第三話―目的地へは未だ付かず。by.ソウ
三人は獣の国、ビダスニャータを目的地として馬車をだした。……のは良かったのだが……
「………どうしてこうなった?」
「ここどこ?」
「いや知らないよ…」
三人は途中で森に入り込み、そのまま迷子になっていた。
森は少し薄暗いが空はそれなりに見える。そびえ立つ木々は高く太い。
「涼しいな……」
「とりあえず進むしかないか」
ミズは馬をゆっくり走らせ……なかった
「何かいる。」
「気配は1.2.3.……6か。」
「ソウ、火は使うなよ?」
「わかった。」
フユは馬車を降りて背負っていた野太刀を抜いた。
ミズは周りを警戒しながら弓を構えた。
「おら出てきやがれ。」
「………人間?」
「…は?」
木々の影から出てきたのは人間だった。
「いやーまさか迷い込んだ勇者とは!」
「勇者じゃねぇつぅの」
「いやいやサラス国に召喚されたなら勇者であろう!」
あれから三人は現れた人間の村に来て村長と話していた
「巻き込まれただけだっての」
「あの、村長さん。なぜ村人は木々に隠れいたのですか?」
「すまぬの、この村は今危機に陥っておる。」
「危機……ですか?」
「はい。この村の近くの洞窟に魔物が住み込んでしまい……村の娘を攫っていくのです……残っている娘はわしの娘位…」
「大変です村長!魔物が来ました!」
「なんじゃと!?」
村長から村の危機を聞いていたら人の青年が飛び込んできた。
「この世界は飛び込むのが好きなのかねぇ… 」
「この時間に魔物が…早すぎる」
村長がなげいているとフユは立ち上がり外にでようとしていた。
「お前さんどこにいくつもりじゃ?」
「長めの散歩」
それだけ言うとフユは村長の家をでた
「それじゃ俺達も」
「長めの散歩に」
「おぉ…ありがとう…… 」
三人は村の入口で魔物を待ち構えていた。
「あれはリザードマンか。数からして下っ端か」
「ギハハハハ!!サァボスヘノミツギモノヲヨコセー!」
「オンナハドコダー!!」
リザードマンの群れは村人を無視して走り続けていた。リザードマンにはねられた村人は気絶していた。
「剣に盾に鎧……ありきたりなリザードマンだなー」
「20はいるね」
「とりあえず風魔法で突風起こすね」
ソウの起こした突風でリザードマンは少し浮き上がり、走る足を止めた
「ここは通行止めだ。さっさと帰れ」
「ニンゲンダマダイタノカ」
「コロセコロセ!」
「ジャマモノハコロセー!」
リザードマンが武器を構えたのを引き金にフユは野太刀、ミズは弓を、ソウは杖を構えた
「1つ聞く。攫った女は無事なのか?」
「マダブジダナ!ボスハスベテノ女ヲトラエタラマトメテカワイガルトイッテイタ!」
「それだけ聞けて安心した。」
「サァシネー!」
リザードマンは一斉に飛びかかってきた
「らぁ!」
フユは飛びかかってきたリザードマンの一体に野太刀を振り下ろし、勢いを殺さずに回し蹴り、そして斬り上げた。
「一体目!」
「ふっ!」
ミズは走ってくるリザードマンに矢を連射した。
足に矢が刺さったリザードマンはうずくまり、他のリザードマンに踏まれていた。
「やっぱり多いな」
「吹き荒れる風よ、我が意思に従いて敵を吹き上げろ!サイクロンブロー!」
ソウの起こした小さめの竜巻に10体のリザードマンが巻き込まれた、空中に吹き飛ばされていた。
「フユ!頼んだ!」
「走ってギリギリだ!」
「風よ我らの、背中を押したまえ。ラフ!」
「移動速度上昇魔法か。おら!」
フユは鍔迫り合いしていたリザードマンを蹴り飛ばして野太刀をしまい、小太刀の二刀を逆手に持ち空中に吹き飛ばされたリザードマンめがけて飛び上がった
「喰らいやがれー!」
