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小川 美奈 【オモイ】

魔法のiらんどにて掲載中の物語をリメイクして掲載しています。

『美奈ちゃん。朝食ですよー。』



『葉山さん。おはようございます。』



『今日は顔色良さそうね。』



『うん。薬かえてもらったから。』



『そっか。さ、じゃあご飯食べて、薬飲みましょう!!』



私は小川 美奈 17歳。


慢性骨髄白血病と診断されてから3年後、急性転化し、入院中。


髪の毛もほとんどなく、立ち上がるのもしんどい。


お母さんがいつもいつも廊下で泣いている。


分かっている。自分がとても重い病気だって。


だから・・・


信じていたわけじゃないけど・・・


私は願った・・・




つきあたりの角にある部屋に向かう。ナースステーションはかがんで・・・


あの部屋には確か、ホワイトボードがあった・・・



『はぁ・・・ふぅ・・・』



しんどい・・・


ようやく着いた。


よし・・・


ホワイトボードに魔方陣を書いて・・・


ノックを4回



コン


コン


コン


コン



よし・・・

呪文を唱えるんだっけ・・・



メナム メナム エナカエナ



・・・



何も・・・


来ないか・・・



フフ・・・



『何してんだか・・・』




あ・・・やばい


めまいが・・・


・・・


・・・



『ん・・・』



あれ・・・私は・・・?


病室に・・・戻っている・・・


夢・・・だった?



【夢ではございません】



え・・・?


何?


黒ずくめの少年が・・・


いる・・・?



【小川 美奈様・・・モノウリヤのセイムと申します。】



『せ・・・いむ・・・?』



【小川様、ネガイをお伝えください。】



・・・


この人・・・すごく綺麗な顔だけど・・・


表情が全くないな・・・


それに・・・声も頭の中で響くような感じ



『どんな・・・願いでも・・・叶えてくれるの?』



【・・・あなたの魂とひきかえにできるネガイであれば・・・】



『・・・走りたい・・・』



窓から見える高校のグラウンド。


いつも楽しそうに走っている男の人がいる。


本当に楽しそう・・・

私は・・・3年前から運動はできていない。



【・・・病気を・・・完治させたいと・・・?】



『ううん。違うの・・・窓から見えるあの男の子と、仲良くなりたい。1回でいいから・・・近くでお話してみたい。』



17歳の女がこんな小学生みたいなこと恥ずかしいけど・・・



【・・・小川様の魂では・・・そのネガイは叶えられません。】



『・・・え?』



【小川様の魂は・・・そのネガイを叶えるほど永くございません。】



そっか・・・


まぁ・・・分かってたけどね・・・



『じゃぁ・・・叶えられないってことか。』



【一つ・・・小川様の魂で叶えられる方法がございます。】



『・・・え?』



『どうするの?』



少年は私の前に鈴のブレスレットを差し出した。



【この鈴を腕につけ、一撫でしてください。そうすると、あなたは猫になることができます。】



『猫・・・?』



【小川様の想い人は猫が大変好きでございます。】



『猫になっても・・・お話できないじゃない・・・』



【この方法以外では想い人とは仲良くなる方法はございません。】



『・・・わかった・・・』



【かしこまりました。猫になれるのは1日1回。期限は3日でございます。戻る際は鈴を再度一撫してください。】



少年は私に近づいてきて、唇をそっと撫でた。



【お買い上げありがとうございました。】



・・・・・・・

・・・・・

・・・


ん・・・



目を開くと誰もいない病室・・・


なんだ・・・やっぱり夢か・・・


窓に目をやるといつもの子が楽しそうに走っている。


少し窓を開けようと手を伸ばした瞬間・・・



チリン・・・



左腕には・・・鈴のブレスレットが揺れていた。


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