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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
What is this?
96/102

番外『そして閑話へ・・・』

遅くなりまして申し訳ございません。学校が忙しくてなかなか書くことが出来ませんでした。




さして問題もなく買い物を終えた俺は、某有名洋服メーカーの袋と大手スーパーの袋を両手に持ち帰路についた。行きとは比べ物にはならないほど平和な帰り道だった。スーパーで買ったガムを噛みながら玄関の戸を開ける。


「た~だ~い~ま~」


それにしても靴の数が多い、いや、もともとウチは靴が溢れかえるほど多いのだが、それでも多い、いちにぃさん・・・・・・普段見かけない靴(とそうでない物)が六足。見た目も大きさもバラバラなそれから分かることは一つ。あの人たちがウチに来ているという事だ。リビング兼ダイニングキッチンの扉を開けると、お父さんが居た。そして例の人たちも。


「・・・權か。お帰り、どこ行ってたんだ?」

「ちょっと買い物に。お茶、いれた方が良い?」

「そうだな、いれてくれ。・・・皆さん、お茶にしませんか?」


案の定、お父さんが客に提案をする。この人たちがウチに来るのは大体、困った時、もしくは遊びに来た時と決まっている。そしてお父さんと俺はその息抜きを提供するのだ。


「お父さんよ、出すお菓子無いん?」

「そこのカンカンに入っとらんか?」

「そこってどこよ?」

「そのコメの上の黄色い箱の横」

「おー、あったあった。高そうなクッキーやな。誰にもらったん?」

「お隣さん。旅行行って来はってんて」

「はー、なる」


普段は使わない綺麗な皿にクッキーを盛り付け、お盆に乗せる。カップに水を入れレンジで十数秒温める。そしてそのお湯でティーカップとティーポットを暖めておく、ティーカップの数は八つ、客とお父さんと俺の分だ。お湯が湧いたら茶葉をポットに入れお湯を注ぎ、三分ほど蒸らす。蒸らし終えたらたら、ポットの紅茶をかるくひとまぜ。カップに濃さが均一になるように紅茶を注ぐ。この際、最後の一滴まで注ぐのがポイントだ。


「これで良しと」











「はい。お茶入れましたよーっと」


口々にお礼を言ってくる客人たちにお茶を回し終えたら、自分も席に着き紅茶を一口含む、うん、悪くない。客人たちが紅茶を一口飲んだのを確認したお父さんが口を開く。


「そうだ、話を知らないウチの息子も来たことですし、いったん整理してみませんか?」

「それがいいな。まず、被害状況・・・もとい、失踪者の確認だ」


お父さんの言葉に答え声を上げたのが、かつて『レッドキャップ』と呼ばれていた老人だ。『レッドキャップ』は戦後間もないころこの街に移り住んだ米国軍人で、戦後という事もあって秩序の乱れやすかったこの街を、その肉体と軍隊仕込みの格闘術で護っていたという。今でも鍛錬を怠っておらず、老齢ながら背筋は定規を入れたようにまっすぐだ。今は一線を退き、この街の『正義』を纏める組織の長として働いている。



「失踪・・・ですか?・・・『悪』も『魔』も関係なく?」

「そうじゃ」

「えぇ、そうよぉ」


『悪』の親玉の親玉の親玉の親玉とでも言うべきであろう老人と一言話すたびに濃密な色香を撒き散らす『魔』の『女王』が俺の疑問に答える。


「コレがそのリストです。中には普段から失踪癖のある者もいますが、おおよそこれで間違いないでしょう」


『科学』の長で俺の中学の頃の同級生でもある『博士』の手によって大人数で食事をすることの多い巨大なダイニングテーブルにリストが映し出される。あれ?ウチのテーブルってこんな高性能だったっけ?いやいや、昼はこんなじゃなかったぞ。


「ヒロ、お前ウチのテーブルに何をした?」

「別にいいじゃん、ゴン。それより、今日からここが本部になるから」

「はぁ?なんの?」

「ん~?PLOJECT SAVE THE IORIBE 的な?」

「あ~、うん。ますます分からなくなった」

「要は五百旗頭が危ないから皆で守ろうぜって話をしてるんだよ、今。んで、ここが本拠地になるよって。そこにお前が帰ってきて、んじゃ初めから説明した方が早いなって」

「なる。んじゃ、続き頼む」

「オーケー。『最強』を始め複数の人物それも『力』の強い人物が失踪しました。後にこれは『最強』からの報告により俗に・・・いえ、一部の人間が知るところによる『異世界召喚』及び『異世界トリップ』と言う現象に巻き込まれた可能性が高い事が分かりました」

「なんだそれ、ゲームかよ」

「だったら良かったんだけどね。見つけるなら自分の手で見つけたかったのに。まぁそれはさて置き、報告をしてきた『最強』以外はその世界からの独自帰還は難しいでしょう。流石の『最強』も他人を連れての帰還は危険が伴うようです。帰還に関する問題は私が目下対策中であります。多分、タイムマシーン技術とワープ技術の応用でいけるはずかと・・・」


ヒロの話を聞き流しながらリストに目を通す。リストにはこの街のビッグネームがずらり、『最強』に『最恐』、『ヒーロー』、あぁこいつも居なくなってたのか、だからイセービ様があんなに暴れられてたのか。『冥探偵』の助手、『街一の美少女』・・・かなりいるな。これだけの人物が居なくなってたら、まぁ、対策本部が設けられるのもうなずける・・・わけねぇよ!!なんじゃこりゃ!?てか何でウチで!?


「落ち着け。ゴンよ」

「伊弉諾さん」


この街に住まう『神』のまとめ役である、伊弉諾さんが俺の心を読んだように慰めてくる。


「事はもっと重大なのだ。それこそこの街、いや世界に関わる程のな」

「そんな重大な話を何でウチでするんですか」

「何かと都合がいいからな」

「それは立地的な意味で・・・という訳じゃあないんですよね?」


俺と伊弉諾さんとの会話に『オカルト』の長であるババ様が割り込んでくる。今まで寝てたのに。


「そうだわな。何かとこの街はしがらみが多い、しかもそれが幾重にも重なり合っておる。それはこの街に定められた運命みたいなものよ。ただここはそれに当て嵌まらない。それもまた、古より定められた定めじゃよ」

「またそうやって婆ちゃんはよく分からない事を言う。もうちょっと分かり易く言って下さいよ」

「ほっほっほ」

「笑ってごまかされた!?」


『悪』と『正義』、『神』と『魔』、『科学』と『オカルト』、普通ならば決して集まる事の無い者達が一堂に会していた。それは言うなれば一つの奇跡。そして、危機を意味する物でもあった。





ちょっとずつ話が繋がっていってます。

番外~七篠編~はこれにて終了・・・というか閑話と合体、今度からの番外はまた学級新聞をしようと思っています。あ、過去話もいいな。

あと、感想ご指摘お待ちしていたりいなかったりします。あったら返事は絶対書きます。ではではでは。

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