夢咲さんのいる日常
初めて日常系の短編書きましたので温かい目で見てください!
まー初めての事なんだうまく描けたかはわからないですけど感想なんて貰えると嬉しいなって!
ここは春ノ丘学園、綺麗な桜が風吹ながら飛ばされ、道路は一面ピンク色の桜の絨毯に彩られた季節、門の前には、入学式と書かれた立て札が置いてあり、これから僕たち、私たちの高校生活が幕を開けようとしていた。
そして僕は、早速クラスを確認する為に掲示板に向かうと、同じ中学出身のマブダチと呼べる奴、天童隼人と会う。
その後僕は、軽く会話をしながら同じクラスだったので、そのまま仲良く教室まで向かったのだった。
「またお前と一緒のクラスだなー、頼りにしてるぜ!
あまのちゃん!」
そう言われると僕は、少し怒ったように答えた。
「あまのちゃんじゃない!あまのって呼べ!」
そしてクラスに着くと、席はなぜか自由席となっており残り2席しか空いていなかった為、僕達2人はジャンケンをして後ろの窓側の席か、一番前の席かを選んだのだった。
「じゃんけんぽん!ぽん!ぽん!ぽん!」
「よっしゃー!俺の勝ちな!あまのちゃんおまへは、後ろの席な〜」
じゃんけんには負けたが、目立ちたがり屋の隼人の性格のお陰で、なんとか僕は、後ろの席になりホッと一安心していたのだった。
そして僕は席へ向かい、ゆっくりと椅子を引っ張って座ると、僕の左隣の席の女の子が挨拶をしてきた。
僕はその挨拶に慌てて答えてしまったせいか、口の中を思いっきり噛んでしまい、痛そうに悶えていたのだった。
すると彼女はクスクスと笑い、お腹に手を当て足をバタバタさせながら言った。
「何君可愛いんだけど!
アハッハッハアハハハハ笑
名前はなんて言うの?私は夢咲桜!」
彼女からそう言われると、顔を赤くしながら僕は否定した。
「可愛くねーし!名前はあまのだ……」
この言葉が後に、僕の口癖になったしまうとは、この時は思いもしていなかった。
そしてそのままクラスのみんなで廊下に整列し、入学式の行われる体育館へ向かうと、先生が壁際に一列で整列し、後ろの扉に2人、イカツイ先生が立っていたのだった。
僕はそんな先生を見ながら、きっと体育の先生か生活指導をしている先生なんだろうなと、思っていたのだった。
そしてそんなことを考えていた内に、校長先生が最後に一言いった。
「えーそれでは新入生のみなさん、学業にスポーツにまー色々無理しすぎない程度に、頑張ってください〜
恋愛も……ね」
そう告げ入学式が終わると、そのまま教室まで列をなして戻っていくのだった。
「はぁー疲れたなー、早く帰りたい……
入学式みたいに人が多いところって、なんか苦手なんだよな……」
そして皆さんは既にお気づきだと思いますが、今喋ったのが、この物語の主人公天野川。
天道隼人はあくまでもマブダチポジションなのだ。
そしてそんな彼の、物語が始まった。
そんな彼の、まずは自己紹介から始めようと思う。
身長は175センチ小さくもなく大きくもなく、バカにされることもない程よい身長に、体重は56キロと結構ほっそりしている、体脂肪率は10パーセント切るほどの肉体美であり、まーはたから見ればガリガリだ……
わかる人には理解してもらえるみたいだが、基本的にトップアスリートにしか理解されない。他の一般人から見ると、やはりこの身体はガリガリにしか見えないらしい。
因みに顔は、パッチリとした二重のせいで可愛いと言われ、さらには入学式の時に髪の毛を切るのに失敗してしまい前髪ぱっつんで、さらに可愛さが増し増しにっなってしまっていた。
そして最近は、肌荒れに悩まされていることが僕の……いや中高生全般の悩みと言えるだろう。
さてまぁー僕の話ばかりしていても、全く話が進まないので、ここは神様に見守ってもらいながら、学園生活を始めよう。
「キーンコーンカーンコーン……キーンコーンカーンコーン……」
チャイムが学校内に響き渡ると、そのチャイムに少し遅れていつも響先生が、慌ただしく入ってくる。
因みに先生は22歳ととても若く、まだ大学生な感じが抜けてないフワフワしたかわいい先生だ、そのせいかクラスメイトからは、よく響ちゃんなどと、軽い感じに呼ばれてしまっているのだ。
因みに担当科目は音楽であり、プロの歌手になれるんじゃないかってくらいうまいのだが……
というより、大手の事務所からスカウトされた事があるらしい。
その後少し遅れてから、またクラスに一人やってきた。
「おっはよーございまーす!」
遅刻しているというのに、いつもどおりの元気な挨拶で、正面突破してきた彼女の名前は、夢咲さくらだ。
入学式の時のやつだ!
