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僕達の異世界生活  作者: 真島 真
『かわいい』あの子と『最強』と『最恐』
53/102

第53話『ゴーストバスターになるために』




「やっと、一人になったわね・・・」

「え、嘘っ!?まさか、告白!?」

「ふざけないで!!」




ちっ、このまま流そうと思ったのに。自分の目の前に現れたのは、某『勇者』パーティーの、名前も知らない神官さんだった。そう、あのちっこい神官さんだ。ちっこい?そんな描写あったのか?それは疑問に思うが、自分から見たらちっこいのだ。それはもう、仕方のない事だ。




「なんで、憐れむ様な目で見てるのよ」

「あの~、初めて会った時と口調が違いません?」




自分は、とりあえず疑問に思ったことを口にした。初めて会ったとき、昨日『最強』さんの部屋であった時だ。あの時は、なんていうんだ?間延びした口調だった。それに声も、本当に小さな女の子の様な声だった。まさか、一晩で声変わりしたのか?




「そうね、それは相手を油断させるための罠」

「それは、言っちゃったらダメなんじゃないでしょうか?」

「その罠もあなたには通用しそうになかったからいいのよ」

「はぁ」




似合わない。いや、小さい女の子が背伸びして大人っぽい口調で、声を低くして話していると思えば・・・。




「アリだな」

「何を言っているの?」

「いや、こっちの話だ」

「・・・まぁいいわ。それより、こっちの要求は一つ。あの幽霊を追い込んだという品物、もしくは術を渡してもらえないかしら?」




なぜ、神官さんがそんな事を言うのか。それは、現場に『最強』さんが来たからである。そう、『勇者』である『最強』さんが来たからだ。所謂、『勇者』パーティーメンバーである神官さんもその現場に来ていたのだ。そこで追い詰められた幽霊を見た訳だ。




「・・・」




自分はその答えに沈黙で返す。とりあえずは様子見だ。そもそも、あの包丁『鬼殺し』は偶然できたものである。が、他に無いという訳ではない。否、『鬼殺し』は無限と存在する。鬼を殺し、その血を浴びさえすればそれは『鬼殺し』となる。極端に言ってしまえば、バナナだって『鬼殺し』なる可能性だってある。凍ったバナナは釘が打てる、立派な凶器だ。だったらあげちゃってもいいんじゃないか?となるが、そうもいかない。この『鬼殺し』は、前の持ち主が自分に、自分の為にくれたものなのだ。そう簡単に渡すわけにはいかない。言い換えるなら、他の『鬼殺し』ならあげてもいいということになる。持ってないけど。

だったら、倒す方法を教えてあげよう。これなら簡単にできるし、自分にも痛手は無い。




「笑えばいいと思うよ?」




某小説に出て来る不死身の人間のセリフが出てしまったが、これは的を得たセリフだ。笑いの力と言うものは計り知れないものがある。『冥探偵』にも常日頃から『ピンチになったらとりあえず笑っとけ』と言われているほどだ。笑うという行為は人間だけがするものだ。笑うときは歯を見せる。歯を見せるという行為は、自然界では威嚇および攻撃、または食事の時にしか行われない。という事は、笑い、歯を見せるという事は、本来とても攻撃的な事柄に分類されるべき事柄なのである。自分はその攻撃性をナタリアさんに使おうとしたわけだ。




「ふざけないで!!」




おっと、怒られてしまった。こちらとしては至極真面目に答えたつもりだったのに。ならばどうしろと言うのか。術?術がいるのか?術?いやいや、自分が持っているのは経験と技術だけだ。あ、技術も術だからいいのか。




「幽霊を倒すには・・・」

「幽霊を倒すには?」

「気をしっかり持つ。それと、何をされても無視する。それだけだ」

「それだけ?」




コレが一番簡単で、一番効果的だ。幽霊の基本的な攻撃方法は精神攻撃である。そう、何をされても結局は精神攻撃である。対抗するには何事にも耐えうる鋼の心を持つのが一番だ。が、そんなものを常人が持ち合わせているとも思えない。だったらもっと簡単に、見ない聞かない信じない、これが幽霊退治の特効薬だ。




「何事にも動じない強い心を持つんだ。待ってるだけじゃ始まらない、前を見て進め!!」

「・・・はい!!呼び止めてすいませんでした。では、私はこれで!!」




何か心を打つことでも自分のセリフの中にあったのか、悩みが吹っ切れた様ないい顔をして、去って行く神官ちゃん。全くもってちょろいもんだ。










サクサクトントンと、野菜を切る。我が麗しのお姫様は、軽食をご所望なので適当にサンドイッチでも作ることにする。これぐらいなら、『仮面』を変えなくともできる。




「おう、ヒフミどうしたんだこんな時間に?」

「グランツさん、お疲れ様です。姫様が小腹が空いたっていうんで」

「そうか。で、何作ってるんだ?」

「そんな大したもんじゃないですよ。サンドイッチです」

「なんだ」

「そんなあからさまにガッカリしないでください」

「いいじゃねえか。それ位お前には期待してるってことで」

「それにしても何でグランツさんは、自分に厨房を貸してくれるんです?どう見たって素人の自分に」

「素人でも、玄人でも、旨いもんは旨いんだ。旨いもんを作れるやつはしっかりとマークしておく、それが料理人ってもんよ」

「はぁ・・・」




なんでこうもグランツさんは男らしいのだろうか?




「それにお前はレシピをタダで教えてくれるからな。こっちとしては儲けもんよ」

「はは」




そっちか。いやはや、現金な人だ。





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