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雷の英雄と半翼の戦天使  作者: アッキ@瓶の蓋。


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雷の少年と船上での戦闘

「なぁ、兄ちゃん。そんな別嬪(べっぴん)さんを連れてどうする気だよ、ギャハハハ!」

「ちょっと可愛そうな俺らに分けてくれよ、おい! なっ!」


 と、後ろからそんな下品な言葉と歪んだ黒い笑みで話しかけてくる奴らが現れる。そいつらは所々に刃こぼれを起こしている剣を持った薄汚れた格好の奴らである。片方はキツネのような顔の意地汚い奴で、もう片方はオオカミのような獰猛そうな奴。どう見ても、真っ当に働いている奴らだとは思えない。正義か悪かで言われれば、どう考えても悪に分類される奴らだろう。

 下卑た目でこちらを見ているそいつらをどう料理するかを、僕はニーナと共に目線で会話をする。


(どうする、ニーナ?)

(私の魔術ならば一瞬で倒せるでしょうが、その代わりにそこに居るエリナに見られますよ?)

(それが難しいよなぁ……。エリナがどう反応しても困るし)


 このくらいの油断しきった、特に強そうでもなさそうな相手ならばニーナの氷属性の魔法で楽に倒せる。けれども、その氷属性を見てエリナがその氷属性について興味を持たれると厄介な事になる。最悪の場合、水属性の攻撃方法の一種だと言えば……。いや、それもそれで話すのが面倒だな。


「ちょっと! その下卑た顔でこっちを見ないでくれない!? こっちの品位が下がるじゃない!」

「な、なんだとこの(アマ)! ちょっと可愛いからって調子に乗んなよな!」

「下手に出てたら付け上がりやがって!」

「私、言いたい事は言うの! あんたらはそれだけ下卑た奴らだと言う事よ!」

「「てめぇ――――――!」」


 そうニーナと視線で会話をしていると、エリナが下卑た奴らに喧嘩を売っていた。そしてキツネのような奴は手に雷を作り出していて、オオカミのような奴は水を作り出している。


(氷は無理そうです。下手をして、エリナに当てないようにする方が難しいです)

(じゃあ、剣にて制圧方向で。俺はオオカミ面の奴をやる)

(了解です)


 僕とニーナはそれぞれの魔力を剣に纏わせる。そして僕はオオカミ、そしてニーナはキツネに対して相手に気付かれないように狙いを定めていた。僕がオオカミのような奴を選んだ理由はただ1つ、そっちの方が倒しやすいからである。


 僕は雷を使い、恐らくだけれどもキツネも雷を使うのだろう。普通、魔法と言うのは余程の事がない限りは得意属性しか使えない。もし得意属性以外も普通に威力は弱くても使えるんだったら、僕とニーナは苦労していない。歴史に置いても産まれた時から得意属性が2つ以上ある者など、伝説上にしか居ないのだから。そして得意属性と言うのは、その人間の耐性が何かと言う事に直結している。あのキツネのような男は雷を使っていて、その雷に対してある程度の耐性があると思われる。そんな相手に僕のちっぽけな雷をぶつけても、あまりダメージになるとは思えない。それ故に、雷を使っているキツネのような奴をニーナにお願いしているのである。

 水の魔法を使うオオカミのような男ならば僕くらいの雷で意識をこちらに逸らす事も出来るだろうし、ニーナだって剣に氷の魔力を気付かれないように纏わせるくらいならば出来るらしいからそれでキツネも倒せるだろう。


(行くぞ、ニーナ)

(分かっていますよ)


 と、僕とニーナは視線でお互いに睨み合い、キツネとオオカミの隙を、チャンスを待つ。もう少ししたら多分、普通にチャンスは来ると思うから。


「もう怒ったわ! 私も魔法を使わせて貰うわ!」


 そう言って、ニーナは自分の手に魔力を溜めて行く。そしてその魔力が炎の球を作って行く。そしてニーナは作った炎の球を、キツネのような男とオオカミのような男へと放たれた。放たれたその炎の球は、キツネのような男とオオカミのような男はそれを避けるために後ろへと跳ぶ。キツネとオオカミは避けようと背後へ跳ぼうとした際に、魔法の塊を消していた。

