第46話『ギルド(1)』
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今後ともよろしくお願いします。
朝食を食べ終わった後。すなわち朝食後、僕たちはギルドへ向かっているところだ。
「そのギルドカードってフェリシアは持ってるの?」
「当り前じゃない、と言うか持ってるのが普通よ」
「そうなんだ、見せてギルドカード」
「あのねカオル、言っておくけど、そうホイホイと見せる物じゃないのよ、ギルドカードって」
「何で?」
「何でも何も、その人の個人情報が全て載ってるからよ、はい、コレが私のギルドカード」
「見せてはくれるんだ!?」
「そりゃあ、カオルの頼みだからね」
「ほれカオル、儂のギルドカードも見なさい」
「ゼイスさんに至っては押し付けてきた!!」
二人が半ば押し付けてきたギルドカードを見る。
金属製の薄い板。金属で出来ているのは分かるが、その金属が何かは分からない。カードと言うだけあって手のひらサイズ、名刺代の大きさ。カード自体について分かるのはこれぐらい。次に書いてある(彫ってある?)内容を見る。カードの表、そこには二人の個人情報が載っていると言う。
名前 フェリシア
種族 犬狼族
職業 学生 軽戦士
所属 国立第一学校高等部Sクラス
称号 『俊足の双剣士』『賢者の弟子』
レベル 25
HP1270/1270
MP600/600
力 18
魔力 31
体力 17
知力 27
器用 25
敏捷 20
学力 120
スキル 『剣術』『魔法』『古代魔法』
続いてゼイスさんのカード。
名前 ゼイス・スタンフォード
種族 人間族
職業 賢者
所属 なし
称号 『森の賢者』『殲滅の魔導師』『決戦の終止符』
レベル 100
HP7560/7560
MP9999/9999
力 197
魔力 255
体力 220
知力 255
器用 180
敏捷 160
スキル 『剣術』『棒術』『拳術』『杖術』『盾術』『斧術』『馬術』『魔法』『古代魔法』
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ゼイスさんのギルドカードについてツッコミたい所は多々あるが、今はソレよりもフェリシアに聞きたいことがある。
「フェリシア、この名前の横にあるマークと、ゼイスさんのには無い学力ってパラメーターはなに?」
「そのマークは学校の紋章。そのカードは学生証も兼ねていて、その一環で学力も表示されるのよ」
「ふーん、このステータスって普通の人はどれくらいなの?」
「そうね~、18から23って所かしら?」
「じゃあ、フェリシアは優秀なんだね」
「そりゃあ、まぁ、じゃなかったら第一のSクラスなんか入れないわよ」
「学力120なんて」
「ウソっ何それ!?学力のパラメーターだけは最高値が決まってるはずなのに!!しかも100よ100!!何なのよそのデタラメなパラメーター!!」
「・・・そんなの知らないよ、うぅ」
「あぁ!!ごめんねカオル!!そんな気は無かったの!!・・・でもね、おかしいのよ、ちょっと見せて」
「・・・うぅ、はい」
「・・・確かに・・・120になってるわね、前まで35だったのに」
「何でだろうね?」
「まぁ、どうせギルドに行くんだし、そこで聞けばいいか」
「うん」
「のうカオル、儂のカードについてなんか言う事はあるかの?」
ゼイスさんが僕の反応を楽しみに待っている。いたずらっ子かあんたは!!
「別に無いです」
ゼイスさんは撃沈した。
「ここが国営職業斡旋所、通称ギルドよ」
外観はこちらの世界には珍しく五階建てのビルの様な感じ。ゼイスさんが両開きの扉を押し開け中に入る。
中は意外とすっきりとしている。ゲームでよくある一階が酒場だとか、依頼書が沢山張り付けてあるボードがあると言ったことも無い。むしろ椅子や机が並んでいて、病院や役場のような印象を受ける。受付カウンターみたいな物があり、その奥では職員たちが忙しそうに働いている。
「御用の方は番号札をお取りになって、座ってお待ちください」
受付のお姉さんは、そう事務的に言うと機械を指し示した。役場みたいだ。と言うか完全に役場だ。周りを見回す。もっと人が沢山いて五月蠅いのを想像していたが、とても静かだ。
「ギルドってこんなに静かなモンなの?」
「あぁそれはね、冒険者や傭兵、商売をする人はもっと早くに起きて仕事を探したりしてるから。遅くに来た私たちとは時間がずれてるのよ」
「そうなんだ」
「番号札6番でお待ちのお客様、2番カウンターの方までお越しください」
「6番、私たちね」
「じゃあ行こうか」
「この娘のギルドカードを作りたいんじゃが」
「ん?今の発音おかしくなかった!?子だよね!?」
「畏まりました、ではこちらの書類をご記入ください」
「うむ・・・ほれ」
「・・・はい、確認いたしました。ではこの水晶に手を置いて下さい」
「置けばいいの?」
「はい」
その水晶はハンドボール位のサイズのとても大きいものだ。コレを持って帰って売ればいくらになるだろうか。手を置くと、フラッシュのように一瞬光りまた元に戻った。
「はい、手続きはこれで完了です。ギルドカード作成に少々時間がかかります。その間にギルドとギルドカードについてご説明いたしましょうか?」
「結構じゃ」
「畏まりました。では、お掛けになってお待ちください」
「うむ」
「国営って事は、ここもサトーさんが作ったの?」
「そうじゃ」
「ふ~ん」
「確かその時は、『なんで!ギルドが!!無いんだぁぁぁぁ!!!』と叫んでおったのう」
「サトーさんはいつも叫んでたんですね」
「そうじゃのう、四六時中叫んでおったのう。そう言ったら彼は『お前らが原因だぁぁぁぁ!!』とまた叫んでおったわい」
サトーさんは面白い人だと思う、本当に。