表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は獣人!?~FANTASY LIFE~  作者: 子狐エルザ
第一章:ギルド加入編
13/45

13.狐司VSジャドー

前回の続きです

 え、一つになるってどゆ事?


 「お前の中に我を取り込むのだ。そうすれば、お前の能力は飛脚的にアップし我のスキルも使えるから、かなり有利に戦えるだろう」


 なるほど、そういうことか。

 ん?でもそうすると……


 「待って。そうするとグランヴァルツは……」

 「気にするな。元々、我の命は残り少ない。だが、このまま奴を残して二匹とも死ぬわけにはいかんだろう?それに、仲間を想うお前の中で生きるのも悪くはない。」


 そっか……

 たしかに、このままだと僕達は殺される。ヴァンの身体で。

 そんなのゴメンだ。

 もうグランヴァルツに会えなくはなるけど……致し方ない……か。


 「会えてよかったよ、グランヴァルツ。遅れたけど、僕はコウジ」

 「ああ、我もだ」


 体格差がある僕達だけど、拳を合わせる。

 すると、その合わせた拳から光が発し、目と閉じたけどグランヴァルツが僕の中へ入っていくのを感じた。

 しばらくして目を開けるとグランヴァルツの姿はなく、今の光で目がくらんだのかうろたえている。

 少し話しただけだけど、寂しさがあった。

 でも、感じるんだ。

 僕の中でグランヴァルツが感じる。

 そして、今までにない力を感じるんだ。

 ありがとう、グランヴァルツ……


 「お、おのれ……妙なスキルを使いおって……」

 「ここからは僕とグランヴァルツが相手だ!」

 「く……言ってろ……どちらにせよ、お前たちはここで終わりだ!!」


 ジャドーは片目を閉じて見えにくそうにしているから、チャンスだね!

 まずはどのくらい攻撃力が上がったのか試さないと。

 ジャドーの攻撃をかわして、腹部にパンチを入れる。

 すると、ジャドー……っていうかヴァンの身体が吹っ飛んで遠くの壁に叩きつけられた。

 うっわ……ものすっごい。

 これがドラゴンのグランヴァルツが加わったことで得た力……

 使い方を間違えればひどい事になりそうだ……


 「おのれ……ちょこざいな……」


 とはいっても、さすがに一発じゃ無理か……

 やりすぎると元に戻した時のヴァンの身体がひどい事になるから、うまくコントロールしないと。

 さて、行くか。

 血を蹴ってジャドーに突っ込む……はずが、あまりの脚力にジャドーを通り過ぎ、壁に激突した。しかも顔面から。

 痛い……と思ったけど、防御も上がったからか痛くなかった。

 おおう……なんかすごい身体になったなぁ……


 「クックック……自爆とはな」

 「うるさいな……まだ慣れてないんだから」


 とにかく、実践で慣らしていくしかないか。

 その間にヴァンの身体が壊れないといいけど。

 いや、壊すわけにはいかない。集中するんだ。


 「くらえ、真空壁(ウインドウォール)!」


 風の壁が僕の周りで渦巻く。

 風でたなびいた服と毛が切り裂かれていく。

 これ、風の刃の渦だ!

 まずい、このままじゃ身体がバラバラに切り裂かれる!


 「このまま切り裂かれろ!」


 言ってくれる……

 なんて言ってる間に渦がどんどん迫ってるし。

 ぶっつけ本番だけどやってみるしかないな。

 右腕を上に上げると魔力のオーラがドラゴンの腕と爪になる。


 「竜の鉤爪(ドラゴニッククロー)!」


 それを振り下ろし、風の渦を切り裂き脱出した。


 「なんだと!?」


 ふい~……あぶないあぶない。

 改めて見るとヴァンのスキルはすっごいや。

 剣だとヴァンの身体が二つに切られちゃうかもだし、剣は使わない方がいいね。

 剣を鞘に納める。


 「このガキ……いったい何者だ!」

 「あ~……たしかにただの獣人の子供じゃないね。転生してるし、ドラゴンであるグランヴァ

ルツをこの身に取り込んじゃってるし」


 でも、僕が僕であることに変わらない。


 「グランヴァルツの代わりにお前を倒してヴァンを助ける!この意思は変わらないけどね!」

 「ガキが……やってみろ。お前を倒せばグランヴァルツを殺したことには変わらん!」


 剣に風……いや、真空を纏って突っ込んでくる。けど、さっきまでと違って動きが単調だから簡単に避けられる。

 焦ってる?

 そりゃ、誰だって弱かった奴がいきなり目の前で強くなったら焦りが出る。

 でも、頭には少し冷静さが残ってるらしく、足に風を纏って素早さを上げてきた。

 っていうか、どんどん速くなってきてる!?

