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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
What is this?
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第77話『ヒーローはすごいよね』




改めて取り出した『安全第一』と書かれたライト付きヘルメットを被り、左手に『しびれん棒2型』を、右手に『ワルサーPPK/S』を構えながら歩く。気分だけなら、もうすっかり冒険家だ。


「また壁・・・やっぱ、さっきのとこ右だったかなぁ?」


頭の中に作成されている地図に壁を書き足す。


「うわ、ホントに迷路みたい」


分かれ道ごとに虱潰し出探索しているけど、地図が広がっていくばかり、ゴールにたどり着く気がしない。


「もういっそのこと突き破っちゃおうか・・・」


止めてくれ!!という誰かの悲鳴が聞こえてきた気がするのでやめる事にする。それに、私自身それはズルいと思う。その考え方で行くと、壁を乗り越えるという選択肢も必然的になくなる。


「結局、地道に行くしかないか・・・」


私は来た道を戻ることにした。











「それにしても良かったぁ。ここがヒロ君の研究施設とかじゃなくて」


そういうのもここの罠のレベルが低いからだったりする。この迷路に仕掛けられている罠の数々、確かに致死性はあるのだけれど、せいぜい落とし穴が空いたり、大岩が落ちてきたり、矢がどこからともなく飛んでくる程度だ。ヒロ君の罠はそれはもうえげつない、電流、ギロチン、レーザーは当たり前、果ては溶岩が流れ込んできたりするのだが、そのどれにも突破口をギリギリ生き残れるぐらいの絶妙な隙間で残しているのだ。ちなみに、その罠にかかった人間に死人はいない。ヒロ君が治しているからだ。しっかりとトラウマを植え付けてからシャバに帰している。


「にしても・・・なんなんだろう、ここは」


飛んできた矢を『しびれん棒2型』で叩き落としながら呟く。


「もしダンジョンなら、そろそろモンスターの一匹や二匹出て来てもおかしくないのに・・・」

「ギシャアアアアアアアアァァァァァッ!!!!」


そう呟いたのが引き金だったのか、けたたましい咆哮と共に巨大な丸くて黒い影が現れた。というかこっちに高速で転がってきている。


「え、ちょっと、ここ一本道なのに!!」


あれに轢かれても多分大丈夫だと思うけど、やはり怖いものは怖いし痛いのもイヤ。しかし、逃げようにも私は転がってくるアレ以上のスピードで移動するすべを持っていない。という事は必然的にアレをどうにかするしかない。しかも、真正面から。


「アレを使えばいいんだろうけど・・・アレ凄い恥ずかしいし・・・」


だが、危険はすぐそこまで迫ってきている。やはりアレを使うしかないのか・・・。アレを使うのはかなり危険だ・・・主に精神的な意味で・・・。アレを人前で使ったが最後、私は引きこもりになる自信がある。


「・・・ええい!!いいわよ。やってやりますよ!!どうせこんなとこ人居ないし!!・・・たぶん!!」


半ばヤケクソ気味に叫び、羞恥心をかなぐり捨てる。息を整え、右足を後ろに、左足を前にだし腰を落とす。そして、両手を握り、構える。所謂ファイティングポーズだ。


「私の心が叫んでる!」


その叫び共に弓を引き絞るように右手を引き力を溜める。


「悪を叩けと叫んでる!!」


その叫びと共に溜められたエネルギーが激しく燃焼を始める。


「悪を叩くは正義の鉄槌!!!」


その叫びと共に右手が真っ赤に燃え上がる。


「喰らえ!!!!ジャスティス・ハンマアアアァァァァァァッッ!!!!!」


その叫びと共に真っ赤に燃え上がった右手が巨大な影にぶち当たる。


ゴッガァァァァンッ!!


まるでハンマーで鉄板を叩いた時の様な凄まじい音と共に巨大な影が動きを止める。そして、


ボゴォォォン!!


と爆発した。そうこれは、何を隠そう『ヒーロー』の必殺技である。なぜそんな技を私が使えるのかというと、私の幼馴染がヒロ君だから、もっと言うなら『ヒーロー』のスーツを作っているのがヒロ君だからだ。必殺技の時、ああいうセリフを叫ばなくてはならないのもヒロ君のせいだ。本当に『ヒーロー』は凄いと思う。・・・あ、だからマスクで顔を隠しているのか、納得。

気を取り直し、周囲を見回す。・・・どうやら人は居ない・・・。


「“#$%&‘?」


訳がなかった。・・・もう死にたい。






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