第55話『グルメリポーターカオル』
さて、気になることをフェリシアとゼイスさんに聞くとしよう。そう、ギルドカードで自面が違った文字の事だ。
「フェリシア、ゼイスさん、これ、なんだと思う?」
「なになに?」
「どれじゃ?」
「称号とスキルの所にある、字面が違う文字の事なんだけど」
「んー?あ、これね。何かしら?」
「フェリシアは分からないんだ。じゃあ、ゼイスさんは?」
「これは、ユニークスキルじゃ」
「ユニークスキル?」
「うむ、生まれ持った才能の事じゃな。稀に、一つの事に打ち込み続けて手に入れる者もおる。ユニークスキルの名前がそのまま称号になることもあるんじゃ」
「おー」
「そういえば学校にもいたわねそんな奴、【正剣】だっかな?剣から雷出してたわ、確か去年の舞踏大会で優勝してたわね」
剣が強力なプラスの電子を持つってことかな?でも、電気ってマイナスからプラスに流れるんじゃ?ま、いいか。
それにしても、どうやらユニークスキルとは凄いものらしい。ユニークスキル【魅惑の花】か・・・。え?なにこれ、どう使うの?
「それにしても、魅力が8739ねぇ。まぁ、カオルはカワイイから当たり前か」
「そうじゃな。当たり前の事じゃ」
「え!?当たり前の事なの!?」
「ま、どちらにせよそのステータスは隠しておいた方がいいわね」
「じゃな、わしも殆ど隠しておるし」
「殆ど隠しててあれなの?」
「うむ、わしの本気はまだまだじゃ」
と、まぁそんなこんなでギルドでの用事は終わり、僕たちはお昼ご飯を食べることにした。お昼を食べるために入ったレストランで、また影鷹君に会った。
「また会ったね」
「またか」
なんでこんなにもよく会うのだろうか?影鷹君はストーカーでもなければ、予知能力者でもないというのに。そんな疑問は置いておいて、影鷹君にギルドカードを作ったことを報告しよう。
「そうそう、ギルドカード作ったんだよ」
「そうか。どうだった?」
「おおむね普通だった、かな?」
「そりゃあ良かったな。俺の時なんか大変だったぜ、受付嬢が俺のステータス大声で叫びやがってよ。俺のステータスが低いのを良いことに馬鹿どもが、そりゃもう糞にたかるハエみてぇに群がる群がる」
「で、全部ぶっ飛ばしたと」
「おう」
「それは酷い話ね、ギルドはなんて?」
「ああ、申し訳ございませんでした。教育不足でした。とさ」
「それだけ?」
「な訳ないだろう、搾り取ってやったさ。ンでもって、受付嬢は辞めさせた」
「まぁ、それ位が妥当だよね」
「あぁ」
そんな酷い人もいるのか、気を付けないと。影鷹くんってステータス高そうだけどなぁ、低かったんだ。まぁ、普通の人だしね。強いだけで。
「ステータスで強さを測るなよ、カオル。ステータスなんて、簡単に騙せるもんだからな」
「うん、分かってるよ」
それ位は分かっている。そんな事はあの『街』に住めば嫌でも分かることだ。あの『正直者』に掛かればステータスなんか簡単に変えられるし、『世界心』に掛かればステータスに載らない理由で負ける。影鷹君だってそうだ、影鷹君は怪力の持ち主でもなければ、みんなみたいな超能力も持ち合わせていない。あるのは技術と努力だけ、そんなものはステータスに載ることはない。だからと言って意味のないものじゃない。要はそういう事なのだ。
「なんか、カオルが男らしい」
「男だからね!!」
そうこう言っている内に、頼んでいた料理が来た。こちらに来て結構立つが、料理の名前はまだ馴染みがない物が殆どだ。僕が頼んだ(この店のおすすめの)料理は、キャベツロールを焼いたような料理だった。色は派手だが、とてもジューシーでおいしい物だった。二つ目、大きなお肉をこれまた大きなキノコで挟んで大きな葉っぱで巻いて煮込んだ料理。キノコのうま味や、肉のうま味がしみ込んだスープがとても美味しかった。次、今度は魚、目が三つある魚を香辛料や野菜、果物と一緒にバナナのような葉っぱで包んで、窯で蒸し焼きにした料理、その独特な味で好き嫌いは大分別れると思うけれど、ひとたび嵌ってしまったら中々抜け出せないものがある。で最後、デザートは人の頭ほどあるリンゴのような果物を凍らせた物、味はサクランボだった。
「ふぅ~、食べた食べた」
「いつも思うんだけど・・・カオルって、見かけによらずよく食べるよね」
「そうじゃなぁ、初めて見たときは驚いたもんじゃ」
「そうかな?」
「こんなもんだろ」
「だよね~。うちのクラスじゃ僕なんか少ない方だよ」
「馬鹿みたいに食うもんなあいつらは」
「そうなの?でも不思議ね、カオルのこの細い体のどこにあれだけの量が入っていくんだろ?」
「そんなこと聞かれても困るよ」
「ねぇ、なんで太らないの?」
「適度な運動?」
「いや、それだけで済ませられない量だから。どんな運動してるのよカオルは」
「むぅ~・・・別に普通だよ~・・・」
フェリシアがなんか怖い。
「助けて、影鷹君!!」
「ま、頑張れ。自分の事は自分が一番よく分かるだろ」
そう言い残して、景山君は自分の分の勘定を済ませレストランを出て行ってしまった。そんな!!置いていくなんて!!
「カオルぅ~~?さあ、吐きなさい。吐くのよ。吐け!!」
嫌な三段論法だ!!や、やめっ、うっ、うわ~~~~!!