 やば、眼で追えなくなってきてるてんてん

 そういえばたしか、前世の漫画のバトルで、目ではなく、気配で追うのがあったな。

 よし。

 眼を閉じ、集中する。

 しだいに奴の気配が感じるようになってきた。

 ……そこだ!

 竜の鉤爪(ドラゴニッククロー)を放つと、剣で受け止められた。

 よく見ると腕にも風を纏っている。

 それ、まだスピードが上がるってことかな……スピードが上がるってことは攻撃力も上がるってことじゃん!

 うぅ……どうするか……ただでさえヴァンの身体を傷つけないためのハンデがあるのに。


 「どうした?さっきまでの気合が小さく見えるが?」

 「うるさいな。絶対にお前を倒してその身体を取り戻すんだから!!」


 さて、やる気は取り戻したけど、素早さはあっちが上だし……どうするか。

 あれ、なんか振り返って走り出したよ?

 あっちは出口……まさか街に!?

 僕も追いかける。

 くっそ、いったいどのくらい離されてるんだろ。

 早くしないとヴァンの身体で災害なんてとんでもない!

 って、もう出ちゃったし!

 やばいやばい、完全に見失った!!

 とにかく走ってしらみつぶしで探すっきゃない!

 街へ入り、ぶつからないように走る。

 屋根へ跳んだりして探すけど、影すら見当たらない。

 くっそ、どこへ消えた?

 考えろ考えろ……僕が奴だったら……そうだ!


 「あら、タク……じゃなくてコウジじゃない。こんなとこでどうしたのよ?」


 後ろから声がして振り返るとシルフィーがいた。


 「シルフィー!この街で一番高いとこはどこ!?」

 「え、え、なによいきなり……」

 「早く答えて!!」

 「え、えっと……グリドルの塔だけど……ほら、あれ」


 シルフィーが指さした先にはたしかに塔があって、一番高そうだ。


 「ちょ、ちょっといったい何が……ってはや!」


 シルフィーが何か言ってたみたいだけどそれどころではない。

 奴がヴァンの身体で何かしでかす前に倒さないと!

 そのためには奴を身体から追い出す必要がある。

 一つあるけど、それはまともに打撃を当てるのが絶対条件だしなぁ……一瞬でも隙があればいいんだけど。

 塔の前に着くと、いろんな獣人が数人倒れていた。遅かったか。

 塔の中に入ると、階段が螺旋状に上まで伸びていて、上を見上げるとでかい何かが落ちてくる。

 あれは獣人!?

 なんとかキャッチして生死を確認する。

 うん、生きてる。よかった……どうやら気絶してるだけみたいだ。

 再び上を見上げると、ヴァンが邪悪そうな笑顔でこっちを見ているのが見えた。

 野郎……絶対に許さない!

 落ちてきた被害者である獣人を壁側で寝かせ、階段を駆け上がって奴の元へと急ぐ。

 頂上の扉を開けて外に出ると、奴が子供の獣人を抱えていた。つまり人質……いや、獣人質だ。今にも泣きそうな表情でこっちを見ている。

 見た感じ、さっき落ちてきた獣人の子供のようだ。


 「よくここがわかったじゃねぇか?」

 「そんなことより、その子は関係ないでしょ?放してよ!」

 「ああ?命令できる立場じゃねぇの理解してねぇのか?」


 このゲスが……

 今どきの魔王だって人質しないってのに。

 とにかく、今わかるのは……


 「なに?こんな子供相手に人質しなきゃならないほど勝つ自信ないの?」

 「ああ?んなわけ」

 「うわ、だっさい。しかも自分の力じゃなくて他人の力のみだもんねぇ」

 「んだとテメェ!!」


 あ、子供を投げた!!てか、落ちる!!

 僕は走り出して空中へ投げ出された子供を助けようとする。

 塔から落ちる中、何とかキャッチして竜鉤爪を壁にひっかけ、落下を止めた。

 ふぅ……ちょっと塔を削っちゃったけど、よかった。

 泣きわめく子供を抱えながら下へ降りて再び塔へ入る。

 子供は気絶していた獣人の元へ行き、お父さんと泣き叫んだ。

 やっぱり親子だったんだ。

 子供が涙目で僕を見てきたから、僕は優しく頭を撫でてあげた。

 再び階段を駆け上がり、扉を開けた瞬間、剣先が僕をめがけて伸びてきた。

 とっさに身体を後ろに曲げてかわしたけど、剣の側面がマズルで伸びた鼻をかすった。

 うおぉ……危ないな!刃が下側にあったら鼻が切れてたじゃん!

 心臓がバクバクいってるよ。


 「チ……かわしやがったか」

 「ちょ、不意打ちなんてズルくない!?」

 「テメェを殺す気なんだからズルいもへったくりもねぇよ」


 うわ、なんて奴だ。

 とにかく、今ここでコイツを倒さないと!!

 街に迷惑かけたくなかったけど……第二ラウンド開戦だ!

もうちょい続きますよ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