なんと図々しい奴なんだ!
そして彼女は僕へ、毎回精神攻撃を仕掛けてくる敵でもある。
「あっ、おっはよあまのっち〜今日もかわいいね笑」
そう言われると僕は、決まっていつもこう言い返す。
「可愛くねーし!」
こんな風に言い返してはいるが、内心自分では可愛いと気付いており、言われると照れ臭さはあるが嫌な気はしない。そしていつも、自分は素直になれないせいか否定してしまう、いわゆる素直になれない系の人間なのだ。
そして朝のホームルームが終わると、隣の席に居る夢咲さんが、ニヤニヤと憎ったらしい笑みを浮かべながら話しかけてくるのだが……
彼女の言うことを聞いていると、いつもろくなことがないので、僕はきまって狸寝入りでごまかしていた。
まー彼女の事だ、僕が狸寝入りをしているのも気づいているのだろう。
そして気づいているからこそ、狸寝入りしている僕にずっと話しかけてくるのだ。
「ねーねーあまのっち、そのまま狸寝入りしててもいいの?
私の可愛い、可愛い〜顔を拝まなくてもいいの?
それともまさか、、、机の中に張り付いてる手紙でも……見ちゃったのかな?」
そんな事を聞いてしまった僕は、気になってしまい。不本意ながら狸寝入りやめ体をゆっくりと起こした。そして僕は、彼女の事を見つめる……いやちらっと見つめると……ニタァ〜っとした表情でこちらを見てきながら、ささやくような優しい声で呟いた。
「やっと起きてくれた」
そう言われると、少し顔が赤くなり無性に悔しくなったのか、彼女の事をからかう様に、言おうとしたが……逆に緊張してしまい、言葉が詰まってしまうのだった。
「お前……俺のことす、す、す、すずめ!って自由でいいよねー笑」
「何言ってんの……あまのっち?頭打った?」
そんな風に言い返してきた彼女は、全て見透かしたかの様に、ニヤニヤ、ニタニタと口角を上げ、僕を見てくるとさらに、口パクで何か言ってきたのだが、読唇術など僕には出来ない為、彼女がニヤニヤ、ニタニタ何を言っているのかわからず、気になってしまい、すでに始まっていた授業に集中出来ずにいると、先生にいきなり当てられ、どこのページを読めばいいのか分からず、あたふたしていたら夢咲さんが小声で教えてくれたのだった。
そしてその通りの行を読むと、国語の先生から怒られる事なく、無事にすみホッと一安心していたのだった。
「その……ありがとう」
そう言うと、夢咲さんはクスッと笑いながら机の上に両手を組み、そのまま身体を倒しながら、僕の方に顔を向けて答えた。
「ジュース1ぽんねっ」
そんな風にあざとい感じに、可愛かったせいか僕は、授業が終わると、教室を出て夢咲さんへのご褒美として、夢咲さんの為に、自販機の前まで行き、何が好きなのか分からず、ずっと考えて立ちすくんでいたのだった。
「夢咲さんってどんな飲み物がすきなんだ?
失敗したなー、買いに行く前に聞いておけばよかった……
まさかこうなる事を想定して……教えてくれなかったのか?
そんな事あるわけないよな……」
そして自販機から自分のクラスの窓を見ていると、スマホをこちらに向けながらニタニタと、夢咲さんが憎ったらしくも、とても嬉しそうな表情をしながらこちらをずっと見ていた。
そして僕は少し大きな声を出して、彼女の好きな飲み物を、聞いてみることにしたのだった。
「何がのみたいのーーー!」
そう聞くと、一番困る答えである言葉が、彼女の口から発せられるのだった。
そして、さらにニヤニヤしてこちらを見てきた。
「なんでもいいよーーー!あまのっちにまかせるー」
そして僕は無難なのがいいか、それか彼女が日頃から飲んでそうなものを選ぶか、チャレンジしてホートケーキ味のミルクセーキをプレゼントするか、考えて考え抜いた結果、僕はいつもの仕返しもかねてホットケーキ味のミルクセーキを買い、ついでにもう一本口直しのためのコーラを買って、教室に戻ったのだった。
「夢咲さん……これにしたけどよかった?」
そう言うと彼女は少し顔を赤くしながらも、少し口角を上げて、いやらしそうに僕に言うのだった。
「あまのっちって結構……エッチ……なんだね
女の子にそんなに白く濁ったもの飲ませて、何考えるつもりだったの?
