つっこみの毎日
むかし、むかし、あるところに、
「ねぇ、先生、むかしっていつ?江戸前時代?」
「それを言うなら、江戸時代でしょ。」
私は保育士をしている。こどもたちの笑顔が好きだから、この職業を選んだ。
だが、このとおり、毎日つっこみしている。
そりゃあ、こどもだからしょうがないだろうと思う人もいるだろう。
しかし、私はこの頃、自分は保育士をしているのではなく、つっこみ修行をやらされている様にも感じてしまう。
まぁ、まだ私は新米の保育士なので、長年保育士をやっている方は「そんなの、すぐに慣れるわよ。」と言われたのでその時はそういうものなのかと思っていた。
そんなことを思って、はぁーと深いため息をついていた時、
「せんせ、先生。」と呼ばれているのに気がついた。
「どうしたの?」
「みんなー、犯人の乙姫が見つかったよ。」
「えっ、犯人って?」
「浦島太郎を誘拐した現行犯で、逮捕する!」
「君、手錠をかけなさい。」
「ラジャー!」
「がちゃり。」
どうやら、こどもたちは今日、絵本で読んだ「浦島太郎」を新しいごっこして遊んでいるのだろうと私は予想した。
こどもたちに連れられていくと、
「水戸黄門様、犯人の乙姫です。」
「でかした。お前、この紋所が目に入らぬかー!!」
私は一応、こどもたちにノリを合わせなければと思い、
「ははー。」と言った。
でも、浦島太郎でなんで水戸黄門が出てくるんだと思い、どうしても、笑いがこらえきれずに
「ひっひひ、わー、はっはー。」とこどもたちの前で爆笑してしまった。
「お前、犯人のくせに何を笑っている。」
まだ、ごっこは続いてたようだ。
私はこの職業はこどもたちの笑顔を見るのではなく、こどもたちに笑顔にしてもらう。という職業ではないのだろうかと思った今日一日だった。