
そして轟の計らいもあり、訓練生から参謀長という超あり得なスピード昇格したのであった。
音無は高校卒業後、東京の大学に入学。司法試験に合格し、弁護士の仕事に就いた。
巷では美人弁護士として有名になり、音無が勤める法律相談所では日夜、音無を見に来る客や、ファンで賑わっていた。
弁護士としての実力も優秀で、多忙な日々を送っていた。
これらの都合で、御巫と音無が同棲してからまだ半年しか過ぎていなかった。
轟「どうだい!嫁さんとは!少しはゆっくりになったか?」
この男の名は、轟 剛一郎
年齢52
国家特殊部隊″ジャスティス″
″大元帥″
御巫「そのゆっくりしだした最中にこれですよ…。昨日もその事で音無とはいろいろ話しましたし…。嫁て!まだ結婚してませんよ!」
元・アルバトロス リーダー
″参謀長″
御巫 零
宮下「ま、仕方ないわな。」
ジャスティスの元・幹部(大将)
兼、元・アルバトロスメンバー
″副元帥″
宮下 智行
年齢50
7年前ジャスティスもまた、″阿見場″により壊滅的被害を受けた。当時、轟が負傷して指揮を取る者がおらず、現場はパニックなってしまっていた。そこで轟は体制を見直しし、新たに″副元帥″の地位を設け、当時生き残った幹部(大将)4人から宮下を抜擢した。
また、全ての隊員には″エラー″を義務づけた。
その他もろもろを見直しして、ジャスティスはさらに強固な軍隊へ生まれ変わった。
そしてここは、ジャスティス本部最上階。大元帥室。
轟「そんな事はさておき、何があった。」
御巫「実は昨日…。」
俺は昨晩の事を全て話した。自称俺の妹。エラーになれる事。両親の存在。肝心のエラーになれる理由を聞き忘れた事。
狙われている事。
轟「そうか…。そんな事が…。やっぱりか…。」
御巫「…何かご存じで?」
轟「いや、別に。初めて聞いた事だ。」
宮下「後には追わなかったのか?」
御巫「はい。いきなりそんなにしつこいと嫌われてしまいそうで。」
宮下「それもそうだな。まぁどうせ分かるパターンだろ?
その妹がどこにいるか。」
轟「そうなのか?」
御巫「…ええ。分かりますよ。」
澪が家から出る時の事。
――――――――――
澪「ありがとうお兄ちゃん。最後に…警告しておく。」
御巫「警告?」
澪「そう…。警告…。気をつけて…。
″お兄ちゃん達″は狙われてる…。またね…お兄ちゃん…。」
御巫「…。」
ピン!
澪が御巫と音無に背を向けたその時。
御巫はポケットから小さな発信器をデコピンで飛ばし、澪の服に着けたのだった。
――――――――――
宮下「しつこいヤローだな。」
御巫「狙われているというなら仕方ない。轟さんが予想的中ですね!」
轟「ほらみさらせ!な?」
宮下「しかし、いったい何の用なんだ…。お前らに。」
御巫「それがわかれば苦労はしませんよ。」
轟「もしその妹さんが、″敵″だとしたら…。避けては通れぬな。」
御巫「また、戦うしかないのですかね…。」
轟「んで、どこにいるその妹さんは。」
御巫が鞄からタブレットを出し、発信器の位置を表示させる。
発信源は東京湾から10㎞程南であった。
轟「海だぞ。」
御巫「海ですね。」
宮下「ヤツは潜水艦とかか…。行くか?」
御巫「…。」
その頃。
澪「誰もいなかったよ…。発信器は…。」
「ほう…。」
澪「本当だよ!信じて!」
「…。回れぇぇ…後ろ!」
澪が合図とともに後ろを見せる。
「その服に着いてるのは何だ?」
澪「!!(え!発信器!?)」
「なんだ会ったんじゃあないか…。あちらさんも警戒してるようだね。ここがバレたな。」
澪「ご…ごめんなさい…。」
「この戯者があぁぁぁ!!!!まさか発信器着けてきたんだろーなー!!!」
澪「ひっ!!と…途中で発信器を落としてしまって…その…。」
「全く使えん!!!!この事をなんて″あのお方″に報告すればいいのだっっ!!」
バチッ!!バチッ!!
澪「お…お許しください!!」
「怒りすぎて右手から″火花″が止まらんわい!!!
だが、逆にそれを利用してやれば問題無し。おびき寄せて、ぶち殺せばいい。早くあいつらの首を差し出さねばな!!!
なぁ!?
″Dr.K″!!」
澪「(こんなまさか…。どうすれば…。)」
御巫達では。
御巫「いや、行かない。」
宮下「そうか。」
御巫「行かなくても向こうはいずれ来るさ。」
轟「どーゆー事だ。」
御巫「見てくださいこれ。」
御巫がポケットから取り出した物。それは。
轟「発信器!?」
御巫「そうです。昨日、自分の服を探したらあったんです。向こうも何か企んでますね。」
宮下「なるほどな。わざと呼び寄せてそこを叩くわけだな!」
御巫「ええ。その前に相手がなんだかわからないのでもう少し調べませんとね。」
轟「では。少しいろいろ考えてみるとするか。」
澪が着けてない筈の発信器がなぜ御巫に。
この発信器はいったい…。
to be continued…!