フユは空中を移動しながらリザードマンに連撃を叩き込んでいた
「……なんだ今の動き」
「はぁぁ!」
ミズは矢を四本つがえて放ち、矢はリザードマンを捉えていた。
「なんでできたんだ?」
「考えんのは後だ!後4体!」
ソウが吹き飛ばし、フユがそれを蹴り飛ばして木に叩きつけ、ミズが仕留める。それを4回繰り返して戦闘は終了した。
「村人が頑張ったみてぇだな爺さん」
「ありがとうございますぞ勇者よ」
「はぁ?俺はのんびり散歩しただけだぞ?途中で魔物に襲われたから応戦しただけだ」
「そうゆう事にしておきましょう」
「ちっ、ペースを崩される爺さんだ」
「それじゃオレはかわやに行ってきます」
「俺は日向ぼっこしてくる」
「風に当たってくるわ、いい風来てるし」
「これから宴ですぞ?」
「俺達が戻って来てからでお願いします」
「洞窟はここか……ソウ、大量の水流して水攻めしようぜ」
「人質いるから!人質溺れるから!」
「冗談だよ」
((絶対本気だった))
洞窟は大きく、壁に松明がかかっていて中は明るい
地面にはリザードマンと思わしき足跡が大量にある
「行こう」
三人は洞窟に入り、奥へと進んだ。
少し歩いた所で3本の別れ道が現れた。別れ道にはそれぞれドアがついている
「マスター左の扉に聞き耳」
「TRPGすんな」
「とりあえず何か聞こえないか確認しようよ」
三人はドアに耳を当てるが、中からは何も聞こえては来ない
「はいるか……」
フユはドアをゆっくり開けて中を見渡すとそこに敵は居らず、武器や道具が置いてあった。
「物置部屋か」
フユは安全を確認すると部屋に入った。
残りの二人も部屋に入り、部屋をあさり始めた
「鈍なナイフ……棍棒……ゴミしかねぇ…ん?革の鞭じゃん」
「目星〜目星〜レッツロール〜」
「本だ…ん?何か挟まってる……鍵?おーい鍵見つけたよー」
フユは鞭以外はゴミしか見つからず、ミズはTRPG気分で探り、矢を見つけた。ソウは謎の本と謎の鍵を見つけた
「次はどっちに行くよ?」
「俺は正面のがいいかな」
「オレは右側」
「とりあえず正面を調べるか」
正面の扉に耳を当てると中からは泣き声が聞こえてきた
「女性。数多数…村の娘達だな」
「よし行こう」
ソウが扉をゆっくり開けると牢屋に入れられた女性達と2体のリザードマンがいた
「アァーミハリモヒマダナ」
「コイツラヒトリクライオソッテモバレナイダロ」
「タシカニナ!ナラオレハコノムスメヲ」
「オレハコッチノムスメヲ」
2体が選んだのはどちらもそこまで成長していないような小学校高学年程度の女の子だった
「ロリコンかテメェらー!」
フユの仮面ライダー顔負けの飛び蹴りをリザードマンの片方に喰らわせた
「ダレダ!」
「誰だ?テメェらに名乗る名前はねぇ!俺は解体屋だ」
「解体屋ってなんですかフユさん」
「そのセリフアニメマンガ以外で初めて聞いたわ」
フユは二人の言葉を無視してもう片方のリザードマンに渾身のラリアットを決めた
「お前はプロレスラーか!」
「ラリアットが決まったーこれはリザードマン立ち上がれないかー?」
フユはラリアットを喰らったリザードマンの腰を掴み地面に頭から叩きつけた
「ライガーボムって……」
「フユさん……」
ライガーボムを喰らったリザードマンは白目を剥いて気絶していた
「アイボウ!ヨクモアイボウヲ!」
「俺解体屋……今テメェの後ろにいるの」
フユはリザードマンの背後に回り込みがっちり腰をホールドしてから後ろに仰け反った
「ジャーマン………」
「この部屋をプロレス技で制圧したよこいつ」
そして起き上がり二人の方を見たフユの顔は……とてもスッキリしていた
((めちゃくちゃスッキリしてるー!))
「おい起きろテメェ」
((鬼だ!))
