第9話『さあ、ご飯です』
うう、外に出れなかった。
次回絶対外に出ます。
今回はいつもよりちょっと長いかも・・・
あの後、フェリシアさんとゼイスさんはなんかいろいろ話し合っていた。
割と僕のことは、ほったらかしに・・・
(暗くなってきたなーー)
(あ、ご飯どうするんだろ?)
(どんな、ご飯だろ?)
と、この世界の食卓事情に思いを馳せていると、
どうやら話が終わったようだ。
「あっ、こんなに暗くなってる!!」
「そうじゃのう・・・夕飯にするかのう」
「じゃあ、準備するわね」
(・・・手伝った方がいいかな?)
(ここに住む条件は、とりあえず言葉を覚えるまでだから・・・)
(そのうち、出ていかないといけないし・・・)
(どうにかして帰るにしても・・・)
(それまでは、この世界に住む訳だし・・・)
(うん!手伝おう!)
というわけで手伝うことにした。
「すいません、あの・・・何か、手伝うことはありますか?」
「ん?じゃあ・・・コレ切って」
「コレは?」
渡されたのは、表面は赤い葉っぱが覆っていて、
それを剥くと中の淡い緑色の葉っぱが
キャベツみたいに何重にも重なったものだった。
大きさは、僕の拳と同じくらいか、少し大きいくらい。
(・・・キャベツ?・・・でも葉っぱか赤くて、この大きさ・・・)
(・・・トマトみたい・・・でもトマトじゃないから・・・)
(・・・トマツ?・・・トャベツ?・・・キャマト?)
「トベツよ」
「はは・・・」
予想どうり過ぎて、思わず苦笑いが出てしまった。
気を取り直して、トベツを切ることにする。
不安に思っていたが、包丁はあるみたいだ。
サクッとトベツに包丁を入れる。
(ナイフとかだったらどうしようかと思ってたけど・・・)
(包丁あってよかった・・・切れ味良すぎるのが気になるけど・・・)
(音がザクッじゃなくてサクッだもん・・・)
(切れないよりはいいから、まぁいっか)
(あ、切ってとは言われたけど・・・)
(どう切ったらいいんだろう?)
「フェリシアさんトベツはどう切ったらいいんですか?」
「適当でいいわよ」
「分かりました」
サクサクトントン・・・とトベツを切ってゆく。
千切りにするつもりだ。
スープを温めているフェリシアさんが話しかけてくる。
「あなた、料理もできるのね」
「家でやってましたからね」
「家でやってたって・・・あなたホントに、女じゃないの?」
「女じゃないですよ・・・んー・・・この世界・・・
えーと、この国?・・・では、男が台所に立つ・・・厨房?・・・
食事を作るのって珍しいんですか?」
「ええ、一人暮らしや、旅人、冒険者、みたいなのは作ったりするけど
家族と一緒に暮らしている男は、ほとんど作らないわね、
家の家事は女、外の仕事は男がするって大体決まってるのよ」
「そうなんですか・・・男が偉くて、女は偉くないみたいなのがあるんですか?」
「無いわよ・・・表面上はね」
「表面上?」
「100年前勇者王サトーが差別を無くすと言って、
貴族の廃止や奴隷の解放その他色んな事をしたのよ、
その中に男女差別もあったってわけ、
でも、昔からの流れを変えるのは難しかったみたいね」
「そうなんですか・・・」
佐藤さんは、どうやら本当に勇者だったみたいだ。
さっきゼイスさんに聞きそびれたけれど、
佐藤さんについて、聞かなくてはいけないことがある。
そうこうしてるうちに夕飯の準備は終わった。
夕飯は、簡単でパン、スープ、トベツの千切りやほかの野菜も一緒になったサラダだ。
「では、食べるとするかのう」
「そうね」
「いただきます」
「ん?なに?カオル」
「なにって?」
「今のよ、「いただきます」ってやつ」
「えと、「いただきます」っていうのは、食前の挨拶みたいなもので、
食事を作ってくれた人、それと食材に対する感謝の言葉・・・
っていうことなんだけど、まあ最近は、言わなかったりする人が多いですね」
「ふ~ん、いい言葉ね、それじゃ私も、いただきます」
「ほっほっほ、思い出すの~、奴もいつもそうやって律儀に説明しておったわい」
とかなんとか雑談しながらご飯を食べる。
(お箸が無い・・・あるのは、ナイフとフォーク・・・お箸今度作ろう)
そう心に決める僕だった。
ご飯を食べ終わり、食後のお茶|(今度は緑茶みたいなの)を飲んでいる。
佐藤さんについて聞きたかったことについて聞く。
「ゼイスさん」
「なんじゃ?」
「サトーさんはどうやってこの世界に来たんですか?」
「召喚じゃよ」
「召喚?」
「そうじゃ、勇者召喚、105年前まだ、東の大陸と西の大陸が
戦争をしておった時に西の大陸の長である魔王を倒すために、
勇者召喚と言われる魔法によってよばれたのがサトーじゃ。
まあ、サトーは魔王を倒さずに戦争を終わらしてしまったがのう」
「そうだったんですか・・・では、魔法で元の世界・・・
僕の世界に帰ることはできませんか?」
「それはわからんのう」
「サトーも何度も帰ろうとして、色んな魔法を試しておったが、
こちらで守るべきものが沢山できて、そのうちに、もう帰ろうとはしなくなったんじゃ」
「そうですか・・・」
(本当に帰れないかもしれないなぁ)
「気を落とすな、まだ帰れないと決まったわけではないわい」
「え?!どういうことですか?」
「まず、魔法は無限にあるということ、
次に、サトーはどうも帰り方を見つけておったようじゃったということじゃ」
「本当ですか?!」
「ああ、サトーの研究資料があるんじゃが、それに書いているかもしれんしのう」
「その資料はどこに?!」
「王都にある国立図書館じゃ」
「王都にはどうやったら行けますか?!」
「まあ、そう慌てるな、ちゃんと王都に行かしてやるわい、
それに、どこに行くにしてもまず、ここの言葉を覚えるのが先じゃ」
「はぅ!そうでしたね・・・」
(<疎通>の魔法は、術者とそれを掛けられたものしか効果がない・・・か)
「さて・・・もう寝るとするかのう」
「そうね」
「そうですね・・・疲れました・・・あ、僕はどこで寝ればいいですか?」
「あなたが寝てたベッドでいいわよ、アレもともとお客用だったから」
「なにからなにまで、ありがとうございます」
「いいんじゃよ、さぁ明かりをけすぞ」
ふっ、と明かりが消える暗くなる室内。
(・・・なんか、色々あって疲れた・・・色々ありすぎた・・・)
(・・・そういえば・・・僕、なんでスカートだったんだろ?)
(・・・明日聞いてみよう)
こうして僕の異世界生活一日目は終わった。