異世界転生
さて、俺は今起きた事、そしてこの状況の説明を誰に聞けばいいのだろう。ん?何のことだって?
では、分かる範囲で説明しようか。
ーー数分前ーー
日の光が俺の目を照らした。葉と葉の間から漏れた優しい光だった。俺は、中々起きれそうにないと思い寝返りをうって再び夢の中にダイブしようとした。
しかし、ある違和感を感じた。そう、枕がないのだ。俺に安眠を与える低反発の枕がないのだ!
仕方なく起きて、枕を探そうと目を開けた瞬間、森が視界いっぱいに入った。
そう、森だ。俺がいたのは森の中だったのだ!
「ははは、嘘だろ…」
驚きのあまり声に出てしまった。俺は咄嗟に自分の頬を引っ張った。しかし、頬に感じる痛みが夢ではない事を物語っていた。
そして、森の中にいるという事を忘れるくらいの大きな違和感に気づき驚いた。
自分についての事が少しも思い出せない、ということに。
今、俺の頭の中にあるのは今までやってきたゲームの名前と友人の名前、自分の年齢などの知識だけだった。
自分がどこの誰なのかわからないとは、どれだけ不安なのかたぶん味わった人にしかわからないだろう。
とりあえず、救助が来るかもわからない森にいるのは危険だと思い俺は歩き出そうとした。
その瞬間、近くの茂みが揺れた。
救助が来たのかと振り向くとそこには、黒い三つ目の犬がいた。俺の知識には、そんな犬など知らないと出た。
俺は、明らかに危険だと感じ後ろへ後ずさる。しかし、三つ目犬は唸りを上げながら飛び掛かって来た。咄嗟に、俺は横に転がる事で回避することができた。と、言ってもかっこ悪く転んだ様なものだが。
「グルル、」
犬がこちらに向き、姿勢を低くして飛び掛る準備をした。今度は、さっきのようにはいかないだろうなと思いながら避ける用意をした。
しかし、その必要は無かった。何故なら、犬が出て来たとは別の茂みから剣を持った人が飛び出してきたのだから。
「えーい」
と、何やら可愛い掛け声をしながら剣を振ったのは金髪少女だった。少女の振った剣は、犬の腹を抉った。犬は、悲鳴を上げ血を流しながら走り去っていった。生で、血が出るとかやめてくれ。
とりあえず、助けて貰った恩人に礼を言おうとすると少女は振り向きこんな事を言って抱きついてきた。
「今まで何処行ってたのよ、カズ!」
以上、起きた事で全てだ。お分り頂けただろうか。俺は、記憶を無くしている為この金髪少女が誰なのかわからないし、ましてや自分がどこにいて誰なのかわからない。しかし、この金髪少女はとても可愛い事は知っている。
おっと、流石に恥ずかしかったのか顔を赤らめながら少女は俺から離れた。
「カズ、あの日あの後で何があったの?」
「あの日?」
「イルナミア儀式場でのことよ!あなたは、空間魔法によって何処かへ消えてしまった!あの日のことよ!」
少女は御立腹だった。俺には、何の事かさっぱりだったが。何、イルナミア儀式場って。何、空間魔法って。なんか、かっこいいんですけど!とりあえず、彼女は俺の知り合いなんだよな。なら、説明して助けを求めよう。
「あの〜、なんかよくわからないけど。俺、記憶を無くしているだ。出来れば、ここが何処で自分は誰なのか教えてくれないか。後、君が誰なのかも教えてほしい」
おお、記憶はないけど前の俺は多分女子と話したことがなかったのだろう。凄く緊張した。
「ほ、本当に。何もかも忘れたの?」
「ああ、さっぱりだ」
少女は、涙を浮かべながらしばらく顔を下向けていた。なるほど、俺はこの少女にとって大切な存在(仲間として)だったのだろう。しばらくして、落ち着いたのか少女は説明をしてくれた。
「私は、アーラ。アーラ・オルデンよ。そして、あなたはカズ・シエラ。私達のパーティーのリーダーよ」
「カズ・シエラか。やっぱり思い出せないな。えっ、というか今パーティーのリーダーって言った?どういうこと!?」
驚きの声を俺は上げた。何せ、パーティーとはゲームのことしか思い浮かばなかった。そして、そのリーダーとなればとても重要ではないか。
「カズは、私達を集めてパーティーを結成した。人々を魔物から守るために」
なるほど、前の俺はとてもいい奴だったらしい。メンバーを置いて何処かに行く事を除いたらだが。
「分かった。ありがとう。やっぱり思い出せないけど…」
「あのさ、カズ。私達のパーティーに戻って来るのよね?」
「ん?ああ、そうだな。何も、分からないしとりあえず戻るよ」
「そう…。よかった」
こうして、俺の旅が始まった。世の主人公達は、ここでこんなことを言うのだろう。この時はまさかあんな事になるなんて思いもしなかったと。まあ、俺はそんな面倒なことはしたくない。だから、神様頼むよ。平和な旅にしてくれ。
ハイハイ、この小説の神様こと神楽 舞です。遅くなりました。3話です。ちょっと最近忙しくて書く暇がありませんでした。次は、なるべく早く出そうと思います。そうそう、カズ君そんな話つまらないからハードな旅にするよ。期待してよ!
うん、なんだこの後書き。完全にヤバイ人ではないか。小説の主人公に話してるし、神様って言っているし。完全に誤解生むぞ。読んでくれた人、この作者実際はヤバイ人じゃないから!そこんところ、頼んます。あ、訛った。これ、何弁?
それでは、又次話でお会いしまじょう。
はぁー、締まらないなぁ。次回の後書きのネタ考えなきゃ。