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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
『かわいい』あの子と『最強』と『最恐』
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第61話『最強の成れの果て、略して最果て』




「さて、本題に戻ろうか」


と、語り始めるその二。


「まぁその『神』の介入もあって戦争は終わった。だが、それまでに生き物が死に過ぎた。人も、動物も、そうでないモノも。私たちの世界も相手の世界も、どちらもな。そして、二つの選択肢が出来た。一度つながった世界を切り離して、また別の世界として暮らすか。繋いだ状態で、ゆっくりと世界と世界の融合を待ち、一緒に暮らすか。と言う選択肢だ。結果的に向こうの世界の事情もあって、私たちは一つの世界として暮らす道を選んだんだ」

「はー・・・」

「まぁ、流石についさっきまで戦争していた相手と仲良くするのは難しかった。その結果が、大陸の分断。向こうの世界とこちらの世界で、大陸を二つに分けたんだ」

「大陸を・・・分けた?・・・どうやって?」


いや、無理だろう物理的に。


「ああ、そこは『神』がやった。後、私もな」


なんという。流石『最強』さん、飛び抜けている。


「で、今のこの形ですか」

「そうだな、うん。ちょっと変わったりもしたが、概ねこんな感じだ」

「魔族と獣人、それと魔法はなんなんです?」

「ファンタジー的な生物は、殆ど向こうの世界の物だ。まぁ、私たちの街にも龍はいたが。魔法はちょっと特殊でな、もともと向こうの物だったんだが、戦争中に『博士』がトレース、改良して私たちにも簡単に使えるようにしたんだ。それが、一緒になった時に向こうにも広がった感じだ」


それはもう、流石『博士』としか言いようが無い。


「とまぁ、いろいろあったが、それが大体三万年ぐらい前の話だ」

「・・・は?三ま・・・へ?」

「聞き間違いじゃ無いぞ」

「三万・・・三万!?」


もう、ビックリしすぎて訳が分からんわ!!じゃあ今、あんたは何才なんだよ!!


「んー・・・三万四百七歳六か月二十七日と六時間四十二分・・・か、確か」

「確かの割に意外と細かいな!!」


突っ込みが上手くいかん!!ぶっ飛び過ぎて!!


「さて、ここからが本題だ」

「今までのは?」

「長い前置きだと思ってくれ」

「前置きにしては随分と壮大でしたけど」

「まぁ、その壮大な出来事に君たちは巻き込まれている訳だ」


自分としては壮大に面倒なことになりそうだと思っているのだが、十中八九間違いないだろう。


「はぁ、それで?」

「うん、それでだな。単刀直入に言うと、君たちの世界に危機が迫っている」

「おい、それはどういうことだ?」


さすがに、部屋の隅っこでいじけていたその一もこのセリフは聞き流せなかったようだ。


「危機が迫っているとは?」

「そのままの意味さ。さっき言った私たちの世界に起こった出来事が、君たちの世界に起ころうとしている。いや、もう起っているかもしれない、ということだ」

「出来事・・・世界間戦争が・・・?」

「そうだ」


それは、なんということだ。一刻も早く戻らなくては!!なんて、思ったりはしない。今戻っても、そんな事が起こっているかも分からないし、自分が戦力になる訳もない。先ほどは無駄に本気を出したりもしたが、やはりここはご都合主義的な精神世界だ。自分の専門分野ともいえるこの世界だからこそ出来たとも言える。が、今はその場の流れに身を任せることにする。『最強』さんたちが望む言葉を語ることにしよう。


「その一!!前に戻ったのはいつだ!?」

「一週間前だ。その時はまだ、大丈夫だった」


自分たちがこちらに来たのは三か月前、一か月を三十日で考えると、向こうの世界では自分たちが居なくなって22,5日、約三週間たっている事になる。こちらの時間での一週間は向こうのでの約二日になるので、24日分は向こうが平和だったと言える。それが分かったからどうという訳ではないが、一つの基準とするにはいいだろう。さて、いつ起こるかわからない事は置いておくとして、問題はその二がこの事についてどうやって気づいたのかと言う事と、そもそもその二はどういう存在なのか、敵なのか味方なのかと言うことをまだ聞いていないことだ。


「そのことを、私たちに教えるメリットは?それとあなたは味方なんですか?」


そう聞くが、敵ではない事は確かだ。自分の予想する今のその二の存在ならば、このような回りくどい手段で連絡を取ることなどせず、自分の部下かそれに準ずる者達を使い、自分たちを殺しに掛かって来たことだろう。


