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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
What is this?
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第79話『価値観の違いは当たり前です』




「おわっ!?」


何だこれ?とグタッとした偽宝箱を観察していると光になって消えてしまった。いや、粒が見えたから量子還元?今起こった現象に首を傾げていると、パブロさんが声を掛けてきた。


「$%&НΨ」


いつも通り分かりませんです。ふと偽宝箱が倒れていたところを見ると、何か落ちているのが見えた。落ちているものを拾う。コインみたいだ。ふむ、重さ、光沢から見ると銀で出来ている様だ。そこそこの値打ち物だろう。パブロさんに渡す。助けてもらった、正確に言えばそういう訳でもないだろうけど、路頭に迷っていたところを通りがかってくれた、これで少なくとも人のいる所には行けるのだ。これはせめてものお礼だ。


「□ΤλГ、фμ€ΙШЛ」


そう言って押し返された。いらないのだろうか?あ、もしかして価値のないモノなのかな?う~ん、価値観が全く分からない。日本人なら貰っているだろうに。














なんと、あの宝箱はミミックだったのか・・・。俺としたことが、ミミック如きの擬態も見破れないなんて。ユウコが止めてくれなかったら、下手すれば死んでいたかもしれない。頭をパクッとやられて。


「助かった」


感謝の念を込め言う。まぁ、分からないだろうが。どうやらユウコはしゃべりかける事で言葉を学習しているらしい。赤ん坊と同じかそれは。だがこの学習スピードは異常だ。いったいどんな頭をしているんだ。それに今のはなんだ?あの棒放電したぞ?魔道具だったのか?それともユウコ自身の<魔法>なのか?どんどんと溢れ出てくるユウコについての謎に頭を悩ませていると、ユウコが何やら押し付けて来た。どうやらミミックが落とした物らし・・・い!?こここ、これは!!これを持つ者の存在感を薄くするという<穏形のコイン>じゃないか!?え、お礼?おかしいだろ!!これだけで金貨三枚もの価値があるんだぞ!!こちとら金に換えられない命を助けてもらってんだぞ!!


「いらない、お前が持っておけ」


グイッと押し返す。というか、こいつ物の価値ってもんを分かってんのか?基本的に迷宮で取れるものは高値で取引される。それは何故か?まず何と言っても迷宮が危険だという事、かなりのベテランだとしても死ぬときはあっさり死ぬ。さっきの俺がその道を辿ろうとしていたように。次に、単純に価値があるものであること。先の<穏形のコイン>だって、存在感が薄くなるという普通に聞けばいらない物なのかもしれないが、それは戦場や迷宮でこそ効果が発揮される。目立たなくなる、狙われにくくなる、つまり生存率が上がるという事だ。こういったものが迷宮では取れるのだ。それは魔物が消える時に残っていたり、宝箱に入っていたりする。深く潜れば潜るほど値打ちの高いものが手に入る。しかも、迷宮最深部になると強力な魔物が居る代わりに、その魔物を倒せば必ず品物が手に入るというのだからなおさら潜らない方が損だとも言える。ちなみに、迷宮そのものについてだが謎が多い。俗に『ダンジョンメーカー』と呼ばれるものが作ったとされているが、その名は神話に出て来ていたりするのだ。ならば神話に出てくるような神々の一人なのか?と言えば、どうやらそういう訳でもないらしい。むしろ『ダンジョンメーカー』は人間だと唱える学者が居るくらいだ。闇の神が生み出したとされる魔物が闊歩する迷宮。しかし、迷宮より魔物が溢れ出てくることは無い。迷宮によって完全に制御されているのだ。魔物を制御するなど本当に人間の技なのかとも疑いたくもなる。そのことから、『ダンジョンメーカー』魔人説が浮上していたりもする。結局の所、何もわかっていないという事だ。

それはさておき、気を取り直して進むことにする。とりあえず、ユウコを安全な所へ連れて行かなければならない。お礼云々はその後、少なくともユウコが満足に話せるようになるまでは置いておこう。


「行くぞ」


ユウコに声を掛け、俺は歩き出した。





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