003
今回はかなり短いです。
今日は夜にもう一つ長めのを投稿する予定です。
「よしっ今日もやるぞ!」
フィルは、いつものように水車小屋に来て、魔法の練習を始めようとしていた。
今日はいつもより数倍やる気を出しているようだ。
それもそうだろう。何故なら、今日はフィルの9歳の誕生日なのだから。前に話したように、魔法が使える様になる平均年齢は9歳だ。そんな訳で、フィルの気合がメーターを振り切っていたのだった。・・・空回りするかは別として。
そして、フィルが9歳になってから初めての魔法の練習が始まるのだった。
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結果から言わせてもらおう。
駄目でした。
何故か、魔言を唱えても、魔法の発動どころか、魔力を放出するような事もないのだ。その事に気づいていながらも、両親に教えを請わなかったのは、間違いだっただろう。
ここで、この世界の魔法についての説明をしようと思う。
魔法とは、基本的に、あらゆることが出来る。無から有を生み出したり、事象を変化させたりさせる。しかし、それはどうやって発動しているのか?
その元となるのが、『魔力制御型魔法補助具』通称『魔具』と呼ばれているものだ。これらは、この世界では一般的に売っている。それを装着することによって、初めて魔法後使えるようになるのである。逆をいえば、魔具がないと魔法は使えない。そのような関係であったのだ。
そして、フィルはずっと魔具のことを知らない。否、知りえなかったのだ。この世界では一般的すぎて、教えてもらわなくてもわかる常識。という認識だった。メアリー達も、友達に聞けばわかることだろう。などと思っていたに違いない。しかし、悲しいことかな、フィルに友達は一人としていなかった。なので、そこら辺の一般的知識が抜けている事があるのだった。
しかし、フィルのやっていることはあながち間違ってはいない。
魔法を発動させるのは、いくら魔具があっても制御できなかったら意味がない。そこで、魔法を使うまでの段階、魔力を練り、魔言を唱えるまでの状態にする事で、魔力操作が上達する。
なので、メアリー達は、何も言わずに気づかないふりをしていたのだった。
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「ただいまぁ」
フィルは、落ち込みながら家に帰ってきていた。
しかし、いつまで経っても「おかえり」の言葉がない。
そこで、フィルはあることに気づいた。
玄関に見慣れないステッキが引っ掛けてあったのだ。
それを見た瞬間、フィルの体に何かが走るような感覚が走った。
そして、次の瞬間、
「やめろぉおおおお!!」
「っ!?」
ファルの声が家中に響き渡るのだった。
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