「そうだな、メリットか・・・メリットと言われれば疑問だが・・・強いて言うならば、いや、強いて言わなくとも、私たちとは違う未来を歩んで欲しいと思ったからだ。敵か味方かと問うならば、私は敵でも味方でもない。さすがに、かず君は気付いていると思うが、私のような存在は、世界間の問題や低次元の・・・いや、君たちの事をバカにしている訳ではないんだよ?でもそう言うしかないんだ。済まないな。・・・低次元の存在が住む世界としての次元に関わってはいけないんだ。実際、今こうして君たちと話しているのもアウトラインギリギリなんだが、私もいるし、それに何より下っ端にしても『管理職』をしている君が居るから、許されているようなものだ」

「と言うことはやはり・・・」

「あぁ、かず君の言うとおり、私は『神』になった」

「か・・・み・・・?」

「どうした私?そんなに『神』になることが不思議か?」


まぁ、無理もない話だ。いきなり別世界の自分が神に成っているなど、与太話もいいところだ。自分だったら、どこののび太だ、と突っ込んでいるところだ。自分の事を聞かずにいられない『最強』は『神』に聞く。


「『神』になるとは・・・?」

「いや、そんなに難しく考えなくともいい、ただ住む次元が三次元より上の上の五次元になっただけだ」


十分難しいがな!!


「四次元は・・・?」

「四次元は・・・そうだな、幽霊や精霊といった。霊的存在が住む次元だな」


自分の仕事は、その有るべき次元から離れた者を有るべき次元に戻すことであり、時には次元を超えて悪事を働く者に制裁を加える事を仕事としている『冥探偵』の『助手』である。そう『助手』、はっきり言って要らないんじゃね?と言う存在だ。


「まぁ、そこはそんなに重要じゃないから置いておくとして・・・上の次元の存在は、下の次元には簡単に手を出してはいけない決まりになっているんだ。触れるだけでも、多大な影響を与えてしまうからね」


たとえて言うなら。絵があったとして、その絵を人は簡単に破いたり、塗りつぶしたり、書き換えたり出来る。それと同じことを上の次元の存在は、下の次元の存在にすることが出来るのだ。この世界の<加護>や<祝福>といったものは、いうなれば、プロの絵描きがその絵に手を加える事と同義だ。それによって、絵はさらに美しくなる。逆に、呪いは絵を汚すことと考えてもらうと分かりやすい。


「さっすが!!かず君、よく分かってる人の説明は違うな!!」

「いや~そんなに褒められても~」


照れるじゃないか。と、まぁ冗談はさて置き、『神』になった『最強』さんの動機は分かった。問題は、それを知った自分たちはどう動けばよいのか、という事だ。


「私はどうすればいい?かず君」


たった少しの時間考えただけで、折り合いがついたのか『最強』さんがそう尋ねてくる。


「そうですね。とりあえず、いま向こうに戻れるのは『最強』さんだけなんで、今まで通り一週間に一度向こうに戻る、ってことでどうです?」


そう、向こうに戻れるのは『最強』さんだけなのだ。だからここで、自分がどうこう言ったところで、自分が出来ることは何もない。

「そうだな、それしかないか」


『最強』さんも特に思いつくことは無かったのだろう。自分たちが話している間教室の中を歩き回っていた『神・最強』さんに声をかける。


「ん、決まったか?」

「ええ」

「うむ」

「そうか。・・・どうする?私も一応『神』だから<加護>とか<祝福>とか《チート》とか【超能力】とか『スキル』を与えることも出来るが?」

「いらん・・・と言いたいが、さっきの話を聞いたのもあるし、一応『勇者』を名乗っているのもある。適当に見栄えのする物でも付けてくれ」

「うん、分かった。かず君は?」

「自分はこれでいっぱいいっぱいなんで、いいですよ」


目を細め自分のことを見つめる『神・最強』、恥ずかしいじゃないか。


「むー・・・そう・・・みたいだな。じゃあアドバイスだ。くれぐれもギルドカードを作るときは人に見られないように」


ギルドカード、そういえばそんなものがあったっけ。


「はい、分かりました」

「ちなみにギルドカードも『博士』作だ」

「えぇ!?」


三万年経っても使われてるとか、どんだけ天才なんだ『博士』は。


「うん、凄いな『博士』は。・・・よろしく伝えといてくれ」

「分かった」

「はい」

「じゃあ、戻すから目を閉じてくれ・・・」


カッ!!


あ、これ目をつぶってもかなり眩しい。





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