まさかその白く濁った……白濁した液体を私の全身にぶっかけようと……おもったの?
それとも私が不味そうに飲んでるのを、貰おうとしてたのかな?間接キスがしたかったのかな?なのかなぁ〜?んー?」
「ちっちげーし!エッチなのは俺じゃないし!
お、お、お、前の方が……」
そんな僕の反応を見た夢咲さんは、お腹を抱えて大笑いしていた。
笑いすぎたせいか彼女の目がウルウルしていて、とても色っぽかった。
そんな彼女の表情を見て、僕は一瞬ドキッとしながらもかわいいなー、なんて思いながら見ていると、彼女も僕の事をジッと見つめてきた。
「やっぱり……あまのっちはかわいいね!」
そう言われると僕は、立ち上がりいつも通り否定すると、手に持っていたコーラを彼女に渡して、教室から急いで出ていくのだった。
「可愛くねーし!ちょっとトイレ行ってくるぅ!」
そんな僕の後ろ姿を見て、彼女は幸せそうな表情でニタニタとしていたのだった。
「ほんとに、あまのっちは素直じゃないな〜
まぁーそんなところも可愛くて……いいんだけどね」
そして淡々と授業が進み4時間目が終わると、僕の一番好きな時間、食いしん坊さんの好きな時間……まったりできる時間!そうお昼休みだ。
お昼休みに入ると、僕は急いで購買へと向かう、その場所にはいつも僕を手玉にとる奴が来ない、平穏の地だ。いや僕を迎えてご飯を出してくれる、学校内のオアシスだ。
そして僕は券売機の前に立つと、いつも通り日替わり定食を選んび、今日は何がおかずかななんてことを頭に思い浮かべて楽しみに待っていた。
その後、遅れてマブダチである天童がやってきた。
「よーっすあまのちゃん!
ま〜た日替わり定食にしたのか?
たまには他のも選べばいいのにー、割とここの学食なんでも美味いぜ?」
「あまのちゃんじゃなくて、あまのって呼べ!
そんな事は知ってるけど、俺はここのおばちゃんが毎日考えて作ってくれる、日替わり定食が好きなんです〜
一途な俺は他に美味しそうな物があったとしても、基本はこれしか食わん!」
そして頼んでいた日替わり定食の事を、目を輝かせて犬のようにまっていると、珍しく普段は購買になど来ない奴がいた。そう……夢咲さんがいたのだ。
僕はなるべく近寄らないように、遠くからそうとても遠くから見ていると、夢咲さんの隣に何やら仲の良さそうな顔立ちの良い男がいた。
「なっ、なんなんだあいつは……
まっ、まさか、夢咲さんのか、か、か、か、か、か、かれし……
たったしかに夢咲さん、髪ロングストレートで鼻もシュッとしてて丸目でくりくりしてて可愛いし、しかもあいつ地味に胸もある……
きっきになってしかたないいいい」
犬の姿勢で、地面に頭を何度も打ちつけながら考えていると、ようやく待ちに待った日替わり定食が完成したのだが、今の僕は、それ以上に気になることができてしまっていたのだった。
そして地味に隣にいたマブダチは、そんな僕を壊れたんじゃないかと心配しており、マブダチにこんなくだらないことで心配はかけまいと、どうにかして我を取り戻したのだった。
「気、気になって仕方がないどうしよう……
そうだあ、あとで教室でき、き、き、聞いてみよう……
うん、それがいい!」
そう決めると、少しだけ気持ちが軽くなったのかようやく日替わり定食を運び、先に座っていたマブダチの目の前に座るのだった。
「お前……なんかさっきから様子おかしいぞ?
夢咲さんの方ばっかり見て……もしかしてお前……」
そう言うとマブダチは、ニヤニヤと、ニタニタと何か良からぬことを考えていたみたいだったので、そんな彼の引き締まった腹に、とても強烈な一撃を食らわせ黙らせたのだった。
「何だよ何だよ!
俺がせっかく楽しいことしてやろうとしてたのに!
お前、夢咲さんと友達になりたいんだろ?」
まーそんな彼の放った一言は、僕の思っていた言葉と違った為少しホッとしていた。
「こいつ……バカでよかった〜」
そんなことを心の中で思いながら、今日の日替わり定食のメインであるハンバーグに手をつけていた。
「なんなんだ、このデミグラスソース……
辛すぎず甘すぎずそして柔らかい舌触り……
ま、まるで天国じゃないか!
