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びっくり

寒いです。

目が覚めると見たことのない天井が見えてきた。

右に寝返りをすると萌恵の顔があった。

ああ、そうだ、萌恵の家に泊まったんだった。

寝ぼけ眼で起き上がろうとしたら何故か起き上がる事が出来ない。

しかも、背後に何故か気配を感じる。

………良く良く見ればここは萌恵の部屋じゃない。

何でだ?


「………鈴ちゃん起きた?」


無駄に良い声が背後からする。

そ、そうだ、昨日の夜若社長が御風呂に入ると言って居なくなって直ぐに萌恵とイタズラしようって話になって………

寝ようと思って私達がいたらきっと驚くに違いないって事になって………

若社長のベッドに入って待ってたら、滅茶苦茶気持ち良くて数分もしないで眠ってしまったのだ。

背後の人物は私をギュッと抱き寄せた。


「うにゃっ。」


へ、変な声出た‼

背後の人物がクスクス笑っている。


「お早う。」

「は、離して………」


後ろの人物はゆっくりと離れてくれた。

私は急いで起き上がった。

後ろに居た人物の顔を見て私は震え上がった。

勿論若社長だ。


「お早う鈴ちゃん。」

「お、お早うございます。」

「いや~びっくりしたよ‼ベッドに二人が寝てて………良かったよ俺のベッドがキングサイズで。」


いや、起こそうと思わなかったのか?

選択肢は沢山あっただろ?


「鈴ちゃんのルームウェアーの触り心地が良すぎてぐっすり寝てしまったよ。」


寝起きの若社長が色っぽいのは何故だ?

眼鏡をかけていないからか?


