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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
What is this?
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挿話『ギルドカード(2)』

閑話、番外、ときて挿話・・・新しいのを考えておいたほうがいいかも・・・。

僕こと俺こと私こと自分、一一二三は城下町のギルドにやって来た。もちろん、ギルドカードを作るためである。これで今の戸籍もなく口約束で姫様と契約しているだけに過ぎないフワフワとした環境からもおさらばできる。


「なかなか大きいな」


こんな在り来りな感想しか出てこない自分にがっかりする。別にそれでどうすることもないけれど。それよりも気にかかる事が一つ、以前ここで『最恐』君がギルドカード作った際、職員にステータスについて騒がれそのせいで乱闘騒ぎになったことだ。その職員が居ないことを願おう。割と、真剣に。







「ギルドカードを作りたいんですが・・・あ、これ紹介状です」

「あ、はい・・・うけた・・・!?承りました。またお呼びいたしますので、少々お待ちください」

「わかりました」


よかった。一瞬ドキっとした。寸での所で飲み込んだようだ。まぁ、そりゃ吃驚するわなぁ、王族直属の紹介状だもんなぁ。今朝のことを思い出しながら溜息を吐いた。






あ、回想入ると思った?別に入らんよ。入っても仕方ないからね。今のメインは別に自分じゃないし、そういう遣り取りは今まで散々してきたからね。要は、今朝また姫様と遊んでいたら姫さまが突然、ギルドカード作ってこいって言っただけ。前からあれば便利だと思ってたからね。気になってたし、面白そうだからちょうどいいかって。ただそれだけの話だよ。


「ヒフミさーん、ヒフミ・ニノシタさーん」

「はいー」

「では、こちらの水晶に手を置いて下さい」

「はい」

「・・・はい、いいですよ。お作りするまでに時間が一時間程かかりますが、どうされますか?こちらで待つか、完成をお知らせする通信結晶をお貸しして連絡させていただきますが」

「じゃあ、通信結晶を貸してください」

「かしこまりました。こちらが通信結晶になります。なお紛失または破損された場合は弁償して頂きますのでご了承ください」

「はい」

「ご利用ありがとうございました」







さて、一時間か・・・思わず通信結晶なる物を借りてしまったが。これを壊さないでいる自信がない。いや別に、破壊衝動とかあるわけじゃない。でも、そう、ほら、あれだよ。さっきしっかり自分で立てたフラグ。アレが発動しちゃいそうな気がするんだよ。というか、しちゃうね。


「さっきから君は何をブツブツ言っているんだい?」

「ん?いやさ、さっきギルドで通信結晶ってのを借りたのよ。どういう仕組みになってんのかなーって」

「ほう!ギルドに行ってきたのかね。君は冒険者志望かい?それとも商人志望かい?男だったらやっぱり冒険者かい?それなら、こっちのペンダントなんかいいよ、防御力を高めてくれるまじないがかかってるんだ。そうだ!君の彼女のプレゼントにしたっていいい!!」

「へー、凄いね。でもそれのろいとも読めるよね」

「う・・・」

「ダメだよおっちゃん。呪いの品なんか売っちゃ」

「けっ、買わないならあっち行った!!」

「あらら、その反応は・・・本当に呪いの品なのか。いいよおっちゃん、それ貰う」

「え・・・?」

「買うって言ったの、聞こえなかった?」

「あ、あぁ!銀貨三枚だ」

「呪いの品でそんなにボロうっての?銅貨七十枚」

「いや悪かった。銀貨二枚」

「銀貨一枚これ以上は無理だね。あとはそうか・・・この店は呪いの品を売ってると言いうふらすしかないね」

「・・・わかった。一枚でいい」

「ん、交渉成立だね」

「まいどあり」


怪しい露天商から買った呪いのペンダント。デザインはいいのに呪われてしまっているという残念な品物を見つめる。


「それ、何に使うんだ?」

「備えあれば憂いなし、というやつですよ」

「しかしそんなモノを備えたってどうにもならないだろう?」

「それもそうかもしれませんけどね。ま、念のためですよ」

「そんなものを使うなんてどうせロクな事じゃないんだろうよ」

「そりゃあ、使わないのが一番ですよ。こんなもの」

「ふん」


呪いが発動しないようにペンダントの飾り部分(そこに発動のトリガーがある)を触れないように呪いも防ぐ便利な布|(オタク神官作)で包む。それをポケットに入れたところで通信結晶がピーピーと音を上げた。ギルドカードが出来たのだろう。怪しい露天商の前を後にした。