この味くらい、僕の人生も優しくなってくれたら嬉しいんだけどな」
そんな事を思いながら、幸せそうな表情で食べていると、突然ふわっと甘い香りが僕の背後の方から匂い、そのまま僕のメインであるハンバーグを一口食べた。
甘い香りを放っていた奴は、夢咲さんだ。
夢咲さんはいたずら顔で、にししと笑いながら、僕の耳元で呟くと、そのまま走りさって行ってしまうのだった。
「ありがと。
なんか……ドキドキして美味しかったよ」
僕は顔を赤くしながら、足をだんだんと地面にばたつかせながら悔しがっていた。
「くっそー夢咲さんめ!
僕の僕の僕のハンバーグ……お、おまけになんだよどきどして美味しいって……」
そんな風にもてあそばれた僕は、なにか仕返しする策はないかと余ったハンバーグを、少しドキドキしながら口いっぱいに頬張りながら、考えていたのだが、なかなかいい手を考え出せずにいたのだ。
そう、そうなのだ……夢咲さんの隣にいた顔の良いイケメン野郎が一体誰なのか、気になって仕方がないのだ。
「よし、決めたぞ!
今日の帰り道、絶対に問いただしてやる!」
そしてそんな事をニヤニヤしながら考えていたせいか、目の前にいたマブダチが若干引き気味で僕の事を見ていた。
そんな目でマブダチから見られるよりも、今は夢咲さんのことでいっぱいいっぱいになっていた為、そこまで気にならなかった。
当然マブダチからは、本当におかしくなったんじゃないかと思われ少し心配されたが、僕はニコッと笑いグッと親指を立てたのだった。
そして時間が過ぎ、遂に待ちに待った下校時刻だ。
帰りの挨拶が終わると、足早に去って行くやつがいたり、その場に居座って友達と喋る奴など、部活に向かう奴らなど、いろんな奴らが居るわけだが、今日の僕はいつも通り帰り道が一緒の夢咲さんと、下校を共にするわけなのだが、その帰り道に、大事な僕にとってはとても重要な事を、彼女に聞こうとしていたのだった。
「ねっ、ねぇーゆめざきさんや」
すると隣に歩いていた彼女は、僕の方へ顔を向け無表情で答えた。
「ん?なに?」
そんな表情で少し冷たい感じに言われたせいか、僕は何も言い出せずに、聞き出せずにいたのだ。
そして何故、今、冷たくされたのか必死に考えている。
そんな僕の表情を、隣で見ていた彼女は今も無表情で、僕はさらに悩み、何かしたかな、なんて事考えていた。
「ポーカーフェイス……なのか?」
そして考えに考え抜いて、出した僕の答えがこんな感じになっていた。
彼女はきっと何か悩んでいると……そのせいできっと朝はハイテンションだった彼女のテンションが落ちているのだと、僕は僕なりに勝手にそう思い込み話しかけようとした時、彼女は急に笑いだしたのだった。
「あは、あはははははは笑
あまのっちぃ〜悩みすぎだよ笑
今私の事、たっくさん考えてたでしょ?」
すると僕の表情は少し明るくなり、ホッとしながらようやく気付いたのだ。
「おもちゃにされてた?」
すると彼女の笑い声は止まらず、腹を抱えながら話した。
「お、オモチャにな、なんてしてないよ笑
ぷっ!ブフォ笑
いやぁーあまのっちの反応が、余りにも可愛かったからついついやっちゃうんだよ笑
それで何を真剣に、そんなに考えてくれてたのかな?」
そう言われ少し僕はむかっとしながらも、僕らしくない返答を返した。
「可愛くねーし!
てかそりゃいつもあんなにハイテンションな夢咲さんが、そんなテンションだったら心配するじゃんか!
何かまずい事でもしたのかなーとか、まー色々俺だって考えるんだよ!
てか深く考えすぎちゃって、損したわ!時間返せ!」
僕がそう言うと、夢咲さんはニコッと笑いながら次の瞬間、僕の頭をわしゃわしゃと撫で回しながら、僕に言うのだった。
「ありがとね……私の為にそんなに悩んでくれるなんて、、、あまのっちってもしかしてだけどさ……好きなの?」
そう聞かれると僕は顔を真っ赤にし、喋ろうとした言葉が焦りのあまり、かみかみになり、噛みまくりながら自身の高鳴る鼓動を、必死に抑えながら僕は話した。
「す、す、す、好きなわけな、ないじゃないか!
