可愛い松本先輩 紺野目線
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この日、俺は憂鬱な時間を過ごしていた。
入社当時から片想いしている先輩を飲みに誘ったら有休で会社に来ないからと、断られた日だからだ。
勇気をだした。
松本先輩に告白しようと思っていた。
この日を選んだのは下心からだ。
翌日が休みならそのまま部屋に連れ込めるかもしれないと思ったからだ。
下心に気が付かれて断られたのだろうか?
断られた日から今まで悩んでいる。
そんな時、若社長のパソコンにメールが来た音が響く。
「………洋太?」
若社長の言葉に耳が反応した。
松本先輩が腕組んで出掛けると言っていた人物の名前だったからだ。
羨ましくて眉間にシワがよってしまった話を思い出してしまう。
「うぁ!鈴ちゃん綺麗可愛い。」
リンチャン?
それってもしかして、松本鈴音先輩の鈴の字からか?
妄想であって欲しいと思いながら社長に書類を渡すふりをしてパソコンを除くとそこには何時もでは想像も付かないぐらい可愛い格好をした松本先輩が男の腕にしがみついている写真が写し出されていた。
「あ、あの、綺麗な人ですね。」
思わず若社長に話しかけると若社長は苦笑いを浮かべて言った。
「妹の親友なんだ。」
「この腕は、彼氏ですか?」
「いや、彼女の幼馴染みで俺の妹の婚約者。」
「………婚約者なのに、違う女性と腕を組んで居るんですか?」
俺の松本先輩と腕を組んでいる男に殺意が浮かぶ。
「妹は………きっと怒るだろうな………鈴ちゃんに腕にしがみつかれてズルいって………可哀想な洋太。」
若社長の言っている意味が解らず首を傾げると若社長は呆れたように言った。
「妹は婚約者より鈴ちゃんの事が好きなんだ。」
「そ、そうなんですか。」
「ああ、妹には滅茶苦茶可愛い笑顔を向けるのに俺には目すら合わせてくれないんだよこの子。」
若社長は愚痴のようにそう言ったが顔は笑っていた。
まずい‼
若社長は松本先輩に惚れている‼
直感で解った。
「若社長は彼女の事が好きなんですね。」
「………………そうだな。眼中にもないみたいだし、妹は邪魔するし………味方は洋太ぐらいだけどな………」
妹が邪魔?
良く良く考えてみれば、俺が松本先輩と飲みに行って告白しようと思ったのは何度もある。
それを、ことごとく邪魔してきたのは松本先輩の親友だと言う女だった。
いい雰囲気になると決まって電話がかかってきて、それを切っ掛けに松本先輩は帰ってしまうのだ。
毎回慌てたように帰って行く松本先輩の背中を見送るんだ。
きっと若社長の妹がその女に違いない‼
それにしても若社長のパソコンの松本先輩が可愛過ぎる。
その画像をくれ!
それもだが、松本先輩がこの会社の社員だと若社長は知っているのか?
「俺もついていけばよかった。」
「仕事が山のようにあります。」
「だからここに居るんだ。」
若社長はパソコンにうつる松本先輩を見詰めて言った。
「彼女に会いたかったな。」
直感からいけば知らないように感じる。
彼女に会いたいなら仕事中に声をかければ良いのだから………
ずっと知らなければいい‼
松本先輩に早く告白しないと‼
若社長なんかが出てきたら勝てる気がしない‼
松本先輩に早く会いたい‼
俺はトイレに行くふりをしてトイレの個室にこもり松本先輩にメールを送った。
『お忙しいところすみません‼やっぱり今日会えませんか?少しだけでも良いんですが、駄目ですか?』
返信は思ったより早かった。
『ごめんね!親友の家に泊まる約束をしちゃったから会いに行けないの!今度埋め合わせするね‼』
と、泊まる?
若社長の家に?
その可愛い格好で?
あああああああ~。
俺はトイレの個室の中で頭を抱えたのだった。
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