「こちらが、ヒフミ様のギルドカードになります」

「・・・」

「使い方のご説明をいたしましょうか?」

「・・・」

「ヒフミ様?」

「・・・あ、あぁいえ。結構です」

「かしこまりました。今なら、そのギルドカードに連絡帳の機能と通話の機能をお付けすることが出来ますがいかがでしょうか?」

「・・・いえ、いりません」


何そのケータイ的な機能。元がそれっぽいのにそんな機能が付いたらますますスマートフォンじゃないか。それにしてもこれは・・・さすが『博士』としか言いざるを得ない。その個人の情報がリアルタイムで更新される端末とか、一体どうなってるんだ。あれか、ナノマシン技術でも使ってるのか。お、これはなかなかいい線いってそうだ。とすると、あの水晶に手を置いたときに、ナノマシンが注入されたのか?でも違和感はなかったしな・・・やっぱ違うのか?まぁそれは置いといて・・・見てみるか。自分のステータスとやらを。



名前 一一二三(仮)

種族 人間族(仮)

職業 探偵助手 学生 医者(仮) 弁護士(仮) 教師(仮) 神父(仮) 坊主(仮) 詐欺師(仮) 会社員(仮) 店員(仮) コーディネーター(仮)  オペレーター(仮) マーチャンダイザー(仮) スーパーバイザー(仮) 調理師(仮) エステティシャン 理容師(仮) 美容師(仮) アロマセラピスト(仮) ネイルアーティスト(仮) カウンセラー(仮) インストラクター(仮) 看護師(仮) 雀士(仮) メディアプランナー(仮) コピーライター(仮) デザイナー(仮) ディレクター(仮) 記者(仮) プログラマー(仮) インテリアコーディネーター(仮) 脚本家(仮) コンサルタント(仮) 研究員(仮) 税理士(仮) 技師(仮) 警察官(仮) 消防士(仮)

所属 管理局 私立五百旗頭高校3‐A

称号 『近づきし者』【仮面遣い】


レベル 32

HP782/(3847)

MP87/(132)

力  (46)

魔力 (52)

体力 (63)

知力 (89)

器用 (128)

敏捷 (32)

運  -175(+52)

学力 (320)

※()内はスキルによって変動


スキル 【仮面】『五十ノン%の真実リアリティ』『大法螺吹きオーバーエフェクト



ほー、自分の力ってこんな感じに表現されるのか・・・。なんかあやふやだな。括弧だらけだ。まあそれもそうか、自分の本当の部分なんてもの程分からないものはないもんだ。これでいい。うん、自分らしくていいじゃないか。







「おい」

「うん?」


来たか。来ちゃったか。復讐者アベンジャーくんが。


「お前あの黒髪と知り合いか?」


あの黒髪?


「どの黒髪ですか?」


まぁ、予想は・・・というか知ってるんだけども。


「あいつの事だよっ!!俺を!吹っ飛ばした!!あの忌々しい『黒衣の拳士』の事だよ!!!あぁぁああああっ糞!!能無しのクセに!!魔力がないくせに!!俺を!この俺様を!!ぶちのめしたあのクソ野郎のことだ!!!!」


えぇ~何この人。ギルドから出たら待ってましたとばかりに声を掛けてきてなんか一人で盛り上がってるんですけど・・・。手下っぽい、というか三下っぽい人たちも後ろにいるけど、流石にこれには引いているようだ。本当になんだこの人。来る来ると思ってたけどこんな濃いのが来るとは思ってなかった。どうしたらいいんだろう。


「えーと・・・知りません?」


なんか気圧されて疑問系になってしまった。これが普通の噛ませ犬的な人が相手だったらおちょくったりなんなりしながら適当にあしらうつもりだったが、この復讐者アベンジャーくんはやけに熱血・・・というかなんというか、とにかく濃い。濃すぎてボケることすらできない。無駄に笑いに命を懸けているとまで言われるこの自分がだ。