き、きらいじゃないけど……
てかそうやってまた僕の事をオモチャにしようとしたってそう何度も引っかからないぞ!」
するとニヤニヤしながら彼女は、僕の心の中にに入り込むようにさらに言葉で襲ってきた。
「好きでもなくて、嫌いでもないってことは、普通って事になるのかな?
普通なの?」
そう言われると僕は、なんて言い返せばいいのか分からず、適当に言葉を濁してしまい、なんとかその場を凌ぎきる事にギリギリ成功したと思ったのだが、さらに、さらに夢咲さんは、僕に追い打ちをかけるように質問してくる。
「じゃーさ、あまのっちって好きな人いるの?
それとも……いない?」
そう質問されると僕は、一度落ち着いた筈の顔の火照りが更にぶり返し真っ赤っかに、例えるならばゆでダコくらいになる勢いで、顔が真っ赤に染まっていた。
「い、いるわけ……てか別に夢咲さんにはかんけーないだろ!」
そういうと彼女はくすくすと笑い、僕のコロコロと変わっていく表情を、楽しみながら見ていたのだった。
「関係無くなんてないよ?
だって私の好きな人は……誰だと思う?」
そうニヤニヤしながら、僕は彼女に問われると、考え過ぎてしまう良くないくせが出てしまうのだった。
そうだ、これは僕の持っている性質であり、決して僕は夢咲さんの事が気になっているわけではないと、そう思いたいのだけど、きっとそれも思い込みであり自分自身を偽ってしまうのだろう。
本当は、心の奥底では、彼女の事が気になっていて仕方がないのだ。
だけど僕はその奥底を知らない、知らずにのうのうと生きている。
知っているのは、この僕の物語を上から見下ろしているもの達だけだ。
そして僕は考えに、考え抜いて答えようとしたのだが、勇気が出せずに濁してしまう。
「好きな人なんて……わかるわけないだろ!」
僕はきっと、心の奥底ではこう思っていたのだ。
もしその好きな人が僕じゃなかったらどうしようと、他の人だったらどうしようかと、そしてこの事についての結論を言ってしまうと、僕は知ってしまう事が怖かったのだ。
そう、ただただ怖かった。
僕の性格は時折物凄く臆病になってしまう。
本当は、本当の事を知って安心したいが、でもその本当の事が、自分の思っていた事と違うことだったらと思うと……本当に怖い怖くてたまらなくなってしまう。
だからいつも言葉を濁して、わかるわけないなどと言うのだ。
魔法の言葉に頼って、流してしまう。
いやこの場合は、逃げてしまうと言った方が正しいのだろう、怖くて逃げてしまう、そんな臆病な性格のせいで僕はずっと前に進めずにいたのだ。
だけどそんな僕の心の中を夢咲さんは、土足で上がり込みオモチャにするように、僕に質問してくるのだ。
「わかるわけ……ないか……
答えてくれたら、教えてあげようと思ったんだけどなー」
そう言われたが僕は、さっき答えられなかったせいで、僕の心が臆病なせいで、夢咲さんの好きな人を知る事が出来なかったのだった。
そして彼女のニヤニヤニタニタしている顔からして、楽しんでいるのだ。
僕の、コロコロと変わる表情を見ながら。
「まぁーこれから先もずっと一緒にいるんだしあまのっちっなペースでゆっくりでいいからね」
そんな意味ありげな言葉を、僕をからかうようにニヤニヤと発したのだった。
そしてまーそんな質問ばかりされてはいるのだけど、何故か夢咲さんの隣は物凄く、居心地がいいなんて事を僕は思っていた。
そしてその後も、いろいろいじられながら帰っていると自宅に着いてしまい、本当に聞きたかったことが聞けずに、僕の中ではモヤモヤが残り続けてしまっていた。
一体あの男の人は、誰だったのだろうと?
まーそんなこんなで僕の学園生活はまだまだ続くわけなのだけど、このまま僕の物語を語り続けていると一生終わらないので、そろそろ一旦お開きにしたいと思う。
また僕の物語は語られるかもしれないし、語られないかもしれない。
でも、もし、もしもう一度語られたのなら僕のなんの変哲も無いこの物語の続きを一緒に見てほしいと、僕はそう願った。
「ありがとう」
受けがよければまた書くと思うので!
まー皆さんの反応次第って事で
なのでまた書いて欲しかったら感想で言ってくれるとやる気になります