「お兄ちゃんセクハラで訴えるよ。」

「ああ、萌恵起きたか?お早う。」

「何で同じベッドで寝ちゃうの?」

「俺のベッドなのに理不尽な言い分だな。」


そりゃそうだ。


「あ、あの、優駿さん。ごめんなさい。勝手にベッドに潜り込んだりして。」

「………大丈夫だよ。なれてるから。」

「なれてる?」

「一緒に寝たのは初めてだけどね。」

「「?」」


私と萌恵は首を傾げた。

若社長はゆっくり起き上がりベッドサイドに置いてあった眼鏡をかけると言った。


「お腹すいたな。」

「珍しいね。お兄ちゃん何時も珈琲しか朝、口にしないよね?」

「何時もより寝れたからかな?お腹すいた。幸恵さん何か作ってくれるかな?」


若社長はのっそりベッドからおりた。

私と萌恵も後を追っておりた。

若社長は1つあくびをすると、キッチンに向かった。

キッチンには幸恵さんの字で正さんと散歩に行ってきます‼と書かれた紙と六枚切りの食パンが二斤置いてあった。


「焼くか。」


若社長はため息でもつきそうな感じに呟いた。


「優駿さんは座っててください。あ、勝手に冷蔵庫開けますよ。」


私はそう言って冷蔵庫を開けた。

卵も野菜もベーコンもある。


「萌恵ベースク半サラで!」


萌恵は焼きベーコン、半熟スクランブルエッグにサラダの注文である。


「何それ?」

「あーでも、鈴ちゃんのフレンチトーストも食べたい‼」

「フレンチ追加ね。」

「わ~い!」


私は茫然とする若社長に言った。


「おまかせでよろしいですか?」

「………お願いします。」


私は萌恵が言っていたメニューにオニオンスープを足して二人の前に出した。


「どうぞ、召し上がれ。」

「いただきます‼………おいしー!さすが鈴ちゃん‼」

「………いただきます。………‼うま!」


良かった~。

私は自分用に作った分を食べ始め、何時もの味に安心した。


「鈴ちゃんは良いお嫁さんになるね。」

「萌恵、鈴ちゃんがお嫁に欲しい‼」

「俺も~‼」

「駄目~‼」


萌恵と若社長は本当の兄妹みたいだ。

私はクスクスと笑ってしまった。


「鈴ちゃんのお陰で滅茶苦茶旨い朝飯が食えたから何かお礼がしたいな。」


若社長は、少し考えると立ち上がって自分の部屋の方に消えていった。

暫くして、若社長は真っ黒な20㎝ほどの長方形の箱を持って帰ってきた。


「貰い物で悪いんだけど、レア品らしいから鈴ちゃんにあげるよ。」


渡された箱を開けると、そこには色とりどりのマカロンが入っていた。


「"ロンド"のマカロン!」

「鈴ちゃん知ってるの?」

「ずっと食べたくて‼ネットで予約しようと思ったら3年待ちって書いてあって………嬉しい。」


私は若社長に笑顔を向けた。


「ありがとうございます‼」

「………こっちがお礼を言いたかったんだけどな………」


若社長は照れたように頭をかいていた。


「鈴ちゃん、今日どうする?買い物?映画?」


私が少し考えていると若社長が手をあげた。


「はい!俺も一緒に行く‼」

「えー。」

「俺には車が付いてくるけどどう?」


若社長は私に向かって笑顔を作った。


「採用!鈴ちゃん良いでしょ?」

「わ、優駿さんが良いなら………お願いします。」


私がそう言うと若社長はニコニコと笑った。





ハッキリ言って申し訳ない。

大量のショップバッグを若社長に持ってもらっている。

それと言うのも、今来ている場所がアウトレットモールセール期間中と言う買い物をせざるを得ない場所だからだ。


「あの、優駿さん、大丈夫ですか?」

「うん。大丈夫だよ。」

「優駿さんは何か見たいショップは無いんですか?」

「とくには無いかな?」


完璧に買い物に付き合わせるだけ、荷物持ちをさせるだけの人に………しかも、運転まで。


「今度優駿さんに何かお礼をしないと。」

「気にしない気にしない。ああ、焼き鳥屋さん何時行く?来週末なんかは?」


私は少し間をあけて言った。


「来週末は、後輩と飲みに行くと思うので。」


その言葉にいち早く反応したのは萌恵だった。


「後輩って爽やかイケメン君?」

「そう。昨日飲みに誘われてたんだけど断っちゃったから埋め合わせしないと‼」

「………ちゃんと終電前に帰るんだよ?」

「勿論。」

「………心配。」

「じゃあ、また終電メールしてよ!」

「うん!絶対する‼」


私は萌恵の優しさが嬉しかった。


「爽やかイケメン君?」

「鈴ちゃんの後輩なんだけど………胡散臭いの。」


私は首を傾げた。


「鈴ちゃんに気があるのか?なついてるだけなのか?体目当てじゃないのか?」

「ちょっと失礼!」

「鈴ちゃんナイスバディーじゃん!」

「ありがとう、でも失礼!」


萌恵は悪びれる事なく私の腕にしがみついた。


「鈴ちゃんの後輩は出来すぎてて胡散臭いの!」

「まあ、出来た子だけどね。」

「週末にしか飲みに誘わないのも、気に入らない。」

「次の日休みだから気兼ねなく飲めるってだけでしょ?」

「二人っきりなのに終電間際まで飲ませるのが気に入らないの!もっと警戒してね。」

「………はーい。」


萌恵は心配性だ。

だから助かって居ることもかなりある。

しかも可愛いから強く怒れない。


「俺も萌恵に賛成!」

「え?」

「絶対とは言えないが、男なんて下心だらけなんだ!鈴ちゃんは綺麗で可愛い‼用心するに越したことはない。」


若社長にも心配されている。

これは、言うことをきいておいた方が良さそうだ。


「終電逃しちゃったら俺に電話してくれれば迎えにいくからね。」

「え?いやいやいや、そんなこと…」

「頼めないなら、早く帰るんだよ?」

「あ、はい。」


若社長は私の言葉に安心したような笑顔を作った。

ああ、やっぱり若社長は格好いい。

私は無駄にドキドキしてしまったのだった。



窓を開けようとしたら網戸に鳥の爪らしきものが一本刺さっていた。

ホラーすぎてビビってます。

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