「あぁん!?知らないだとぉ?んな訳あるかぁ!!?その黒!その服!!ヤツが着てたのと同じモンじゃねぇか!!あぁ?それとも何か?偶然そうとでも言うのか?何!?偶然なのか!?それはすまねぇ事をした・・・ってンな訳あるかってんだ!!ヴォケが!!」

「お、おぉ・・・」


ブッ飛んでんなー。あぁ・・・手下の人たちも、やれやれって感じを醸し出している。なるほど、いつもそうなのか。いつもそうなのか?え、濃!!なにめっちゃ濃いですやんこの人!!濃度100%か!うん、あんま上手くなかった。醤油、味噌、ソース・・・うん、ソースがいいな。じゃあこの人のあだ名はソースでって別にどうでもいいか。


「おうおうおう!!聞いてんのかァ!?名も無き、あぁチゲぇ名前も知らなき黒くんよぉ!?まぁ、知る気もねぇが・・・な!!」

「ガフッ!!」


あぁ~・・・長!!前置長!!吹っ飛ばされながら、否、吹っ飛びながらそんなことを思う。


「へぶっ!!」


勢い良く回転しながら地面に激しく接吻、命名『トルネードキッス』をした自分に上から声をかけられる。


「オイオイオイ?オメェ本当にあいつの仲間か?弱ぇな・・・だが、俺ァそんなこたァ気にしねぇ性分なんでなぁ・・・まぁ取り敢えずおとなしくボコられろや」


そして、次の瞬間迫り来るのは巨大な足の裏。それを先の衝撃に(主に顔、特に口)痛む体を動かし、転がることで辛うじて回避する。


「ちっ、よけられたか・・・」


そのままゴロゴロと転がり勢いをつけて立ち上がる。


「・・・ふっ」


息つく暇もなく襲いかかってくるソースくんの右拳が自分の頬に――――


「なっ!?」


ヒットすることなくパシンという軽い音と共に受け止められる。もちろん、これは戦闘能力の無い自分がしたことではない。


「そこまでよ」


と声を発したのは、『ロボット』こと『サイボーグ』こと夕暮優子、ついこの間王都に来たばかりのとある人気飲食店の店員だった。







そこからはあっさりとしたものだった。夕暮さんの手から電流でも流れたのであろう、ビクンと一回痙攣してソースくんは気絶してしまった。それを自分が持っていたワイヤーで拘束。いつ目を覚ましても問題ないようになった。まぁ、ギルドの目の前での騒ぎだ。すぐに職員が出てきて、ソースくんは連行されてしまった。


「それにしても、派手に吹っ飛んでた割に怪我が少ないね。さすがというか、なんというか。やっぱりそれもカズくんの数あるスキルの内の一つだったりするわけ?」

「数あるって・・・いつも言ってるでしょう、僕はそんなに力がないって。だけどまぁ、これは珍しいことに僕自身のスキルですよ。そうですね・・・見た目を派手にするっていうだけの、あまり使えないスキルですけど」


「だけの」と言うのは正確には当てはまらないけど、概ねそれが『大法螺吹き』、あとはダメージを半減させるスキル『五十%の真実』も使っている。どちらも非常に使い勝手の悪い、どちらかというと・・・というかヤラレ役の人が重宝するスキルだ。まぁ、使いようによってはそれ以外の使い道もあるのだが。


「まぁ、なんにせよ。偶然・・私もついて来ててよかったね」

「うん、そうだね」


偶然、ここに来る前、露天商でペンダントを買うよりも前に彼女の働く店に行って、「せっかく王都に来て、クラスメイトに会えたんだから、現状報告がてら飯でも食おうぜ」と言って誘っておいて良かった。うんうん・・・うん?そんな描写していないじゃないかって?したさ。いや確かに、彼女の働く店にいった描写はしていないが、しっかり露天商のおっちゃんが「彼女」と言っていたじゃないか。うん、まぁちょっとこれはズルいかもしれない。押し付けがましいかもしれない。反省しよう。


「さて、どこで食べよっか?って言いたいところだけど、来たばっかであんま知らないのよね~。カズくんどっか美味しいとこ知ってる?」


そうだ。姫さまがみんなに一度会ってみたいって言ってたっけか。ついでにそれも済ましてしまおう。


「うん知ってるよ。案内するからついてきてよ」


ちょっと王城まで。






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