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雷の英雄と半翼の戦天使  作者: アッキ@瓶の蓋。


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閑話 ロイファー

 私、ロイファーはシュプリンガーに会ってしまったので、かなり悩んでいた。この港フエーハンにて誰も居ないような場所に船で行こうと思っているのだが、まさか知り合いに会ってしまうとは……。


「会いたいと思っていた時ニ、会えるなんて思っても見なかったワ。丁度あなたニ、ロイファーを探死ていたから嬉死い限りでス」


 いつものような、どこか怪しげなズレた口調でシュプリンガーは私に話かけていた。赤黒いドレスの上に黒いマントを羽織ったかのような格好、月夜に照り輝く銀色の長い髪の頭の上には銅で出来たティアラが載せられている少女。その少女は背中には折り畳み式のテントを背負っていて、悠然と歩いているだけなのにどこか死の匂いが感じられる不思議な少女の格好と言ういつも通りの彼女の格好で。


(……嫌だなぁー。あんまり会いたくないんだけど)


 シュプリンガーと私は年に数回会った事があるし、それに会話もした事があるくらい顔見知りだが、シュプリンガーと私の相性はあまり良くはない。相性と言うのは人間と言う意味での相性である。私が色々と金を稼いでいる時に、丁度良い時に現れてしまっていて邪魔されてしまって本当に迷惑である。私はこいつが嫌いなのだけれども、どうもシュプリンガーは私の事を気に入っていて、『血』と言う魔法属性を教えてくれたし。今回だって船に乗って、どこかに逃げるはずだったのにまさか会ってしまうとは付いていない。


「まさか会えるなんて嬉死いワ。血ょっとばかリ、会いたかったから都合が良いネ」


 あっちはどうも私に会いたかったみたいだけれども、私は会いたくなかった。この辺りが相性が悪い一因でもある。会いたくなかった時に会うなんて本当に間が悪い。


「それでー、なんで私なんかを探していたのかなー。私はただの盗賊かぶれだよー。もう少し前に、盗賊は辞めてしまったけどね」

「盗賊ですカ。この前に会った時はその盗賊を死ていたはずですガ、また(・・)変えたんですカ。やっている職業ヲ」

「職業を変えている訳ではないんだよー。職業の方から変えたがっているからー、変えているんですよー。なにせ、変えないと捕まったりして色々と大変なんだよー。私って、色々と危ない橋を渡ってしまっているんですよー」

「血なみに他ニ、例えば私の護衛とかの職業に変えるとかは無いノ?」

「無いよねー。私はそんな事をする気はないよー。アハハー」


 と私はアハハと笑って、シュプリンガーはそれをイラついた目で見ていた。


「あなたのその力さえあれバ、私と共に制覇する事だって出来るはずなのニ!」

「買いかぶり過ぎでーす。そんなの、ありえねぇし、第一制覇とか古い、古い。世の中、金でしょ、金。シュプリンガーは今回、私が偶然盗賊をしていた所にレッドベアーを2体もくれて面倒臭かったですよー。操るの大変でしたしー、なにせ最後の方は私と頭しか操れなくなって暴走するかどうかの瀬戸際で……」

「そんなはずないワ! あなたの力はそんな所で終わるようナ、実力じゃなイ! だからここで捕まえテ、あんたの本当の実力を出させて見せル!」


 買いかぶり過ぎですよーと謙遜する最中、私はどうやってシュプリンガーからどうやって逃げようかを考えていた。そもそも私はこの知り合いと再会したくてフエーハンに来たのではなく、どこか別の新天地で金を稼ぎたくてどこかの船に密航するつもりで来たのだ。こうして話していると、目立って密航しにくい。それにこいつはどうも私が実力を隠していると、本当はもっと強い奴だと勘違いしているみたいなのだ。そんな奴に捕まったら最後、彼女が求め続ける限り永遠に奴隷のように使われるだろう。それだけは避けたい。


(全く持って嫌な女だ。相性が最悪なのは昔からだけど、前言撤回。これは相性以前の問題だ)


 さて、どう逃げ出そう。私はそれを一生懸命考えていた。


 私の使う『雲』には色々な特性がある。

 相手の力を吸収する特性。相手の体内に入り込む特性。そして……『雲』らしい特性。


(あれを使うのは一回限りだ。あれ(・・)を知られると、ただでさえ私なんかに夢中なあの女がさらに良い所を見つけたと勘違いされる)


 それにあれは出来るならば使いたくない。あれは後味が悪いから、あまり使いたくはないのだ。


「さァ、ロイファー! いつも逃げられているけれども今日は私の『血』の属性を使っテ、絶対に捕まえてみせル!」


 ……けれども、どうにも逃げられそうにない。


 どうもこのシュプリンガーは、私と同じように常人には使えない属性、『血』を使う。自身の血を意のままに自由自在に変形させて操る、攻撃力も高い属性だ。相手にするのも面倒である。


(やっぱり使わないと面倒だねー)


 私はそう思いつつ、戦闘を受ける事にした。勿論、こっちが有利になるように話をつけて。


「じゃあ、シュプリンガー。やらせていただいても良いけれどもー、ちょっとばっかし話をさせていただきますよー」


 と、私はにやにやと笑っていた。

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