プロローグ
初めまして、神楽 舞です。初心者なので、結構余計な部分があったり、逆に足らない部分があったりしますが、どうぞよろしくお願いします。
俺の名前は、神夜和彦。栄流高校1年だ。
ゲームオタクと周りに言われるが、別にそんなことはない。ただゲームが好きでやり過ぎているだけだ。昨日の夜、久しぶりの睡眠をとっていたので凄く気分が良い。登校中ずっとこんな時間が続けば良いのに。
おっと、今気分が悪くなった。フラグを立てようとしたわけじゃないんだが、神さまは相当人が悪いらしい。アレを突っ込んでくるとは。あ、人じゃないか。
「ん〜〜。今日も可愛いぞ❤︎僕の愛しいハニー」
「ありがとう。愛しのダーリンこそ輝いているわ❤︎」
わかったと思うが、俺は運悪く学校一のバカップルを見つけてしまった。この二人はTPOを弁えず年がら年中イチャついている。学校の九割は鬱陶しく思っていることだろう。残りの一割は言わなくても分かるだろう、諸君らなら!
話を戻したくないが、今ご迷惑なお二人のそれはもう熱いキスを見てしまったので俺は無理やり意識を戻させられてしまった。なので話を戻すとしよう。
さて、諸君らもこんな話ばかりではつまらないだろう。なのでお決まりの熱い接吻をしてくれたリア充共にお決まりの一言言って終わろう。
“リア充爆発しろ!クソ共がぁ!!”
俺は、朝から吐きそうなくらい甘い桃色空間に耐えながらも学校にたどり着いた。校門のところで生徒会の人があいさつをしてきたが疲弊した俺は返す気力が湧かなかった。
クラスに入ると親友の照則が話掛けてきた。
「よっ。カズなんか疲れきっているぞ。もうそろそろ睡眠日じゃなかったか?」
照則の言う“睡眠日”とは文字通り寝る日だ。つまり、昨日の夜のことである。ゲーム好きである俺は四徹することは当たり前なので四日に一度寝る日を作ったのだ。
「あぁ。それなら昨日だ。おかげで眠くない」
「でも、気分悪そうな気がするんだが...」
「バカップルを見た」
嗚呼、と照則は苦笑を浮かべた。
「どのペアだ?」
「中村と斉藤」
「カズ、おまえ運悪いな。俺もこの前見たから人の事言えないが」
そんなくだらない話をしていると、先生が入ってきてホームルームを始めた。
午前の授業は、珍しく俺が真面目に勉強をしているので先生達も授業の始めは驚いていた。全く失礼極まりない。俺だって週に一度は真面目に勉強をする!
「はは。確かにカズが勉強するのは珍しいからな。というか、それで平均点以上あるから意味がわからない」
「そうだろう、そうだろう。惚れてもいいぜ?あ、男に惚れられても嬉しくねぇや」
「でもマジでどうやっているんだ?」
「さあ?授業聞いてれば何とかなるんじゃね?」
昼休みになり、照則と昼飯を食いながら会話していた。 俺自身理由は分からないが、授業の内容がすらすらと頭に入ってくるので一応平均点が取れるのだ。しかし、そんな才能があるなら何故モテる才能はないのか不思議である。
それから、特に何もなく時間は過ぎていった。
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<異世界神協議会>にて、 神々が円卓を囲んでいた。
「では、これより異常者報告会を始める。まず、前回の報告会で措置を行うと決まった例の魂について、ガルス」
「はい。あの魂の記憶は空間管理局により抹消しました。また、再びこのようなことが起こる可能性は極めて低いと思われます」
全身白い服装の老いた男神が一柱の神を呼ぶ。それに答え同じく白い服装の若い男神が結果を報告する。
「うむ。では、次にこの魂だが...。皆も知っている通りこの者の処分は他と変えねばならん」
そう言って、一人の黒髪の少年を指す。
「では、もう一度この魂の特徴を、ヘーザ。皆に説明しろ」
「はい。この魂、魂体番号7051は生まれ変わりの際に、前世の記憶を失くさず生まれます。しかし、他の魂と違い暴れる事は今まで報告されていません。問題なのは、この魂が何らかの手段を用いて元の世界に戻ろうとすることです」
老いた男神が、次に若い女神に説明させる。そして、女神が説明し終えると老いた男神が円卓を叩いて、
「以上のことから、この魂を異世界法130条違反とし、魂の抹消とする。現在は、地球に生まれまだ記憶は戻っていない。機会があるとすれば今であろう。異議のある者はいるか?」
しかし、神々は当然であろうやら、私の仕事が減るなど異議を唱える神はいなかった。
「異議なしという事で良いな。では、これより空間管理局に報告し抹消する。では、解散」
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放課後、俺と照則は一緒に帰っていた。ドーナツ屋に寄って、買い食いしながら。 唐突に照則が口にドーナツをくわえながら言う。
「なぁ、カズ。俺、彼女できた」
「ぶっ」
あまりに驚いたので、口の中のドーナツが吹き出た。
「今日の掃除の時間に呼ばれて告られた」
「へ、へぇー。良かったじゃん」
「結構好みな子でさ、付き合おうと思う」
「おい、照則。付き合うのは良いけど、バカップルになんなよ」
まさか、照則に彼女ができるとは思わなかったが、親友なので近くでイチャつかなければ反対はない。むしろ、喜ばしい事だと思う。照則も、加減は考えると言った。
「それじゃ、また明日」
「おう」
そろそろ家が近くなったので、別れを告げる。
俺は家に帰って、夕飯を食べ、自室でゲームをしていた。よくあるRPGゲームだ。一昨日に全クリを済まし、今キャラクターのレベルを上げて、裏ボスを目指していた。
「ゲームの世界で強かったら、俺もモテるのだろうか」
RPGゲームの主人公は、世界や一国の姫を救う為に戦う。そんな偉業を成し遂げるのだから、それはモテるだろう。
「はぁ、俺もゲームの主人公になりて〜」
俺は、暗い部屋の中で一人くだらない事を呟く。しかし、それに反応するものが部屋にいつのまにか佇んでいた。
「ウーン、ソレハ難シイデスネ。ナニセ、貴方ハココデ死ニマスノデ」
青いマスクをして、黒いローブをまとった人型の何かだった。何故人ではないかというと、体がローブの下で不自然に蠢いていたからだ。
「アー、申シ遅レタデスネ。私ハ…。コレカラ死ヌ者ニハ関係ナイ事デシタネ。ソレデハサヨウナラ」
俺が何かを言う前にその人型は目の前に忍び寄り、俺の頭に手らしきものを乗せ何かを唱えた。
その日の夜、一人の少年が突然姿を消し、後日ニュースとして報道された。