フユは横に大量の石畳を用意してリザードマンを蹴り起こした
「グハッ!」
「よし起きたな?」
フユは起きたリザードマンの膝に石畳を2枚乗せた
「さて、質問だ。牢屋の鍵はどこだ?」
「シラナイ」
「1枚追加ー……本当に知らない?」
「シラナイ。ドコカニナクシタ」
「ふーん……」
フユは無言で石畳を同時に3枚追加した
「ソウ、あの鍵試してみて」
「はーい……開いたよ」
「鍵の管理位しっかりしやがれ!」
フユは牢屋が開いたのを確認したら鞭を取り出してリザードマンを叩いた
「見ては行けませんよーオレ達は何も見てないよー村までは一本道です。急いで脱出してください」
ソウとミズは今のフユを見せないように娘達を脱出させた
「さーて質問その二ー…ボス誰?」
「オシエルカヨ 」
フユはついに笑顔になり石畳を5枚追加した
「ギャァァァァ!」
「ボスは誰?」
「ドラゴンナイトサマダ」
「ドラゴンナイトねーどうも。」
フユはリザードマンから情報を取り出したら石畳で頭を殴り気絶させた
「よし行くか」
「「お、おう」」
「ここを開けてまっすぐ進めばボス部屋か」
「敵を出るかな?」
「出たら戦えばいいんじゃないの?」
三人は扉を開けて進み出した。しばらく歩くと正面に扉が見えた
「敵出ないね」
「村に襲わせたのが全部か?」
「少ないね」
「開けるぞ」
「蹴破るなよ?」
「………チッ」
「舌打ち!?」
フユが扉を開けようとするとソウに釘を刺されて舌打ちをした
ボスの部屋の前だというのに緊張感がない三人であった。
扉を開けるとそこにはリザードマンより一回り大きいのが一体…奥に座っていた
「テメェがボスか」
「ニンゲンカ、ナンノヨウダ?」
「お前を倒しに来た!」
「囚われてた娘は既に開放してある!」
そう言うとドラゴンナイトは高く笑い出した
「ナラキサマヲコロシテフタタビムラニユクトシヨウ」
「なら斬るしかねぇか」
ドラゴンナイトは立ち上がり、大剣を片手で扱っている
「さっさと終わらせんぞ」
「うん」
「おう」
「サァコイニンゲン!」
「はぁ!」
フユが野太刀で足に斬りかかるが、弾かれてしまった
「コイツ硬い……」
「水よ!我の意思にて降り注がん!エミューフォール!」
「すごい水圧」
ソウの魔法てドラゴンナイトの頭上から大量の水が落ちてきた。ドラゴンナイトは少し膝を曲げたがさほどダメージはない
「グッ……マダヨワイナサァコチラノバンダ!」
ドラゴンナイトは甲冑を着ているにも関わらず、素早く三人に接近した
「早い!……ガッ!」
「フユ!」
「燃え上がる炎よ我の意思に従い敵を焼払え!バーンピラー!」
ドラゴンナイトの一撃を喰らったフユにミズがかけより、ソウはバーンピラーを唱えた
「いってぇ」
「フユ大丈夫か?」
「なんとかガードはできた。こいつ本当に一面のボスか?」
「ソウの作戦、フユとオレは前衛と後衛で気を引いて、その間にソウが鎧を壊す。」
「わかった。」
フユは立ち上がると野太刀をしまい、小太刀を抜いた
ミズはドラゴンナイトの死角になる位置に移動した。
「シッ!」
フユは甲冑の隙間を縫うように三連撃を繰り出すが、隙間は薄く、一撃しか入らなかった
「燃え上がる炎よ我の意思に従い敵を焼払え!バーンピラー!」
フユが下がったと同時に火柱がドラゴンナイトを包み込んだ。
「グルル……コザカシイ…」
「ふっ」
背中を見せたドラゴンナイトに向かってミズが放った矢は甲冑の隙間には刺さらず、ただ弾かれた
「ムダダ!」
ドラゴンナイトがミズにむかって剣を振り上げた
「隙だらけだぜデカ物」
フユのソバットが脇腹にクリーンヒットし、バランスを崩し倒れた
「打撃は効くみたいだな……いってぇマジで硬いな 」
「水よ!我の意思にて降り注がん!エミューフォール」
そこにソウの魔法が、叩き込まれ、甲冑の腹部部分が音を出して砕けた
「ナンダト!?」
「熱したものの温度を急激に下げると鉄は脆くなるんだ!二人共!思いっきりやっちゃえ!」
「二爪十字!」
「そこ!」
フユの、斬撃で腹部に十字の傷がつき、ミズの放った矢は心臓部を捉えていた
「ニンゲン……ゴトキニ……」
ドラゴンナイトは倒れ、起き上がることは無かった
「いきなりハードだったね」
「ソウの機転のおかげだね」
「さっさと帰ろうぜ。もうクタクタだ」
「ところで二爪十字ってなに?」
「あ、オレも気になった」
「なんとなく。技名あったら面白そうだし」
「おーオレも考えるかな」
「俺は魔法あるからいいや」
三人は来た道を戻り、元きた村に戻ってきた
入口では村人全員が立っていた
「皆様ありがとうございます!捕らえられていた娘達が帰って来ました!」
「よかったな。親切な人が居たもんだな。いてて……」
「では親切な人に感謝して、宴にしましょう!」
そう言うと村人は広場の方にむかっていった
「ほら皆様も。貴方方はこの村の恩人です」
「ならちゃんと行くよフユ」
「俺だけかよ……」
「逃げるのはフユぐらいだしね」
三人は宴に参加した。三人は娘達に囲まれ、フユの元には年下の娘が集まり、お兄ちゃんと呼ばれ、疲れていたのはちょっとした秘密