 身体を激しく動かしながら魔法を使うのはかなり難しい。魔法とは集中であり、単純な魔法なら身体を動かしながらでも使えるだろう。けれども彼らは動揺していて、後ろに跳んだ際に魔法の集中力が切れただったと言う事だろう。


「よしっ!」

「今です!」


 僕とニーナは魔力を纏わせた各々の剣で、ぶった斬る。僕の雷の魔力を纏わせた剣でオオカは吹き飛び、キツネはニーナの剣によって吹き飛ばされて海に落とされていた。容赦ない……。


「まぁ、何はともあれこれで万事OKって所か、ニーナ?」

「そうでしょうね」


 ニーナはちょっとやりすぎだとは思うけれども、まぁ、上手く行って良かった。僕とニーナは上手く行った事でハイタッチをしてお互いに喜び合っていた。


「今……何したの?」


 と、そんな僕達を見てエリナが驚いたような表情でこちらを見ていた。いや、何をしたと言われても……。


「普通に相手の隙を見て、その隙を狙って攻撃しただけだが……」

「そうじゃなくて……! さっきの剣は……何か光ってたような……。あれが何なのか、気になって……。恐らく魔力の活用法の一種だとは思うんだけど……」


 「どんな事をやったのか、分からないの」とエリナは興味深そうにこちらを見て来る。


「大した技術ではないよ。なぁ、ニーナ」

「えぇ、まぁ。大した技術ではありませんです」


 とは言っても、教える気はない。冒険者にとってお互いの手札と言うのは出来る限り温存して置きたいから。


「そう。まぁ、私としても教えてくれない事に関してはこれ以上、深く聞くつもりはないわ。私にそんな権限はないし、教えるのは自己判断だから。

 ――――――ただし!」


 そう言って、ビシッと僕達に対して指を指して睨むエリナ。


「――――――私をあいつらの囮に使った事は、後で何か礼をさせるんだから!」

「「いやいや……」」


 あなたが厄介な方向へとシフトさせたから、それを利用させて貰っただけなのだが……。

 ともかく僕とニーナはこの時、理解した。


 エリナは我儘(わがまま)であると。


 それからの船旅は、あまり思い出したくはない。自室に戻る以外、ずっとエリナの小言、と言うか愚痴を聞かされまくったのだから。おかげでさして知りたくもないエリナの事情を詳しく知る羽目になった。


 エリナ・モンタギューは古くから続く貴族の1つであるモンタギュー家の娘であるが、昔から家であるモンタギュー家の事は好きではなかったらしい。僕の住んでいたフローリエのような地方だと治める領主と村人が助け合いながら仲良くしているのが普通だったりするのだけれども、他だと貴族同士の格差があって酷いらしい。

 貴族は大体、王から土地を預かっているのだが、昔より王家から土地を預かっている貴族や平民から成り上がった貴族の間で格差があるらしい。モンタギュー家は昔より王家から土地を貰った貴族であり、なおかつ平民からの成り上がり貴族など平民に対して風当たりが強いらしい。そんなモンタギュー家の平民虐めを受け入れられなかったエリナは、父から剣の指南役として押し付けられた老兵から剣術だけでなく生き方を学んだみたいである。そして老兵から学んだ彼女は、冒険者に強いあこがれを持ったらしい。そして父親に頼んで冒険者になる事を取り付けたらしい。モンタギュー家には彼女以外にも子供が大勢居たみたいで、父親の評価としてはエリナはあまり高くはないらしくて普通にOKだったらしい。そして今に至るのだそうだ。


「……私だってね~! お父様に対して特に何も思ってもないんだけどね~。何も聞かずに、『うん! 良いよ!』って軽い気持ちで、家から出されても……」


 と、酔えるはずもないジュースで場酔いしているエリナを放っておいて、僕達は自室へと帰った。


「……疲れた」

「……疲れましたね」


 自室にて、僕達はエリナの愚痴で受けてしまった精神的ダメージを回復させるためにベットに倒れ込むのであった。

 プロットとしてある程度の内容は決まっていますが、1日1話でやっていると今日のようにぎりぎりになってしまいますので、これ以降は出来次第投稿する予定です。……何かこうして欲しいと言うアイデアがありましたら、出来る限りやるつもりなのでご意見をいただけると嬉しいです。

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