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坂下大矢と言う人

坂下大矢さんをご存じの方、私の作品をたくさん読んでくださってありがとうございます‼

金曜日、仕事が終わり私は会社のエントランスで紺野君を待っていた。

エントランスがざわざわと騒がしくなった瞬間私は大きな柱の影に隠れた。


「若社長‼お帰りですか?」

「ああ、今日は妹と約束があってね。」


ああ、今日も若社長イケメン。

回りの女性社員が目をギラつかせている。

若社長がエントランスを出ていくと暫くして紺野君が現れた。


「こんな、はじっこで何してるんですか?」

「紺野君を待ってたんだけど?」


紺野君はニコニコ笑った。

何故そんなにも嬉しそうなんだ?


「寒いですし鍋にでもしますか?」

「良いね~しゃぶしゃぶ食べたいかな?」

「了解です。」


紺野君と一緒にエントランスを出ようとしたその時百合ちゃんと百合ちゃんの友達が目に入った。


「何鍋にする?キムチ?トマト?もつ鍋も良いよね~‼」


百合ちゃんの声に私は百合ちゃんに手をふった!


「百合ちゃ~ん!しゃぶしゃぶ一緒に食べに行かない?」

「え?良いんですka………いやいやお邪魔するわけには………」

「邪魔じゃないよ‼ね!紺野君‼」


私が笑いかけると紺野君はハハハっと笑った。


「みんなで食べた方が美味しいよ‼ね!紺野君‼」

「そ、そうですよね………」


紺野君の同意をもらい私は百合ちゃん達をつれてしゃぶしゃぶを食べに行った。







しゃぶしゃぶ食べた~!

良心的な食べ放題にしたから食べすぎてしまった。


「松本先輩、私達この後イケメンバーテンダーのお店に行くんですけど松本先輩もどうですか?」

「え!行きたい‼紺野君は?」

「………付き合います。」


私達は百合ちゃんについてイケメンバーテンダーのお店に向かった。




いや、いやいやいやいや………この店は駄目だ。


「あ!私、急用を思い出した。」


逃げ帰ろう‼

私がきびすをかえそうとすると目の前に壁が立ちふさがった。


「鈴音がここに来るなんて、珍しいね。」


目の前の壁が喋った。

ああ、逃げられなかった。

私は苦笑いを浮かべた。


「い、いや~大矢さん!私はただ通りがかっただけだよ!」

「そうかい?鈴音の好きな酒揃ってるから寄っていきなさい。」

「………」

「鈴音の好きなタダ酒だよ。」


この、坂下大矢(さかしただいや)さんは洋太のお兄さんの一人だ。

言うなれば私の幼馴染みである。

洋太の兄弟は上から大矢、一樹(いっき)瑠璃(るり)、洋太、葉月(はづき)の5人兄弟である。

瑠璃ちゃんだけは女だが後は皆男で私はこの、兄弟の中で同じように育てられた。

大矢さんは結婚してお婿さんに行ったから名字が坂下になった。

お隣さんで幼馴染み。

大矢さんは私の兄と言っても過言じゃない。


「鈴音。」

「は、はい。」


私が大矢さんにさからえる訳がないのだ。

私は瞳を輝かせる百合ちゃん達をつれて店に入ったのだった。





「鈴音が男連れで来るとは……一樹に言って良い?」

「駄目!やめて‼いっ君面倒臭い‼」

「鈴音にそんなこと言われたら一樹泣いちゃうよ。」


大矢さんがクスクス笑っている。

大矢さんは人が嫌がる事を的確についてくるから厄介だ。


「で?鈴音の彼氏君かな?」

「違うから‼」

「それは残念。鈴音の彼氏ならいっぱい苛めてやるんだけどね。」

「大矢さん!私は大矢さんの奥さんに意地悪しなかったんだから私が彼氏出来ても苛めないでよ。」


私はチビチビと酒を飲みながら言った。


「鈴音、言ってなかったけど………別れたから。」

「は?………大矢さん………えっと………」

「×3になっちゃった。」


ニコッと笑う大矢さんに私はため息をついた。


「だから、ちゃんと好きになってから結婚しなって言ったのに。」

「鈴音より愛せる人がいなくてね。」


大矢さんはシスコンだ。

私と瑠璃ちゃんを本当に大事に思ってくれているみたいで、イベント事などは私達を優先してしまうのがたまにキズだ。


「誕生日何欲しい?」

「何も要らないから。めでたくないし………」

「じゃあ、クリスマスプレゼントは?」

「だから要らない。」

「じゃあ、いつも通り勝手に選ぶよ。」


私の誕生日はクリスマスイブなんだ。

サンタの鈴の音で鈴音なんて安易な名前だ。

今年で28歳彼氏なしなんてめでたいわけがない。


「貴方は、松本先輩とどんな関係なんですか?」

「………どんなって………親密な関係?」

「大矢さん、もう少しましな説明はないの?」

「兄弟でもなければ親戚って訳でもないし………恋人はやっぱり違うし…」

「兄弟で良いと思うけど?」

「鈴音が僕の妹?なら一樹か葉月と結婚しなよ。」

「じゃあ、兄弟じゃない。」

「だろうね。」


私は紺野君に苦笑いをつくって見せた。


「まあ、仲の良い知り合いだよ。」

「そうなんですか………」

「鈴音のだったらスリーサイズから薬指のサイズまで知ってるよ。」

「何で知ってるの!?」

「企業秘密!」

「スリーサイズは私の企業秘密だろ!何故知ってるの!」


大矢さんはニコニコ笑っただけだった。

なんなんだよ‼

私はぐったりした。

その時、私のスマホが着信を知らせた。


「もしもし?」

『鈴ちゃん?家帰った?』


時計を見れば結構な時間になっていた。


「い、いや、まだ。」

『終電まにあうの?』

「間に合うかな?………」

『お兄ちゃんに迎えに行ってもらう‼』

「いやいやいや‼それは駄目だよ‼」


私が慌てるのを見て私のスマホを大矢さんが奪った。


「萌恵ちゃん?大矢だよ!鈴音は家に泊めるから心配しないで良いよ!」

「「え?」」


何故か紺野君とハモった。


「萌恵ちゃんは僕が信じられない?大丈夫だよ。なんなら、無防備に眠る鈴音の写メ撮って送ってあげるよ。」

「何の契約してんの?」

「萌恵ちゃんが家に泊まって良いって!」

「写メ嫌だ!」

「解った解った‼気が付かないように撮るから大丈夫。」


それ、大丈夫じゃない。

私はもうあきらめた。

大矢さんに勝てる気がしない。

だから来たくなかったのだ!

私は色々諦めて一気に残りの酒を飲み干したのだった。


大矢さんは他の作品にも出ています。

ちょい役です。


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